コンテンツマーケティング実施のポイントの一つ「Like a publisher」。
だったら編集の経験者を立てれば良い!
そこまで判断して進めた時に、当初想定しない、ぶつかりがちな典型的な壁があります。
そのような典型的な失敗理由を、どう回避して施策をうまく進めるか。その回避のための具体的な方策を説明します。
前編のサマリー
・編集者は、① 読み手は誰が連れて来るのか、考えていない、② 読者が具体的にどういう人かあまり考えていない、③ 指標はPVとUU以外気にしていない。
・その回避策は、① 読み手は自分が連れてくる&どう連れて来るか考える、② 読者が具体的にどういう人かしっかり考える。③ PVとUU以外で気にすべき指標を検討し、それらを気にする。
メディア編集者がコンテンツマーケティングを担当して、失敗する3つの理由とその失敗を回避する方法(上)
編集者がコンテンツマーケを担当して失敗を回避するための方法
失敗理由を回避する方法についてどうすれば良いか、具体的な方法を説明します。
読み手を連れて来る方法を明確にする
ネットメディア編集出身の方は、”読み手を連れて来るのも自分の仕事” ということは、それほど違和感なく理解するでしょう。
一方で、雑誌や新聞などの紙メディア出身の編集経験者は、”読み手を連れて来るのも自分の仕事である” というのは、ピンと来ないかもしれません。ですが、理解してもらう以外に選択肢がありません。”良質なコンテンツが・・・” とだけ語っていても、ダメなんです。
次に、どう連れてくるかは、集客経路について考えることです。
いろいろなオウンドメディアやコンテンツマーケ目的のサイトを見たところ、①自然検索、②ソーシャルメディア、③自社のメルマガやFacebookアカウント、④自社の公式サイト(通販サイトや他自社サイト)からの導線、⑤その他、くらいに大別されそうです。
①自然検索
多くのメディアサイトが、実は自然検索トラフィックが一番多いことを考えると、自然検索トラフィックを意識するのが一番やりやすいように思います。詳細は、後述します。
②ソーシャルメディア
写真中心のコンテンツで構成するサイトや、インタビュー記事を多用するサイト(インタビューされた側がSNSにも投稿する)など、ソーシャルメディアでの広がりと相性の良いサイトは、ソーシャルでの広がりを意識するのが良いでしょう。
③自社のメルマガやFacebookアカウント、④自社の公式サイトからの導線
大抵のサイトは、立ち上げ時はこの集客経路に頼ることになります。
良く言えば、企業として蓄積してきたユーザーやトラフィックを活かす方法ですが、悪く言えば、この経路に長く依存していては新しいユーザーとの接点が作れていないともいえます。
その他
ごく一部のサイトですが、ニュースキュレーションアプリや大手メディアからのトラフィックを意図的に作っているケースもあります。またコンテンツ提供などを通じてトラフィックを積み上げるケースもあります。
上記のいずれの経路も、良質なコンテンツを作った結果、たまたまバズる・検索ユーザーが流入することはありますが、企業のマーケティング目的で行う活動ですから、意図的に流入経路を設計する方が良いでしょう。
読者とシーンを具体的に考え、流入以外の視点でチェックする
これは、特に上記の ①自然検索 を意識してやりやすい方法です。
読者像を具体的に考えるにあたって、ペルソナ設定が有用だと上述しましたが、自然検索ユーザーを自社に連れてくる場合は、これをもう少し掘り下げ、具体的な行動≒検索キーワードまで落とし込む必要があります。
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具体的な読者像たるペルソナにも、様々な具体的なシチュエーションがあります。
そのシチュエーションをいくつかのパターン洗い出し、そのパターンごとに行いそうなアクションとトピック、SEO的に言えば、調べそうな検索ワードたちを洗い出していきます。
ペルソナは、静的な読者イメージですが、具体的なシチュエーションと行いそうなアクション(どう検索するか≒検索キーワード)を洗い出すことで、動的な読者イメージを作ることができます。
そのアクション≒検索ワードごとに、自社サイトが上位表示されるか、それとも他社や競合サイトが上位表示されるかをチェックします。
自社サイトが上位表示されれば、ユーザーを自社に連れて来れているでしょう。逆に競合サイトが上位であれば、競合サイトにユーザーを持っていかれてしまっているでしょう。
このことがどういうことか、当ブログ記事を見る人であれば見ていそうなウェブサイト “Web担当者フォーラム” を例に説明します。
Web担当者フォーラムで読者像とシーンを考えてみる
Web担当者フォーラムは “企業Web担当者・マーケ担当者のための、「明日役に立つ」ノウハウやニュースを平日毎日更新でお届けするめメディアサイト” です。
例えばこういう読者像とシチュエーションはあるでしょう。
【読者像と、とあるシチュエーション】
代理店(ウェブ制作会社)に、新卒入社もしくはキャリアチェンジで転職。早く一人前になりたい!と、提案に使える情報を、色々調べて勉強中。
Web担のことは聞いた事はあるが、ブックマークはしていない。
【トピック/キーワードと、検索の現状】
提案に使える情報を探るのですから、企業の事例を色々と調べることもあるでしょう。勉強熱心で良いことですよね。
「コンバージョン改善 事例」・・・Web担、堂々1位!
「ユーザビリティ改善 事例」・・・マーケジン1位(Web担10位圏外)
「CVR 改善事例」・・・某企業ブログ1位(Web担7位)
【読者像と、とあるシチュエーション】
企業のWeb部門での仕事3年目。ウェブは大体わかってきた。
マーケ部長が、どこかの会合でアプリが重要だと聞いてきた。そして案の定、いきなり振ってきた。こんなレベルで代理店に聞くのも面倒だし、ちょっと調べてみるか。
【トピック/キーワードと、検索の現状】
いますよねこう言う部長。保守的で頭が固くて、知識が古いことに気づかず説得が超大変な部長よりは、こういう前向きな部長はいいですが、直下の部下としては大変ですよね。
「スマートフォン アプリ 事例」・・・某社スライドシェア1位(Web担10位圏外)
「スマホアプリ 発注 注意点」・・・資産運用ポータルサイト1位(Web担10位圏外)
【読者像と、とあるシチュエーション】
出産後の仕事は派遣でと思い、ウェブの会社に来て早1年。
最初はサイト更新だけだったけど、最近ではメルマガやインタビューもするようになった。もうちょっとうまくできるようになりたいけど、いいコツないかなと思う。
【トピック/キーワードと、検索の現状】
こういう前向きな方はありがたいですよね。もっとうまくやるように、ググって参考になる情報がないか探す。まさに「役に立つ」ノウハウを探すユーザーです。
「ライティング コツ」・・・ファインドジョブ1位(Web担10位圏外)
「インタビュー 上手なやり方」・・・個人事業主サイト?1位(Web担10位圏外)
読者とシーンを具体的に考え、流入の視点でチェックする
どうでしょう、上記の例は全て「企業Web担当者・マーケ担当者」ですが、①具体的な読者像たるペルソナを考える、②シチュエーションのパターン洗い出しをする、③具体的なトピックとキーワードを洗い出す、④現状を見る、の流れのイメージは伝わりましたでしょうか。
この例で、もちろん1位/上位ではないキーワードもありましたが、それ自体が問題なわけではありません。
そもそも それに気づいていないことが、大問題。
気づかなければ、いつまでたっても、良くすることはできませんし、良くする必要性にさえ気づくことができません。
どのトピックは現状のままで良くて、どのトピックは力を入れるべきか判断を行える。この判断を行いながら、コンテンツ制作などの施策を進められるようにすることが、メディア編集者がコンテンツマーケティングを担当してうまくやる方法です。
これ、大事ですから、しっかり覚えてくださいね。
キレイごとを現実業務として回すための体制
さて、メディア編集者がコンテンツマーケティングを担当して、失敗しがちな点を回避する方法について書きましたが、1点補足があります。
実はこの方法、編集者が自分自身で行うのは、どうやらとても難しいようなのです。
長年自社のマーケティングの担当をしてきた人が、急に “パブリッシャー” と言われても、どうも広告のように自分の言いたいことを発信しようとし、”読者にとって有用なこと” と、”自社都合の情報” の区別がつきづらいように、
その逆もまた然りで、長年編集の仕事をしてきた人が、急に “ペルソナ”だ、”ユーザーシチュエーション”だ、”キーワード”だ、”自社のマーケティングにどう役立つ”だ、言われても、イマイチ良く分からないことが多いようなのです。(もちろん個人差はあります)
この点をうまくやるのは、良い体制を作ることのように感じています。
コンテンツマーケティングの推進者・自社メディア編集者と、もともといるマーケ担当者がタッグを組むのは、とても良い体制です。
編集出身の人には、彼らの得意とするメディアコンセプト企画や、その人脈やスキルを活かした良いコンテンツ制作に注力してもらい、
マーケ担当者が、当記事で書いたような内容を担当し、運用の中で、コンテンツ制作の方向性をアジャストしながら、進めていくのがよろしいのではと思います。
おそらく最初は、編集者は「マーケティング担当が提案してくるキーワードは、数値(検索ボリュームなど)しか考えてない」、マーケ担当の方は「タイトルに検索キーワードが入ってない」などと対象の軋轢(?)はあるでしょう。
そこはお互いに理解し合い、コンテンツ制作/編集の考え方をコンテンツマーケティングの目的に沿って最適化していく必要があるでしょう。
補足:コンテンツマーケティングを数値で管理するGinzametrics
このような用途でGinzametricsを利用いただくことも増えているため、少しご紹介。
特定のキーワード群で、自社と他社数社の平均順位の推移。
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青グラフが当社ですが、以前は順位が悪い状態でのらりくらり。途中である2社の順位のモニタリング(黒グラフとオレンジグラフ)を開始すると、大幅に負けていることに気づき、これはまずいと火がつきます。
その後は、このキーワード群/トピックでコンテンツを制作、もちろん内容が悪いのは論外のため、良質の内容となるよう留意し、制作を続けます。
結果、この領域において良いファインダビリティを獲得できています。
こちらは、特定ページのソーシャルのシェアなどの推移です。
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内容は良いと思っているも、あまりソーシャルでシェアされていなかったため、Facebookなどにて再投稿。いくぶんシェアされてみてもらえて良かったです。
こんな感じで、Ginzametricsは、SEOやマーケティングの専門の方だけでなく、編集出身の方にも直感的にご利用頂けるかと思います。