サイト構造を分かりやすく整理し、コンテンツを充実させ、順位が全体的に上がってくれば、最後はビッグワードの勝負になってきます。そして、ビッグワードはサイトの総合力で順位が決まってきます。求人、旅行、不動産、ECサイトなどのデータベース型の検索サイトの場合、取扱案件/商材に大きな違いがなければ、ページ数の大多数を占める動的ページの情報量や質には差をつけるのは難しいと思います(ビジネスモデルやサービス形態が異なればもちろん同じテーマでも差は付けられます)。
また、ビッグワードでなくても、競争の激しいワードでは、1位と5位とでコンテンツの質に大きな差があるのかと言われれば、そう大差なく、どちらも質の高いコンテンツを有するサイトであることが多いと思います。しかし、1位と5位とでは流入数が大きく異なるため、この差は重要です。
こうした類似したサイトやページで、しかもコンテンツの質に大きな差がない場合に、順位に差が生じる要因の一つは、ドメインに対する評価の高さであり、外部リンクの質と数は、そのドメインの評価に強く影響します。
外部リンクの評価方法
外部リンクは、ネガティブなイメージを持たれている方もいますが、少なくとも自然リンクに限れば、間違いなくウェブの世界で、どれだけそのサイトやページの評判が高いかを示す重要なシグナルです。各種の順位決定要因についての調査でも、外部リンクは、必ず上位に来ています。
Moz社のSearch Engine Ranking Factors 2015より抜粋
参照:
https://moz.com/search-ranking-factors
関連するサイト/ページ、しかも評判の高いサイト/ページから、多くのリンクを集めることは、依然として、そのサイト/ページの評判を評価する上で、重要です。リンクデータを集計/提供するMoz社は、検索エンジンは外部リンクの下記のようなシグナルを評価していると述べています。
- 信頼性の強いドメインからのリンク
- リンク元ページのポピュラリティ
- リンク元ページと、リンク先ページの関連性
- リンクに使われているアンカーテキスト
- リンク元ページに対する外部リンク数
- リンク先ページへのドメイン数
- リンク先ページへのアンカーテキストのバリエーション
- リンク元とリンク先ドメインの運営元の関係
参照:
https://moz.com/learn/seo/external-link
Moz社は、外部リンクの状況をモニタリングするための統計情報を提供しています。DemandMetricsでも、Moz社やAhrefs社の自社/競合の外部リンクの統計情報が確認できます。この指標を活用することで、そのサイトがどれだけウェブの世界で評判を獲得できているかを確認できます。
DemandMetricsでは自社/競合の外部リンクのステータスを比較することができる
外部リンクとソーシャルメディアの関係
外部リンク数を時系列で確認することで、サイト全体の成長もモニタリングする事ができます。その外部リンク数の推移をソーシャルメディアアカウントのフォロワー数やシェアやLikeなどのソーシャルシグナルと並べると、ソーシャルメディアの指標が高くなった時に外部リンク数も増加しやすいことが見えてきます。ソーシャルメディアと外部リンクは関係性が強く、ソーシャルメディア上でバイラルすることで、まとめサイトやブログなどに取り上げられ、リンク数が増加しやすくなります。また、アカウントへのフォロワー数やファン数が増えることで、バイラルしやすくなります。結果として更にリンクが集まりやすくなります。
ソーシャルシグナルと外部リンクの関係を分析
外部リンク獲得施策の前にまずは調査する
ではどうやってリンクを獲得すれば良いのでしょうか?不動産、旅行、求人などの検索サイトの場合、リンクを獲得するのが難しいと言われます。確かに検索サイトの場合、多くのページが検索一覧ページなど、エンターテイメント性(?)の乏しいページのため、コンテンツをフックにリンクを獲得するのは難しいと思います。しかし、リンクはコンテンツだけで獲得するものでもありません。
例えば、ビジネスパートナーのウェブサイトからリンクを設置してもらうことは、コンテンツ要因以外でのリンク獲得の代表的な方法です。広告掲載クライアントから「弊社で扱っている不動産物件(ホテル、求人情報)はこちらの不動産(旅行情報検索、求人検索)サイトに掲載しています」という感じで、ビジネスパートナーのウェブサイトからリンクを貼ってもらうなどのケースなどは、ビジネスパートナーとの信頼関係にもとづいたリンク獲得の一例です。
コンテンツ的な施策を含めて、リンク獲得施策では、基本的には下記のような方法が多いようです。
- リンクにつながりやすいコンテンツを作る。
- ソーシャルでバイラルした時にリンク転換されやすい状態を作っておく(ブロガーやはてブユーザーとつながるなど)。
- ビジネスパートナーにリンクしてもらう。
とはいえ、アクションを起こす前に、まず、現状の外部リンクを分析し、どんな外部リンクがあるかを知ることで、効率的にリンクを集めることができるようになります。リンク獲得において事前調査は大事です。
調査の目的は、どんなサイト/人から、どんな文脈で、どのページヘリンクされているのかを調べ、獲得可能性のあるリンクをまず把握することです。その際、自社が得ている外部リンク以外に、他社が得ている外部リンクも知ると良いでしょう。自社が獲得しそこねている外部リンクが見えてくるためです。
分析の方法はシンプルです。まず、自社と他社のリンク元ドメインを比較します。他社が獲得していて自社が獲得していないリンク元ドメインがあれば、それは、取りそこねている可能性があります。次に、自社のリンクと他社のリンクをチェックします。他社のリンクについては、他社だけが獲得しているリンク元ドメイン中心に確認します。それぞれ、どういう外部リンクの受け方をしているかを調べまくります。
外部リンク一覧を実際に一つずつチェックしていく
サイトと内容があまり関係しないまとめサイトなどからのリンクも多いと思いますが、関連性の強い、オーソリティの高いサイトからのリンクも見つかります。そんなリンクは、どういった背景で設置されているのかを調べ、横展開の可能性や、そのリンクが他社サイトへのリンクであれば張り替えの可能性を探ります。
他社サイトの外部リンクを調べていると、他社サイトが外部リンク獲得のために使っているテクニックを見つけることもあります。多くのテクニックは、ソーシャル上でバイラルした時に、自然リンクに転換されやすくするための施策が多いようです。自社でも実践できる施策が見つかれば、実践を検討してみましょう。
リンク獲得の施策例は、以前記事を書きましたが、内容が古くなっているため、改めてまとめてみたいと思います。ただ、どんな施策を行うにせよ、効果的なリンク獲得を行うには、リンクの調査は欠かせません。正直、大規模サイトのリンク調査は、大変な作業ですが、DemandMetricsを使えば、楽ができますので、調査に使ってみてください。
まとめ
外部リンクのモニタリング方法と、外部リンクの調査方法について紹介しました。外部リンクは、ウェブの世界における「評判」を表すシグナルです。したがって、どういった方法でリンクを獲得するにせよ、地道に評判を高める活動やコンテンツを配布していく、あるいは、ソーシャルメディアなどを使い質の高いコンテンツをリンクに転換していく施策が必要です。
- 外部リンクはサイトの評判を測る重要な指標。
- ソーシャルメディアとリンクは密接な関係にあるため、両方の指標を見ながら運用すると原因と結果が把握しやすい。
- リンク獲得施策を実践する前に、自社/他社サイトの外部リンクの状況を調査することが効果的。
リンク調査とリンク獲得は、競合性の高いワードで上位を狙っていく上では、やはり必要な作業だと思います。今回の内容を参考に実施して頂けたらと思います。