オウンドメディアの構築/運用をする企業が増えてきました。各社、記事コンテンツを中心にコンテンツを充実させていっています。そんな中、「良質なコンテンツとは何か?」といった議論も盛んになっています。
今回は、オウンドメディアにとっての良質なコンテンツとは何なのか、そしてどう計測すれば良いのかについて考えてみたいと思います。
良質なコンテンツとは?
良質なコンテンツとは何でしょうか?
SEOやソーシャルマーケティングの視点からは、トラフィックを稼いでくれるコンテンツや多くの人が参照/シェアしてくれるコンテンツこそ価値があるという考え方が多いかもしれません。
ユーザーの役に立ってこそ価値があるという考え方もあります。
「役に立つコンテンツとは何か?」を考えると深みにハマってしまいそうなのですが、個人的には、Googleの「良質なサイトを作るためのアドバイス」が参考になると思っています。良質な記事が持つべきチェック項目を20以上提示しています。全ての項目が非常に参考になります。
Googleの良質なサイトを作るためのアドバイス
「Focus on the user and all else will follow(ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。)」の理念で、ここまで世界的にサービスを成長させてきたGoogleの考える「良質なコンテンツ」の基準は、ユーザー視点でのコンテンツを考える上で非常に参考になるのではないでしょうか?
オウンドメディアにおける良質なコンテンツ
では、企業オウンドメディアにおいて、良質なコンテンツとは何なのでしょうか?
オウンドメディアの目的は、「潜在層との接点獲得」と「見込み顧客との関係構築」が多いと思います。
潜在層との接点獲得
オウンドメディアで発信するコンテンツは、機能や価格を訴求や刈り取り型の広告ではアプローチしづらい潜在層との接点を獲得するという役割があります。
見込顧客の関係構築
潜在層と接点を持った後は、ニーズが顕在化するまで、関係を維持/構築する役割も、オウンドメディアにはあります。
せっかく接点を持つことができても、関係が維持できなければ(リピートしてもらえなければ)、いざ検討段階に入った時に選択肢に入れてもらえないかもしれません。
この2つの役割を果たす事のできるコンテンツは、少なくともオウンドメディアにとって良質なコンテンツだと言えるでしょう。
どれが良質なコンテンツなのか?
では、具体的にどのコンテンツが、良質コンテンツなのでしょうか?良くも悪くも、Webマーケターとしては、何らかの指標で計測したくなります。
コンテンツの評価指標例
各コンテンツが、潜在層との接点獲得、見込顧客の関係構築、それぞれについてどれだけ貢献しているかを計測する指標を考えてみます。
1,潜在層との接点獲得
新規ユーザーとの接点獲得を計測するための指標の例としては、下記のようなものが考えられます。「検索エンジンやソーシャルメディアで目立っているか」、「そこから流入を稼いでいているか」を計測する指標が中心になります。
- ターゲットとするキーワードの順位
- 流入数
- 新規ユーザーの流入数
- ソーシャルシグナル(拡散)
- 主要なインフルエンサーの言及数
2,見込顧客の関係構築
一方、見込顧客との関係構築度合いを計測するための指標例としては、下記などが考えられます。コンテンツに接触したユーザーが、「継続的に接点を持ちやすい状況にできたか」、「継続的に接点を持てているか」を計測するための指標です。
- リピーター数
- リピートの起点になった回数
- ソーシャルメディアアカウントのフォロワー数
- メルマガ登録数
※リピーター数などは、長期的な指標になりますが、短期的な成果を計測するためにコンテンツごとの直帰率や閲覧時間などを代替指標(中間指標)として計測する方法も考えられます。
ないがしろにされがちな「見込顧客の関係構築」
オウンドメディアのコンテンツを評価するための指標を並べてみたところで、オウンドメディアを運営される皆さんに質問なのですが、「見込顧客の関係構築」に関する指標を、チェックしているでしょうか?
検索順位や流入数、ソーシャルシグナルなど「潜在層との接点獲得」に関する指標は、多くの方がチェックされていますが、リピーター数やソーシャルメディアのフォロワー数など「見込顧客の関係構築」に関する指標は、あまりチェックされてないように感じます。
以前、当社で行った調査でも、その感覚が正しいことを裏付けるデータが出ています。
コンテンツマーケティングの取り組み目的を、日米で比較した時に、アメリカはロイヤルティ向上など、見込顧客との関係を構築することも重視する一方、日本は、SEOやコンバージョンなどのトラフィック目的に非常に偏っていました。
コンテンツマーケティングの日米比較
https://demandsphere.jp/blog-content-marketing-comparison-japan-us
「見込顧客の関係構築」は難易度が高い?
日本では、見込み顧客の関係構築について、優先度が低いようですが、オウンドメディアのコンテンツ含め、新規顧客との接点獲得に偏っていると、最初は、記事を作れば作るほどトラフィックが増えるので、順調に成長しているように感じるのですが、一定期間経過すると「なかなかリピートにつながらない」、「収益化につながらない」といったフェーズが訪れることがあります。
コンテンツを通じてリピーターになってもらうには、コンテンツに接したユーザーに「継続的に読みたい」と思ってもらえるコンテンツを作らなければいけません。例えばユーザーや競合コンテンツの調査した上で、自社独自の価値をコンテンツに盛り込むなど、工夫が必要になります。
オウンドメディアを運営されていて、トラフィックが右肩上がりだと思われている方も、先を見越して、今一度、「どのコンテンツがリピーターを生むことに貢献しているか」といった見込顧客の関係構築に関する指標もチェックしてみてください。
Google Analyticsを使ったリピーターを生むコンテンツの計測方法
Google Analyticsで、どのコンテンツがリピーター獲得を生んでいるかを計測するのは、実は少しコツが必要です。
そこで、下記にて、GoogleAnalyticsで、リピート訪問に貢献したコンテンツを計測するための設定方法を紹介します。
1,アナリティクス設定
GoogleAnalyticsのアナリティクス設定のビューのセグメントを選択し、新しいセグメントを作成します。
2,セグメントの条件付け
下図のようにセグメント条件のフィルタを設定します。図の設定では、下記2つの絞り込み設定がされています。
・期間内に2回以上セッションのあるユーザーに絞り込み
・更に初回訪問のセッション時のみに絞り込み
※条件を変えることで、3回以上訪問者の2回目訪問時セグメントなども作成することができます。
この2つの絞り込みにより、「指定期間内に初回訪問をして、さらにリピート訪問したユーザー」という条件付きになりますが、リピーターの新規セッション時のデータのみに絞り込んだセグメントを作成することができます。

※「セッション数」と「セッション」の定義を誤って説明していたため修正致しました。申し訳ありません。
3,ランディングページ
2で作成したセグメントを使ってランディングページを見ることで、リピート訪問につながる起点になった初回訪問時のコンテンツをチェックすることができるようになります。

この方法により、流入をただ稼いでいるだけのコンテンツと、リピート訪問化に着実につなげているコンテンツを分類して、リピーター獲得の起点になっているコンテンツの詳細(ターゲット、構成、内容、フォーマットなど)を分析することで、勝ちパターンの特徴を明らかにすることができます。
ぜひ、ただ新規ユーザーとの接点獲得を追うだけでなく、継続的に訪問してもらえる、継続的に成長するオウンドメディアを目指して下さい。
ちなみにGinzaMetricsは、Google Analyticsとの連携は可能ですが、今回ご紹介したGoogle Analyticsのセグメントを使ったデータとの連携はできていません。コンテンツの評価を行う上で重要なデータですので、開発を進めていきたいと思います。
※もちろん、GoogleAnalyticsのセグメントをかけていないデータとは連携できますし、検索順位、ソーシャルシグナル、外部リンクなど、各種のデータを一元的に集計することは可能です。
まとめ
オウンドメディアにとって良質なコンテンツとは何かについて考えてみました。今回の内容をまとめます。
- オウンドメディアにおける良質なコンテンツとは「潜在層との接点獲得」だけでなく「見込顧客の関係構築」の視点でも評価する必要がある。
- 「見込顧客の関係構築」ができるコンテンツを作ることは、難易度が高い。
- GoogleAnalyticsを使えば、「見込顧客の関係構築」に貢献しているコンテンツを分析できる。
参考にして頂けると幸いです。