カスタムダッシュボードを使ったコンテンツマーケティング、SEOのオペレーション化

カスタムダッシュボードを使ったコンテンツマーケティング、SEOのオペレーション化

2015年3月に、Ginzametricsのレポート機能の拡張としてカスタムダッシュボード機能をβ版でリリース致しました。カスタムダッシュボード機能をリリースした背景には、コンテンツマーケティングにおけるオペレーション作りの重要性があります。2012年以降、Googleのコンテンツを重視したランキングアルゴリズム(パンダアップデート)の導入以降、日増しにSEOにおけるコンテンツの重要性が高まっています。ソーシャルメディア上においてもコンテンツ/コンテキストの良し悪しにより拡散度合いに大きな違いが生まれるようになりました。コンテンツマーケティングという言葉も、ここ数年で色々なところで聞かれるようになり、コンテンツ作りに注力する企業も増えました。コンテンツマーケティングも、マーケティング施策の一つであることから、他の施策と同様にPDCAを回しながら、施策効果・精度を高めていく仕掛けが必要です。特に、コンテンツが重視されるにつれ、SEO担当だけでなく、コンテンツを制作する編集/制作担当(場合によっては外注先)なども含めたオペレーションが重要になってきました。  

データをチェックする習慣作り

SEO担当やマーケティング担当と呼ばれるような方は、これまでも普段の業務の中で各種データを見て、施策の意思決定や効果検証を行っているかと思いますが、編集/制作担当の方の場合は、必ずしもそうではありません。編集/制作の方は、GoogleAnalyticsなどの解析ツールや、検索順位などのデータをあまり意識してこなかったケースが多いのではないでしょうか? そこで、コンテンツマーケティングに取り組む際に、まず最初に課題になるのが、これまでデータを使ってこなかった方(主に編集/制作担当)が、定期的にこれらのデータを見て、課題に気づけるようになるという習慣作りです。今まで使ってこなかったランキング測定ツールやアクセス解析ツールに慣れるのは、簡単ではありません。 また、ツールの使い方が分かっても、何が課題なのかをデータから把握するには、ちょっとしたコツや経験が必要な場合も多く、「データを使えている」という状態になるのはなおさら簡単ではありません。ただでさえ、目の前の業務で追われている場合は、複数のツールやデータソースにあたって調査や分析をするということが、非常に億劫になります。  

カスタムダッシュボードの利用例

今回リリースしたカスタムダッシュボードは、そんな悩みを解消して頂くため、必要なデータを分かりやすく並べたダッシュボードを自由に作ることができるというものです。カスタムダッシュボードのポイントは、「重要なデータに絞って見やすくする」ことです。コンテンツマーケティングのオペレーション化で重要なことの一つは、現場で簡単に施策決定の判断ができることだと思います。そのためには、できるだけ少数の重要な指標で判断できるようにすることが有効です。 現状、下記のような用途の違いによりダッシュボードを作ることが多いようです。 ・使用するタイミング(毎日、毎週、毎月など) ・使用する担当者(SEO担当、編集/制作担当など) ・施策の狙い(SEO/ソーシャル、狙いの異なるキーワードグループ) 具体例があれば分かりやすいため、当社がどうやってカスタムダッシュボードを使っているかを説明してみたいと思います。 まず、複数のダッシュボードの中から見たいダッシュボードを選択します(図1)。今回はまずソーシャルデータのダッシュボードを開いてみます。 図1 ホーム画面からダッシュボードへの遷移   ソーシャルのダッシュボードを開くと、当社の場合は、ソーシャルシグナルの時系列推移と、コンテンツごとのソーシャルシグナルが確認できるようにしています(図2)。 まず①でソーシャルシグナルの推移を確認します。優先的に狙っているソーシャルメディアで拡散されているかを主にチェックしています。 また、②で各コンテンツのソーシャルシグナルをチェックします。特定のソーシャルメディアを狙ってコンテンツを作るような場合は、狙い通りになっているかをチェックします。 図2:ソーシャル用ダッシュボード(当社例) ソーシャルダッシュボード   更に、気になるページがあれば、深堀してチェックします。各ページのタイトルをクリックすれば、各ページのソーシャルシグナルの時系列推移を確認できる画面に遷移します(図3)。 ①では、拡散の起点になったソーシャルメディアは何か、複数のソーシャルメディアに拡散が広がっているかを、②では拡散が継続した期間は十分かなどを確認します。 図3 ソーシャルシグナルの推移   さらに、ソーシャルシグナルが広がった結果として、外部リンクを獲得できることもありますので、その点もチェックします(図4)。 ①でリンク元のタイトル、②、③でアンカーテキストやリンク元サイト/ページのオーソリティが表示されます。当社のコンテンツとテーマの合ったオーソリティの高いページからリンクが得られているかをチェックしています。リンク元ページを見ていると「こんなところでリンクしてもらえているのか」と発見があり、次なるコンテンツのネタになることもあります。ソーシャルの数値が見たい場合、ダッシュボードを起点に、上記のような流れでデータをチェックしています。 図4 外部リンク 次にSEO用のダッシュボードを開いてみましょう。当社では、SEO用にいくつかダッシュボードを用意していますが、下図のダッシュボードはCVRの高いキーワードに絞ったダッシュボードのレイアウトです(図5)。 ①でキーワードの順位分布をチェックし、目標順位以内のワード数が十分あるかを主にチェックします。更に②で他社の動きも確認します。自社が良くても、他社の方が伸びていれば、対策を打つ必要があります。③で、各キーワードの詳細な状況を確認します。当社の場合は、順位が下落したキーワードや目標順位以下のキーワード中心にチェックしていきます。④では、当該キーワードグループで、勝たなければいけないワードで他社サイトに負けているものはないかを個別にチェックします。特にこのダッシュボードはCVRの高いキーワードですので、負けられないワードが多いため、細かめにチェックします。 図5:SEOダッシュボード(当社例) SEOダッシュボード ソーシャルの場合と同様、SEOでも、ダッシュボードで改善するべきキーワードや気になるキーワードが見つかった場合は、当該キーワードをクリックし、キーワードの時系列順位とランディングページを確認します(図6)。①で自社/他社の順位の推移を確認しつつ、安定して目標順位を超えているかについてチェックします。更に②で当該キーワードでどのページがランキングしているかと、狙ったページが上位表示されているか(キーワードとミスマッチなページが上位表示されていないか)を確認し、改善対象ページを決めます。 図6 時系列順位とランディングページ 改善対象ページが決まれば、そのページのタイトルをクリックし、当該ページの基本情報(①)と当該ページでのランキングキーワード(②)の一覧を確認します(図7)。タイトルや見出し、コンテンツの内容がキーワードとマッチしているかをチェックします。必要に応じてコンテンツのリライトを行うことがありますが、その場合、どのキーワードをコンテンツの中心に据えてリライトするかについても、このデータを見て判断します。以上がSEOの場合のダッシュボードを起点にした改善施策決定までの流れです。 図7 ページ概要情報とランキングキーワード 以上のように、当社では課題を見つけ、改善内容を検討することまでの日々の業務を、カスタムダッシュボードを起点に行うようになりました。ソーシャルとSEOでダッシュボードを別にし、更にSEOでも意図の異なるキーワードグループでは別のダッシュボードに分けて運用しています。そうすることで、1つのダッシュボードを見ている時は、キーワードであれページであれ、全て同じ判断基準で評価ができるためです。結果、施策決定の判断が効率的&早くなりました。また、新しく入ったメンバーもすぐにキャッチアップしてくれました。 その他、導入企業様の中には、データに不慣れな方が使えるよう、必要最低限のデータのみ表示させるなど、利用する方別にダッシュボードを分けているケースもあります。ダッシュボードを日々の業務の中に適切に組み込むことで、日々の忙しい業務の中で、重要なデータが現場レベルで使われるようになり、コンテンツマーケティングのオペレーション化が、より推進していくことを期待します。