楽天、ぐるなび、資生堂―業界のリーダーたちが語る『コンテンツ』とは〜第3回FOUND Conferenceレポート

楽天、ぐるなび、資生堂―業界のリーダーたちが語る『コンテンツ』とは〜第3回FOUND Conferenceレポート

Ginzamarketes CEO Ray 2016年1月27日(水)に第3回FOUND Conference in Tokyoを開催しました。第3回FOUND Conference in Tokyoでは、「リッチコンテンツ」、「体制」、「集客手法」について、取り組み方の異なる登壇者にパネルディスカッションして頂きました。 コンテンツマーケティングに取り組む企業が、日本でも増えました。各社独自に取り組みを進めていることだと思います。このタイミングで、普段とは異なる手法や視点に触れて頂くことで、今、取り組まれているコンテンツマーケティングに、新しい要素が加わり発展するのではと期待しています。 この第3回FOUND Conference in Tokyoレポートでは、2016年1月27日に開催したイベントの概要を簡単にまとめています。参加できなかった方のご参考になればと思います。 FOUNDConference20160127  

第1部「画像・動画・VRを使ったコンテンツの可能性」

パネリスト

資生堂  藤岡 智愛 氏(技術企画部 技術コミュニケーショングループ グループリーダー) ネクスト 秋山 剛 氏(HOME’S事業本部 リッテルラボラトリーユニット ユニット長) 土屋鞄製造所 沼田 雄二朗 氏(お客様コミュニケーション本部 バッグマーケティング室) モデレーター:インフォバーン 長田 真 氏(DIGIDAY[日本版]編集長)

テーマ:テキストでは表現できないリッチコンテンツを使ったマーケティングにはどういった可能性があるか。 Found Conference in Tokyo 2016 第一部

概要

資生堂の藤岡氏は、技術的な取り組みを一般の方に分かりやすく広めることが動画コンテンツの目的とおっしゃっていました。そのため、バイラルするかどうかではなく、正しい知識を分かりやすく伝えられたかどうかを重要視されています。技術的な正しさと、面白さ・分かりやすさを両立することへの挑戦をされているようです。同社の動画は世界中で視聴されており、動画は言語の壁を超える可能性を秘めています。日本語メディアは、英語メディアに比べ、トラフィック面では不利かもしれませんが、動画コンテンツ、動画メディアは可能性を感じさせられました。 ネクストの秋山氏は、R&D部門として新しい家探しのあり方を創り出すことについてお話されていました。「直感的で楽しめる家探し」という価値にフォーカスした結果、秋山氏はVRという表現方法を選択したようです。VRは、まだ一般に普及するほど、プラットフォームが整っていませんが、Google、Facebookなどは、VRのプラットフォーム作りを急いでいますので、今の取り組みが今後、実を結ぶだろうことを期待させられました。 土屋鞄の沼田様は、ブランディングや認知を目的に画像コンテンツを活用しているため、資生堂とは異なり、多くの人へのリーチが重要になってきます。画像コンテンツの場合、沼田氏が言うように、ソーシャルで拡散していくことが効果的なため、FacebookやInstagramで、受け入れられるコンテンツを発信することを重視されているようです。FacebookやInstagramは、プライベートな空間のため、ECなどで使うコンテンツとは違い、一人称視点での画像を活用するなどの工夫は、普段あまり画像コンテンツに取り組むことの少ない私などには非常に参考になりました。    

第2部「良いコンテンツ発信し続ける仕組みと体制」

パネリスト

ぐるなび 伊東 周晃 氏(企画開発本部 コミュニケーション部門 副部門長) インテリジェンス 森本 大 氏(キャリアディビジョン マーケティング企画統括部 DODA編集部 広告宣伝グループ) 楽天市場 近谷 康 氏(サーチエンジンマーケティング グループ グループマネージャー) モデレーター:アイ・エム・ジェイ/事業構想大学院大学 江端 浩人 氏(CMO/教授)

テーマ:マーケティング上、有効なコンテンツを発信し続けていくための体制作りについて各社が行っている方法を紹介 Found Conference in Tokyo 2016 第二部

概要

3社は、メンバーの構成が、インハウス中心、外部パートナー中心とそれぞれでしたが、メンバーを深く巻き込むということに関しては共通していました。 ぐるなびの伊東氏は、オウンドメディアの運用体制をお話ししてくれました。専任2名、外部のクリエイター10〜20名という体制で運用しています。外部の人数が多いですが、手間をかけてクリエイターを開拓・育成していることに特徴があります。クリエイターの集まる展示会に出展するなどで、新規クリエイターを開拓し、そのクリエイターと密にコミュニケーションを取りながら、Webで有効なコンテンツを作っているようです。手間をかけて見つけて育てたクリエイターにはファンが付き、それがオウンドメディアの価値になるのでしょう。 インテリジェンスの森本氏は、キャリアコンパスというオウンドメディアの運用について述べてくださいました。全体戦略は森本氏が担当しつつも、その他の業務の多くは外部のパートナーに依頼して進めているとのことです。特にコンテンツの制作は基本的に全て外部に依頼しているとのことでした。月に45~50本もの記事コンテンツ中心に発信していくには、外部のリソースを有効活用することも必要になると思います。コンテンツの費用対効果を厳密に計測し、外部パートナーにも共有し、深く巻き込んで運用していることが特徴的でした。 楽天の近谷氏は、ECサイトにおけるコンテンツについてお話ししていただきました。シーズナリティのある特集コンテンツの作成をインハウス中心で行っているとのこと。イベントは期間限定の企画ですが、プランニングから3ヶ月以上かけて作りこんでいるそうです。ユーザーニーズを調査し、キーワードやコンテンツに落とし込み、細かい調整をしながら細部を作りこんでいくという方法です。近谷氏によると、同じイベントでも、毎年異なるニーズやキーワードが生まれているため、そうした新しいニーズも取り込んだコンテンツを、SEO担当と制作メンバーが連携しながら、作りこんでいます。柔軟に調整や連携ができるインハウスならではのコンテンツ作りだと思います。  

第3部「コンテンツをターゲットユーザーに届けるための集客手法」

パネリスト

弁護士ドットコム 亀松 太郎 氏(ニュース編集長) リクルートライフスタイル 酒井 亮平 氏(ネットビジネス本部ネットマーケティングユニット SEOストラテジスト) ラフテック 伊藤 新之介 氏(代表取締役) モデレーター Ginzamarkets 黒瀬 淳一(日本カントリーマネージャー)

テーマ:コンテンツを使って集客するための手法をSEO、ソーシャル、外部メディア配信について紹介 Found Conference in Tokyo 2016 第三部

概要

SEO、ソーシャル、外部メディア掲載という手法は、自社サービスに適した方法を選択するべきだというのはもちろんですが、コンテンツの最適な作り方が、それぞれ異なるため、自社が得意な方法を選ぶという視点も必要だと感じました。 弁護士ドットコム 亀松氏は、Yahoo!などのポータルやGunosy、スマートニュースなどのアプリにニュースを配信して多くのトラフィックを獲得しています。ヤフトピに掲載された場合、1本のニュースで、10万〜数百万のPVにつながるということで、そこにフォーカスして集客を行ってきました。媒体により掲載されやすいニュースが異なるため、どこに掲載されるかということを意識して、ニュースコンテンツを作成されています。亀松氏は、同じ内容のニュースであれば新聞社やマスメディアの方が媒体の信頼性が高く、そちらが選ばれてしまうため、ヤフトピなど人気の掲載先を狙う場合は、弁護士ドットコムにしか作れない記事を出すことを意識しているとのことです。 リクルートライフスタイルの酒井氏は、多くの集客手法を実践する中で、ソーシャルなどと比べると、SEOは、検索ボリュームをベースとしたシミュレーションが行いやすい点、一定の知識があればコンテンツを作成しやすい点、検索をするような悩んでいる人にアプローチできる点でメリットがあると語りました。したがって、検索ボリュームや順位データをベースにターゲットユーザーが使いそうなキーワードを選定し、コンテンツを制作されています。記事の執筆工程を細かく分けて品質管理をしクオリティに注力した上で、Googleの動向にも気を配り、モバイルフレンドリーなどの各種のアップデートにも素早く対応しながら運用しているとのことでした。 ラフテック 伊東氏はソーシャルメディアでバイラルコンテンツを発信することで多くのトラフィックを獲得しています。同社が運営するクレイジーという媒体では、初月から900万PVを獲得。バイラルコンテンツも、弁護士ドットコムの外部メディア配信と同様、当たった時の爆発力が非常に大きいことが特徴です。伊藤氏によれば、ソーシャルメディアごとの特性を踏まえて運用する必要があるとのことで、Facebookは1本投稿が滑ることによるマイナスの影響が大きいため、シェアされないコンテンツは流さず、またTwitterはトレンド入りすることで大きな拡散につながるためトレンドに入るコンテンツを分析することが重要とのことです。また、10代〜20代前半を狙う上でLINEも集客目的で活用できる可能性があるとのことでした。  

メディアにイベントレポートを掲載いただきました

本イベントについて、メディアにイベントレポートを掲載いただきました。 MarkeZine コンテンツマーケティングで話題になる企業の特徴とは? 人気9社が明かした方法論 https://markezine.jp/article/detail/23828 マイナビニュース 実践する3社が語る、画像・動画・VRを用いたコンテンツマーケティング最前線 https://news.mynavi.jp/news/2016/02/22/091/ ferret コンテンツマーケティングにおける画像・動画・VRの可能性-第3回FOUND Conference in Tokyo- https://ferret-plus.com/3264 良いコンテンツを発信し続ける仕組みと体制-第3回FOUND Conference in Tokyo- https://ferret-plus.com/3265 コンテンツをターゲットユーザーに届けるための集客手法-第3回FOUND Conference in Tokyo- https://ferret-plus.com/3266 Marketing Base コンテンツマーケティングの新たな手法を考える https://marketing-base.jp/hot/4189