コンテンツマーケティングにおける外部リンクの位置付け

コンテンツマーケティングにおける外部リンクの位置付け

外部リンク記事201510 2013年頃までは、コンテンツマーケティングへの着手がトピックとしてありましたが、最近では徐々に実行フェーズに課題が移っており、コンテンツマーケティングの成果が重要視されるようになりつつあります。リンクという指標は、トラフィックやコンバージョンよりも、成果に対して間接的な指標ですが、リンク獲得もコンテンツマーケティングの指標の1つとされることがあります。今回は、コンテンツマーケティングにおける「自然発生外部リンクの獲得」の役割、背景、評価方法、事例を紹介します。  

コンテンツマーケティングにおける外部リンクの役割

2015年1月に当社が実施した調査では、コンテンツの成果として、約1割の人が被リンク数=自然発生外部リンクの獲得数をKPIとして挙げています。(調査レポート詳細はこちら コンテンツマーケティングの成果として外部リンク獲得を挙げているのが1割と、多くないことからも、この考え方に馴染みがない方が多くいるということでしょう。コンテンツマーケティングのトラフィック獲得施策において、流入経路の多くが、自然検索経由(SEO)とソーシャルメディア経由です。 Moz社の調査(Search Engine Ranking Factors 2015)などからも分かるように、外部リンクの数/質は検索エンジンの上位表示において重要視されるファクターの1つです。そのため、リンク獲得はコンテンツマーケティングよりも、SEO施策において馴染みのある指標です。SEOでは、サイトやページの評価を高める目的でリンク獲得を目指すケースが多いように思います。また、リンク経由での流入も見込めることから、外部リンク自体を流入の入り口と捉えるケースもあります。コンテンツマーケティングにおける外部リンクの評価方法の前に、まずSEOにおけるリンクの評価方法を確認しておきます。  

SEOにおける外部リンクの評価方法

既知の通り、Googleが2012年4月から開始したペンギンアップデートのアルゴリズム変更により、SEO目的の外部リンク購入がGoogleのペナルティ対象となりました。しかし、上述したMoz社の調査からも分かるように、スパムではない自然発生リンクは、依然として検索エンジンがコンテンツの質を評価する上で重要な指標であり、自然発生の外部リンク獲得は、SEO成果の1つとして、重要視されています。獲得した外部リンク自体にも、評価があります。Moz社によると、外部リンクを評価する視点として下記8点が紹介されています。 ・信頼性の強いドメインからのリンク ・リンク元ページのポピュラリティ ・リンク元ページと、リンク先ページの関連性 ・リンクに使われているアンカーテキスト ・リンク元ページに対する外部リンク数 ・リンク先ページへのドメイン数 ・リンク先ページへのアンカーテキストのバリエーション ・リンク元とリンク先ドメインの運営元の関係 ドメインの強さをどう測るかについては、Moz社が”ドメインオーソリティ”という考え方で指標を出しています。”ドメインオーソリティ”とは、Moz社が持つ複数の各種指標の総合的な指標で、自社/競合サイト比較する場合や、サイトの強さを時系列で確認する場合に利用されています。ドメインオーソリティのスコアは0~100の間で計算され、100が一番良いスコアとなります。 例えば、Yahoo!USサイトのドメインオーソリティは100、日本経済新聞サイトのドメインオーソリティは89のように、算出されます。  

コンテンツマーケティングにおける外部リンクの評価方法

コンテンツマーケティングにおける外部リンク評価も基本的には、SEOと同じ考え方であることが多いですが、「外部リンク数」、「リンク元のドメインの強さ」に加え、誰から支持が得られたかという意味での「リンク元の種類」が重視される傾向があるように思います。リンクは、リンク元サイトからの「支持」を表していると考えることができます。そう考えた場合、どういったサイト(リンク元の種類)からリンクを獲得できたかを見ることで、コンテンツが狙った層に支持されたか、受け入れられたかを判断できます。ソーシャルメディアでのシェアよりも、リンクを貼るという行為は重い作業ですので、その分、自社のターゲット層に「本当に」刺さったかどうかを測るには、良い指標です。リンク元サイトの種類で多いのは下記の5種類のサイトです。  

1. メディアサイト

メディアには、読者やファンがついています。リンク元メディアが、取り上げてくれたということは、そのメディアの読者層にマッチしていると判断したと考えることができます。読者層が、自社のターゲットとマッチしているようであれば、良いコンテンツだと判断できると思います。また、メディアサイトはドメイン評価が高いサイトが多いため、ドメイン強化においても有効なリンク元です。 (例)メディアサイトのドメインオーソリティ例 CNET JAPAN (https://japan.cnet.com)98 ライフハッカー[日本版] (https://www.lifehacker.jp)72 MarkeZine (https://markezine.jp)71 ※2015年10月時点のデータです。  

2. キュレーションメディア

キュレーションメディアとは、NAVERまとめをはじめ、主にまとめコンテンツで構成されているメディアです(主要なキュレーションメディア例:MERYiemoカラキュレ等)。キュレーションメディアも、テーマを持って運営されているサイトが多いため、自社のターゲットに合ったメディアに取り上げられたかどうかで、コンテンツを評価することができます。 例えば、ドクターシーラボ社が運営するオウンドメディア「美肌総合研究所」では、1000以上の外部リンクがあり、女性向けコンテンツ特化のまとめサイトとして有名なMERYからの外部リンクが全体の10%あります。 (2015年10月にGinzametricsを通じて調査。)  

3. はてなブックマーク

はてなブックマークも外部リンクの1つです。はてなユーザーは、登録会員数で425万人、月間ユニークユーザー数は2000万人を超えています。属性としては、30-40代中心、職業はWEBエンジニア、マーケッター、ベンチャー企業の役職者が多い特性があります。はてなは一般にIT系のコンテンツに人気の集まる印象がありますが、それ以外のジャンルでも、ブックマークを集めているコンテンツもあります。ガシーレンカー社が運営するオウンドメディア「ニキペディア」では、800強の外部リンクがあり、その内の5%がはてなブックマークとなっています。(2015年10月にGinzametricsを通じて調査。)  

4. Q&Aサービス

Yahoo!知恵袋に代表されるQ&Aサービスでも、回答時にコンテンツを引用されることで外部リンクとなります。ノウハウ系コンテンツなど、困っている人にアプローチすることを狙ったコンテンツの評価においては、Q&Aサイトに取り上げられているかどうかは、使える指標です。  

5. ブログ

特定テーマにフォーカスしたブログを運用する個人/法人は多くいます。自社が狙っている層が読者に付いていそうなブログであるかをチェックします。自社のコンテンツで狙う外部リンクの種類が何か、効果測定とセットで考えておくといいでしょう。  

外部リンクを成果指標としている事例紹介

では具体的にどのように外部リンクをKPIとして設計したらいいか、リクルートキャリア社が、コンテツマーケティングの成果として自然発生外部リンクの獲得を挙げた事例をご紹介します。 リクナビNEXTでは、2014年に”次世代機能プロジェクト”コンテンツを実施しました。Facebookいいね数5000以上を集めたバズコンテンツでしたが、その実施目的は自然発生外部リンク獲得です。コンテンツを通じて138本の自然発生リンクを獲得しました。ただ、本数だけを成果指標とするのではなく、リンクにも様々な種類があるため、どう価値換算するかのロジックを重要視。サイトのテーマや内容等、施策の評価軸でマトリックスを組み、獲得した外部リンクを金額換算できる枠組みを構築されています。   「コンテンツ施策の評価指標(KPI)は自然発生外部リンク獲得」リクルートキャリア社小川氏、中平氏へのインタビュー」 https://demandsphere.jp/blog/interviewrecruit-career-content-kpi   「事例から学ぶ!コンテンツマーケティングの進め方」 https://demandsphere.jp/resource-recruit-career-content-marketing-2014  

まとめ

・コンテンツマーケティングにおいて外部リンクという指標は、ドメイン強化やリンク元流入といったSEO的な役割以外に、コンテンツがターゲットユーザーに刺さったかを評価する役割が強い ・コンテンツマーケティングで外部リンクの評価をする場合、外部リンク数、リンク元のドメインの強さ以外に、リンク元の種類を確認する。 ・リンク元として多いサイトは、メディアサイト、キュレーションメディア、はてなブックマーク、Q&Aサービス、ブログなど