BtoB企業のマーケティングとして、コンテンツを通じて潜在顧客との接点を持ち、リードを獲得、更にナーチャリング用のコンテンツや営業サイドと連携しながら顧客化へとステップアップさせていく、インバウンドマーケティングへの取り組みが活発化しています。
企業ブログ形式からオウンドメディア展開へ拡大するBtoB企業のコンテンツマーケティング
BtoB企業のコンテンツマーケティングは、顧客化のステップをトラッキングしやすいこともあり、BtoC企業よりも早くから実施されてきました。2013年頃までは企業ブログが一般的でしたが、最近ではオウンドメディアの展開も増えつつあります。簡易的な企業ブログ形式と違いオウンドメディア化すると、編集担当などの体制を整え、定常的にコンテンツを公開し続けます。オウンドメディア化が増えるということは、BtoB企業のマーケティング予算として、以前よりもコンテンツマーケティングに予算配分をシフトしていると言えるでしょう。
コンテンツマーケティングインスティチュートがアメリカのBtoB向けコンテンツマーケティング調査においても、向こう1年でコンテンツマーケティング予算を増やすと回答している人が55%と半数を超えています。

出典:New B2B Content Marketing Research: Focus on Documenting Your Strategy
https://contentmarketinginstitute.com/2014/10/2015-b2b-content-marketing-research/
BtoB企業はサービス紹介や記事コンテンツに加え、ノウハウをまとめたeブック、動画での事例紹介、リアルのセミナー・イベント、ウェビナーなどのコンテンツをオウンドメディア上で運用しています。
BtoB企業によるコンテンツマーケティングの活用目的
BtoB企業のコンテンツマーケティング活用目的は大きく5点あると考えられます。
1. 企業PR/ブランディング
企業の認知度向上を目的とした、PR/ブランディングのためのコンテンツ展開を意味します。自社のメッセージ込めたコンテンツをWeb上で広く発信することにより、ユーザーとの接点を持つと共にブランディングに寄与します。
2. 認知度向上
企業内で購買を検討する際、担当者は、まずWebで検索することからはじめることが多いでしょう。検索するユーザーとの接点となるコンテンツを、ユーザーニーズに合わせて用意することで、認知度向上へとつながります。
3. リードジェネレーション
Webで接点を持ったユーザーと検討期間中に継続的なコミュニケーションをとるために、連絡先を得ることが大事になります。Facebookでの”いいね”による緩い関係性獲得から、メルマガ登録によるメールアドレス取得、eブックや会員登録による氏名、メールアドレス、会社名、電話番号等、プッシュアプローチができる情報の取得まで、複数の方法があります。
4. リードナーチャリング
連絡先や連絡手段を取得したリードに対して、業務ノウハウ・調査情報等を元にした記事、eブック、調査データ、セミナー等のコンテンツを使い、検討を進められるようにします。
5. 既存顧客のリピート/リテンション
顧客化した後にも、サポートにより良好な関係を築くことで、リピートやリテンションにつながります。既存顧客へのサポート内容をWeb上でオープンにすることで、見込み客への検討促進にも寄与することもあるでしょう。
今回は上記を目的にコンテンツマーケティングに取り組んでいると思われる5つの事例をご紹介します。
1. 企業広報誌をデジタルメディアにした日本IBMの「mugendai」
1969年に創刊された企業広報誌「無限大」を元にしたWebメディア「mugendai」。「ITと社会の架け橋」をコンセプトに、イノベーションを触発するデジタルメディアとして、クラウド、デジタルライフ、人工知能、ビックデータといったITと、社会をつなげる情報を発信しています。紙媒体のみから、Webメディアの形態も取ることでコンテンツの拡散力を増し、ターゲットである企業のエグゼクティブ層や日本のオピニオン・リーダーに向けてメッセージを発信するPRサイトとして、ブランディングの役割を果たしていると考えられます。
2. 認知度向上で成功している「LIGブログ」
Web制作会社LIGがサイトTOPから展開しているオウンドメディア。2014年10月時点で月間PV数が340万人を超える集客力があるサイトです。面白いバズコンテンツが有名ですが、Similar webによると、検索経由の流入が57.68%、ソーシャルメディア経由の流入が11.28%(2015年10月時点)となっていて、SEO経由での流入に強いコンテンツ作りをしていることが伺えます。

2015年秋のサイトリニューアル後、コンテンツのテーマをWEB、LIFE、キャリア、旅、マーケティング、DevRel、英語へと変え、Webマーケティングコンテンツの充実をしつつ、旅や英語等まで領域を拡大しています。
3. リードジェネレーションに活用しているBuzzsumoの企業ブログ
Buzzsumoとは、ソーシャルメディアで拡散の多いコンテンツをピックアップしてくれるソーシャル分析ツールです。Buzzsumoは企業ブログ形式で、ソーシャルメディアでのマーケティング戦略やノウハウについてのコンテンツを展開しています。各コンテンツでは、お相撲さんのキャラクターの画像を用いており、自然検索経由で初回流入した場合にも、Buzzsumoのコンテンツであることを印象づけています。

※当社がBuzzsumoを用いて調査した記事はこちらでご覧いただけます。
87サイト425個のシェア上位コンテンツを調査して分かったソーシャルでシェア/バイラルされるコンテンツ(上)〜特徴まとめ編〜
https://demandsphere.jp/blog/social-content-research-feature
87サイト425個のシェア上位コンテンツを調査して分かったソーシャルでシェア/バイラルされるコンテンツ(下)〜コンテンツ事例編〜
https://demandsphere.jp/blog/social-research-case
ブログの上部、個別記事の上部には、メルマガ登録を促すフォームを常時設置し、はじめて記事をみる際には、左下にポップアップでメルマガ登録を促すフォームを表示しています。リードとしてメールアドレス取得して、メルマガでノウハウ記事を紹介しながら、見込み客とリレーションを構築しているものと思われます。
4. リードナーチャリングに活用しているCoScheduleの企業ブログ
CoScheduleとは、コンテンツ制作に関わる人の編集カレンダー機能を提供するツールです。企業ブログ形式でコンテンツやeブックを展開しています。

Resourse Libraryとして、60以上のフリーeブックを用意しています。メールアドレスを登録することにより、アクセスできるようにしています。eブックはソーシャルメディアマネジメントやインフォグラフィックの活用方法、メールマーケティングのノウハウ等、コンテンツ制作者の業務で必要とされる内容となっていて、情報を求めるときにリソースへアクセスすることで、ナーチャリングに活用しているものと考えられます。
5. 既存顧客のリピート/リテンションのためのパナソニックの企業ブログ「制御機器知恵袋」
「商品についての基礎知識や使い方、カタログ用語の解説など、パナソニックの担当者がわかりやすく解説」をコンセプトに展開している企業ブログ形式のコンテンツマーケティング。顧客化した後の、フォローアップにもコンテンツを活用している事例です。

お客様からのお問い合わせに対する回答も記事コンテンツ、eブックとしています。

既存のお客様へのサポートを前面に出したサイトとなっていますが、商品カタログサイトや通販サイトへも誘導しており、既存顧客のリピート購入、見込み客との接点としても役割を果たしているものと考えられます。
補足:Ginzamarketsが企業ブログ形式で進めるコンテンツマーケティング業務支援
Ginzamarketsが自社サイトのブログで展開しているコンテンツマーケティング。コンテンツマーケティング・SEO業務で成果を出せるよう、ノウハウ、事例インタビュー、eブック等を展開しています。Ginzamarketsは本社がサンフランシスコにあることから、海外の最新トレンドを毎週金曜日に、まとめ記事としてご紹介していますので、情報収集にお役立て下さい。