SEO対策におけるキーワード選定の重要性
キーワード選定とは、自社の市場を選ぶ作業でもあります。自社の商品やコンテンツを喜んでくれるユーザーと、そのユーザーがどう検索するかを理解することなのです。アメリカのMarketingSherpaのレポート「Search Marketing Benchmark Report – SEO Edition」によると、SEOで効果創出のために重要なものとして「Keyword Research」が1位に上げられています。キーワード選定はSEO戦略の根幹となる重要なパートなのです。
キーワードの洗い出し
キーワードを選定するために、まずはどんなキーワードが考えうるか、すべてを洗い出すことが肝心です。直感だけに頼らず、次のようなデータを利用して幅広く洗い出しましょう。1.アクセス解析 & Search Consoleデータ(自然検索のサイト流入実績のあるワード)
2.PPC広告データ
3. 社名・サービス名・通称・略称
4.カテゴリー(一覧ページやカテゴリ名称)
5.取り扱い商品名(詳細ページや製品名)
6. CSチームへの問い合わせテキストデータ
7.検索エンジンのサジェストワード
8.競合サイトのカテゴリやサイトマップページ
9.Twitterや知恵袋等のUGC
あわせて、カスタマージャーニーマップを用意しておくとキーワードを抜け漏れなく洗い出すことができるでしょう。どのタイミングでどんな検索をするのか、把握することは今後のマーケティング活動においても役に立ちます。
カスタマージャーニーの段階によってユーザーが使用するキーワードは異なる
キーワード洗い出しのために利用されるツール
キーワードの洗い出し作業では、よく利用されるツールや情報源があります。1.Search Consoleデータ
自然検索のサイト流入実績のあるキーワードは、言い換えれば、現時点の自社サイトが得意とするキーワードです。反対に、現時点でリーチできていないキーワードのことはわかりません。Search Console は非常に便利ですが、強みと弱みがあることを念頭に置いてください。 Search ConsoleはUI上では表示されるデータがかなり限られているため、APIを利用することをおすすめします。2.PPC広告データ
PPC広告を出稿している場合は、出稿キーワードをぜひチェックしましょう。PPC広告の出稿ワードは、非常に幅広いことが多いです。そのため、自然検索では流入を獲得できていない一方で、PPC経由の流入はあるワードも多く含まれています。また、PPC広告では、キーワード別に、インプレッション、クリック数、コンバージョン数などのデータも取得できます。したがって、アクセス解析やサーチコンソールでは、取得できないデータが数多くあります。4.商品カテゴリ名、サブカテゴリ名、商品名
すでにウェブサイトを運用している場合は、カテゴリページ、サブカテゴリ、商品ページなどを構築しており、データベース化(マスタ)されているはずです。このデータがあれば自社サイトの守備範囲のキーワードはほとんど網羅できます。5.問い合わせデータ
CSチームへの問い合わせはサイトでカバーできていないキーワードの宝庫です。あるECサイトの顧客は、CSチームに「お祝い」についての問い合わせが多いことに気づきました。お祝いのラッピングやお祝いのマナーなどを気にしているユーザーが多かったため、お祝いページを作成しコンテンツを充実させました。するとお祝い関連の流入が増え、全体の10%を占めるようになりました。6.サジェストワード
Googleの検索窓に入力したときの自動補完キーワードや、検索結果画面の下部に表示される「他のキーワード」は重要なヒントになります。多くのユーザーが検索している実績に基づいて表示されているからです。DemandMetricsなどを使うと簡単に収集することができます。7.社内に蓄積するデータや情報(顧客ニーズ、商品特徴など)
顧客の課題や悩みを聞く営業担当やカスタマー担当、商品の強みやウリを作る/よく知る商品担当は、情報の宝庫です。SEO担当者が認識していない、思いがけないキーワードを洗い出せることも多いです。 注意点は、他部門に協力してもらう工夫をする必要があることです。下記の記事でも書いていますが、大きな組織ほど、SEO目的だけでコンテンツ用の情報提供について、他部門が協力してくれることは少ないかと思います。 参照:オリジナルコンテンツを活用してSEOで成果を獲得している企業の3つの特徴 以前、インタビューをした看護師向け求人サイトを運営するエス・エム・エス社でも、求人案件担当のコンサルタントからの求人情報が一番重要で、手間をかけてでも協力してもらえるよう働きかけたと話されていましたが、他部門の担当者から、情報を引き出すことができている組織では、何かしら工夫と努力をされています。 SMS社のインタビュー:https://demandsphere.jp/blog/interviewsms8.競合サイトの情報(カテゴリ、サブカテゴリ名、記事タイトルなど)
4で自社サイトのカテゴリ、サブカテゴリページなどが重要と言いましたが、競合サイトのカテゴリ構造もキーワード洗い出し時に参考になります。特に他社にあって自社にないカテゴリがないかをチェックすると良いでしょう。 もし、自社にないカテゴリを競合他社が持っていて、そのカテゴリは、競合他社がしっかりニーズ調査をした上で、設計したカテゴリであれば、現状ではそのニーズを取りこぼしている可能性があります。9.Googleキーワードプランナーなどのツール
Googleキーワードプランナーなどの、各種キーワード調査ツール/方法を用いてキーワード洗い出しを行うことも有効です。 キーワード調査ツールには、関連ワード、サジェストワード、相関の高いワード、連想語、共起語など、色々な種類の調査ツールや方法があります。下記、調査できるワード別の代表的なツールになります。各ツールの概要説明は、当blogでも紹介しましたので、参照下さい(無料で使える検索キーワード調査ツール14選)。関連ワード
・Google AdWordsキーワードツール(https://adwords.google.com/KeywordPlanner)サジェストワード
・keyword.io(https://www.keyword.io/)
・グーグルサジェストキーワード一括DLツール(https://www.gskw.net/)
・Ubersuggest(https://ubersuggest.org/)
・KeywordTool(https://keywordtool.io/)相関ワード
・GoogleCorrelation(https://www.google.com/trends/correlate/)連想語、類語、共起語
・連想類語辞典(https://renso-ruigo.com/)
・weblio類語辞典(https://thesaurus.weblio.jp/)
・共起語検索(https://neoinspire.net/cooccur/)QAサイト
・Yahoo!知恵袋(https://chiebukuro.yahoo.co.jp/)
・教えて!goo(https://oshiete.goo.ne.jp/)
・Quora(https://www.quora.com/)
トレンドワード
・Googleトレンド(https://www.google.co.jp/trends/)
トレンド情報
・cotoha.com(https://cotoha.com/)
・Yahoo!リアルタイム検索(https://search.yahoo.co.jp/realtime)
11.その他(Q&Aサイト、ソーシャルメディア、キュレーションメディアなど)
自社サイト、競合サイト以外にもキーワード洗い出しの情報源として、参考になるサイトはあります。 Q&Aサイトからは悩み系のキーワード、ソーシャルメディアからはトレンド系のキーワードなどを洗い出す上で参考になります。また、キュレーションメディアやハウツー系のサイトのタイトルやタグなどからも、幅広いキーワードを洗い出す事ができます。 自社で狙っているキーワードで検索上位に上がってくるようなサイトは、競合に限らず洗い出しの際にはチェックしてみても良いでしょう。DemandMetricsのコンペティターディスカバリーという機能を使えば、キーワードの領域別の上位サイトや上位コンテンツが簡単に把握できます。ぜひご活用ください。
「キーワード洗い出し」の際の留意事項
キーワード洗い出しを行う際、次の点に留意する必要があります。- ユーザーが利用するキーワードを選定する。 対象とするユーザーが知りたいこと、探すこと、困っていることなどからキーワードを洗い出す必要があります。
- 購入モードに限定するか、非購入モードまで広げるか決める。 購入モードを表すワードは、相対的に競争性は高く、コンバージョン率は良く、ハードな情報にマッチしやすいです。 非購入モードは、相対的に競争率は低く、直接コンバージョンはしづらく、ソフトな情報にマッチしやすいです。 (特に最近は、コンテンツマーケティングに取り組む企業の増加に伴い、ソフトなコンテンツ(非購入モードの潜在ユーザー)作りの重要性に着目する企業が増えています。)
- 洗い出しを一度やって終わり、としない。 キーワード洗い出しを一度やって終わると、新コンテンツの追加、季節的な変化、ロングテールワードの特定などを見落とす場合があります。
洗い出したキーワードの分類
洗い出したキーワードは、色々な分類軸でグルーピングしてみましょう。 冒頭述べたようにキーワード選定は、最終的にサイトやコンテンツを制作/リニューアルするために行いますので、キーワード選定作業の中で、どういったコンテンツが必要になるか、どういったサイト構造にするべきかを知る必要があります。 キーワード分類フェーズでは、キーワードを色々な軸で分類することで、一定の粒度でユーザーのニーズがまとめ、各キーワードグループ(ニーズ)に対して、どういったコンテンツが必要になるか、どういったサイト構造が良いかを考えながら分類していきます。カテゴリ構造やサイトマップを作る気持ちでやると、やりやすいかと思います。後々、制作をスムーズに進めるためにも、キレイに整理していきましょう。 分類方法としては、カスタマージャーニーの各段階で分類しても良いですし、その他、よく使われれる分類例としては下記のようなものもあります。- ブランドワード単体 例:「Ginzamarkets」、「P&G」、「microsoft」、「楽天市場」
- ブランドワード×カテゴリ名など掛け合わせ 例:「ソニー テレビ」、「リーバイス ジーンズ」
- ノンブランド:ビッグワード 例:「賃貸」、「転職」、「英会話」、「海外旅行」
- ノンブランド:ビッグワード×地域等掛け合わせ 例:「分譲マンション 中央線沿線」、「アルバイト 渋谷」
- ノンブランド:ビッグワード×その他ワード掛け合わせ 例:「賃貸アパート 敷金礼金なし」、「英会話 海外出張」
- ノンブランド:カテゴリ名、サブカテゴリ名 例:「家具」、「キッチン」、「寝具」、「ペット用品」
- ノンブランド:取り扱いブランド、取り扱い商品名 例:「Nike」、「puma」、「YONEX」、「Prince」
- 事業に関連する一般名詞 例:「ゴルフ場」、「SEO対策」、「部長研修」
- コンバージョンに直結するキーワードの掛け合わせ 例:「スカート 購入」、「北海道旅行 予約」、「マンション 資料請求」
- 担当者のカテゴリ別
- 競合が存在する事業単位
- CMSテンプレート別
- その他(ユーザーの悩みワード、ユーザーニーズ等) 例:「にきび」、「肌荒れ」、「乾燥肌」、「冷え性」
- 月別のSEO施策実施ワード別