コンテンツマーケティング・インスティテュートの創設者で”コンテンツマーケティング”の概念を広めてきたエバンジェリストのジョー・ピューリッチが、GinzamarketsのUS本社の”FOUND Friday”に参加し”2014年のSEO/コンテンツマーケティングがどうなるか”について語りました。
ジョー・ピューリッチによると、ブランド構築のため企業はコンテンツ制作とプロモーションに既に一定額の予算を投じており、60%のマーケターはコンテンツマーケティングへの予算を増やしていると言います。つまり、マーケティング予算の配分が変わりつつあるのです。”Get foundされるためにはクオリティの高いコンテンツがベストだ”と言い、コンテンツマーケティングは顧客と長期的な関係性を構築すると指摘します。マーケターがサーチマーケティング/カスタマーロイヤリティの構築/リテンション向上/見込み客の獲得等、多岐に渡るミッションがあることを理解した上で、コンテンツマーケティングへの取り組みは必須であると言います。
コンテンツマーケティング・インスティテュートは、2014年の50のコンテンツマーケティング予測を発表しています。その内いくつかのテーマが”FOUND Friday”内であったため本記事で紹介します。
ペイドメディア、オーンドメディア、アーンドメディアが融合する
ジョー・ピューリッチはマーケティング領域において、パブリッシャーとしての目覚ましい進歩があったと語ります。マーケティング部門にライター、編集者、デザイナーが存在し、コンテンツを制作する体制へと変化しているのです。
コンテンツマーケティングを推進する上での組織の壁
マーケティングの中でも役割として、PR(広報)/プロモーション/サーチマーケティング/コンテンツ制作/デバイス対応等、複数の機能があります。多くの企業において機能別のチーム編成をしているのが現状です。例えば、PR(広報)チームはアーンドメディアの戦略を検討し、どのようにオーディエンスへストーリーを伝えるかを考え、コンテンツを制作していきます。プロモーションチームでは、よりキャンペーン効果を上げるコンテンツを企画し、ターゲットに見合ったペイドメディアへの出稿を進めることでしょう。SEOチームでは、オーガニック検索でヒットされる視点からコンテンツを検討していきます。
このように機能別の組織体制では、お互いにコミュニケーションを取る事なく、それぞれでコンテンツを制作しています。独立性を持たせることが同時に組織間の分断を生じ、シナジーを生み出せません。GinzamarketsCEOのレイ・グリセルフーバーはサーチマーケティング内の観点においても同様で、同じキーワードをベースとした取り組みでありながら、リスティングとSEOもそれぞれの担当に分かれ、情報交換がされていないことが多いと言います。
組織間の共同の取り組みが相乗効果を生む
ジョー・ピューリッチは、より適切にコンテンツマーケティングを推進するためには、組織の中に他部署と連携する役割を持たせることが必要だと言います。一例として、週次ベースでミーティング(編集会議)を設定し、それぞれの取り組みの共有/スケジュールの確認をすることを挙げます。それぞれの組織で何に取り組んでいるのかを理解することで、どこで連携できるのか見える化します。
「組織間の共同の取り組みとしない限り、ペイドメディア、アーンドメディア、オーンドメディアでの相乗効果を持たせたコンテンツマーケティングを展開するのは難しい。」と語ります。
コンテンツを通じてオーディエンスが求めているものを喚起する
「多くのオーディエンスは購入サイクルにいないことが多い」「直ぐの購入を求める代わりに、コンテンツに触れる機会を作り、オーディエンスが自分が求めているものがわかるように仕向けることだ」とジョー・ピューリッチは言います。「コンテンツを通じたターゲットセグメントとのコミュニケーションは、むやみに広告をクリックされるよりも結果的に高パフォーマンスであると伝えたい」と。
コンテンツのパフォーマンスを測る
Ginzamarkets COO エリン・ロビンズ・オブライアンはコンテンツ評価について「まず最初に取り組むべきことは全体像を把握すること、サイトへの流入数を増やす方法が何であるか、現状把握をしアクションの効果性を比較検証することだ」と語ります。コンテンツのパフォーマンンスを測ることは、今後、より価値のあるコンテンツ作りを推進していくことにつながります。
異なる組織において共通のKPIを持つこともコミュニケーションをスムーズにします。「どのようなキーワードで検索しているのか、そのパフォーマンスはどうなのか」、コンテンツ制作者にとって、流入数/コンバージョン/直帰率/新規流入の割合は制作したコンテンツの評価を把握するKPIとして重要だと言います。
コンテンツ制作は量から質へシフトする
ある一定数のマーケターは2014年のトレンドとしてコンテンツ制作が「量から質へ」シフトしていると考えています。Googleのアルゴリズム変更に伴い、サイトへの自然検索流入を増やすためのSEO対策として、ロングテールキーワードでGoogleにインデックスされるコンテンツ量を増やす試みが多くされるようになりました。
Googleが良質なコンテンツを評価する戦略に舵を切ったことは、インターネット上により価値のあるコンテンツが増えることを促進する、ポジティブなことだと捉えています。コンテンツマーケティングと自然検索(SEO)は切っても切れない関係にあるのです。
自社が伝えたいメッセージとサイト来訪者が受け取っている内容のギャップを把握する
ジョー・ピューリッチはコンテンツを整備するに当たり、「企業は自社のコアストーリーへ回帰している」と語ります。Webサイトのアクセス解析をみると”サイトへのトラフィックをもたらしているキーワード”と”自社が伝えようとしているストーリー”との間に差があることに気がつく企業が多いことでしょう。つまり、全体のトラフィック数で掲げている目標を達成していたとしても、伝えたいと試みているメッセージのトラフィックが達成しているとは限らないのです。
この食い違いを解消するための方法として、レイ・グリセルフーバーは「誰がサイトを訪れていて、何に興味を持っていて、ターゲットユーザーにリーチするためにどのようなコンテンツを制作するのがより効果的なのか、これらを理解するための時間を取り検証すること」だと言います。
購入サイクルのファネルに応じてコンテンツを用意する
1つのコンテンツが全ての状況に対しマッチするわけではなく、見込み客が購入サイクルのどの領域にいるかに応じて、異なるコンテンツが必要になります。コンテンツの質を上げるということは、購入サイクルのファネルに応じて見込み客の段階を一つずつ上げるように、コンテンツを制作する必要ということです。一例として、ジョー・ピューリッチはアメリカの人材会社”KELLY Services”が、以前制作していたコンテンツを見込み客のステージに応じて再構築することをプラニングしていると言います。
「コンテンツ量が少なくとも質が高い方が勝ることもある。」というジョー・ピューリッチ。