大手企業のコンテンツマーケティング事例
2012.07.13 |
アメリカのP&Gやコカ・コーラが、伝統メディアからデジタルメディアに投資をシフトし、コンテンツに注力すると明言したことで、一躍注目の的となっているコンテンツマーケティング。日本ではこれからか、、、と思いきや、既にコンテンツ/コンテンツマーケティングに力を入れる日本の大手企業も何社もあります。このブログ記事では、その中でも特に目を引く7つを紹介します。
コンテンツマーケティングと、昨今の動向
コンテンツマーケティングについての概要は、Social Media Experienceさんのブログにうまくまとまっていますので、こちらご参照ください。
コンテンツマーケティングとは何か?:重要戦略とされる理由
アメリカで、コンテンツマーケティングへのシフトを鮮明にしている会社の1つはP&Gです。例えば、Old Spiceという男性向け制汗剤では、下の男性が登場する30秒程度の動画をたくさん作っています。この動画1本の視聴数は4000万回以上で、同様のコンテンツが400本以上YouTubeにアップされています。
最近だと、ロンドンオリンピックに向けたコンテンツがアップされていますね。Best Job | P&G London 2012 Olympic Games Film
Best Jobというタイトルで、子の成長と成功を支え、見守るお母さんの視点でのストーリー動画です。現時点500万回強の視聴数です。コカ・コーラも同様で、伝統的メディアには頼らず、クリエイティブで、ストーリーテリング的なコンテンツを作るとアピールしています。ロンドンオリンピックに向け、120ものコンテンツを作ってユーザーとのコミュニケーションを図るそうです。
既に動いている日本大手企業のコンテンツマーケティング展開事例7選
そんなアメリカのマーケティングの動きに対して、日本の大手企業でも新たに/以前より良質なコンテンツに基づくコミュニケーションを行う大手企業が何社もあります。
1.資生堂:Beauty&Co
テレビCMに大量予算を投下しているイメージのあった資生堂さんですが、この4月に「美と健康」をテーマとしたポータルサイト「 Beauty&Co 」をオープンしました。
「ユーザー」、「企業」、そして美容ジャーナリストなどの「専門家」が一緒になり、単独の企業サイトでは網羅できない多面的な情報共有を行うことを狙いとしています。
情報ポータルとしての立ち位置を持つ上で、タイアップ企画やリアルイベント、また通販などとの連携も視野に入れているようです。パートナー企業も多く、ブランドモールには現在約30社が名を連ねています。
2.ゴルフダイジェストオンライン:GDOニュース
ゴルフ総合サービス大手のゴルフダイジェストさん、ゴルフコース予約やゴルフ用品ECのイメージが強いかもしれませんが、大手スポーツサイトよりも豊富なゴルフ情報を提供する「 GDOニュース 」を以前より運営しています。ゴルフ関連ニュースやトーナメント速報はもちろんのこと、ゴルファーには嬉しいレッスンコンテンツや、国内外プロゴルファーのスイング動画 なんてものまであり、至れり尽くせりです。
3.モリモト:SUMAU
デザインマンションデベロッパーのモリモトさん、2003年からデザインコンテンツブックのPRマガジン「SUMAU」を発行しており、2010年からはそのウェブ版であるウェブマガジン「 SUMAU 」を提供しています。PinterestのPin itボタンをいち早く取り入れたことで注目された通り、非常に美しい写真が多く、こんなところに行きたいなあ、こんな体験したいなあと思える記事ばかりです。作り手のこだわりや価値観を感じる内容です。
4.コカ・コーラ:コカ・コーラ オリンピック応援パーク
アメリカでもコンテンツマーケ/デジタルマーケの先頭を行くコカ・コーラさん、日本でももちろん「らしい」コンテンツをオープンしています。3月頭に、2012年ロンドンオリンピックに向け「 コカ・コーラ オリンピック応援パーク」をオープン。既に65万人が応援中とのこと。オリンピックのTV番組表やニュースに加え、過去オリンピック出場者のインタビュー動画や、コーラとオリンピックの歴史に関するゲームコンテンツも有るようです。インタビュー動画なんて、一昔前ではテレビ以外では見れませんでしたね。
5.セールスフォース:Social Enterprise
ここまでBtoC企業ばかり紹介しましたので、そろそろBtoBも。今やクラウド系企業大手のセールスフォースさんですが、「 Social Enterprise」という、ソーシャル関連の国内外事例や動画、連載コラムなどを含む、マーケター向け情報サイトをオープンしています。内容は、自社ソリューションに絡まないものの方が多そうです。ChatterやDesk.comなどを開発/リリースし、Radian6やBuddy Mediaを立て続けに買収、最近ではTwitterとのグローバルアライアンス合意。Social Enterpriseサイトは、ソーシャル領域、特にエンタープライズ利用でのソーシャル領域に軸足を広げているセールスフォースさんらしいコンテンツです。
6.アイリスオーヤマ:アイリス暮らし便利ナビ
家庭用品やペット品、インテリアやガーデニング用品など、ホームセンターに売っているものなら一通り製造/販売するアイリスオーヤマさん。そのアイリスオーヤマさんが、2009年より運営している情報サイトが「 アイリス暮らし便利ナビ」です。主婦向けの家事関連の裏技や生活の知恵情報などを提供しています。
それ以外にも、キッチンドットコム、犬といっしょ、猫といっしょ、家庭菜園ドットコム、ガーデニングドットコムなど、色々と情報サイトを運営しています。
このサイトとは別コンテンツですが、個人的にちょっと「おおっ!」と思ったのがYouTubeの動画コンテンツ「アイリス暮らし便利ナビ☆お掃除徹底検証(窓・サッシ編)」。やり始めるも息切れしてしまったのか、4動画に留まっていますが、生活ノウハウはテキストよりも動画の方がわかりやすい(だからこそ、お昼の番組でよく取り上げられますよね)ので、是非とも頑張って頂きたいところです。
7.ロッテ:爽力取材!放課後ニュース
言わずと知れた、お口の恋人ロッテさんが、「爽」のプロモーションとして3月にオープンしたサイトが「爽力取材!放課後ニュース」です。見るに、アイスニュースなどあり、継続なコンテンツとして育てるよりも、プロモーションサイトの感が強いですが、それでも中高生向けにテキストコンテンツでニュースとは、新しい試みではないでしょうか。
補足:「コーク×メントス」を自由研究にした少年がいるんですね。知りませんでした。コンテンツがどんどん複製されていく、素晴らしい複製/波及/認知効果ですね。
https://youtu.be/cp99mB5XUOI
番外編.ヤマサ醤油:YAMASA RED
番外編として追加で取り上げるのは、ヤマサさん。そう、醤油の、ヤマサさんです。私は、上のサイトを見て結構衝撃を受け、こんな言い方したら失礼なのですが、これが醤油屋のサイトか!と良い意味で思いました。「 YAMASA RED 」というサイトです。良質なコンテンツというよりも、日本でもFacebook、Twitter登場以前からマーケティング手法として用いられているSNS囲い込み系コミュニケーションですが、消費者とオンラインでコミュニケーションしていこうという意気込みを感じます。
調理テクニックやレシピコンテンツ、YouTube動画などもあります。
まとめ
今回取り上げた7+1社ですが、お恥ずかしながら半分以上知りませんでした。「コンテンツマーケティング」というバズワードは、この1年くらいの間にアメリカから輸入されました。しかし、このバズワードがあるからコンテンツに力を入れる、というわけではないはずです。消費者のネットメディアへの接触時間/割合の増加と、消費者の情報選択性と発信力の増加は、年々増すばかり。
参考:このブログ記事内でメディア接触時間割合の変化をまとめています
その消費者の流れの中で、自社や商品の想定顧客に対して認知を広め、好意を持ってもらい、関係性を持とうと思ったら、枠や時間の決められた伝統メディアCMや広告を出すよりも、自社で好きなようにコントロールできる自社デジタルメディア/デジタルコンテンツにシフトしていくのは、ごく自然な流れではないでしょうか。このブログ記事では、そんな7+1社の事例を取り上げてみました。