コンテンツマーケティングの実施にあたり、必ず必要になることの一つが “コンテンツ制作” です。BtoB企業、特に当社のようなネット企業では、全て社内リソースで対応することも可能でしょうが、BtoC企業は、社内だけで行うのは難しい場合が多いのではないかと思います。SEOの文脈でも、Googleさんが被リンク購入NG(検索エンジンを欺くための行為)とし、コンテンツ重視の方向性を明確にしたことを受けて、”SEOのためにはコンテンツが必要” という流れから、コンテンツ制作をアウトソースする流れも徐々に広がっています。
今後のコンテンツマーケティングとコンテンツ制作の広がりから、求められるであろうアウトソース先/コンテンツ制作パートナーを勝手に考えます。
今後求められるコンテンツ制作のアウトソース先
現時点、私が耳にすることが多いコンテンツ制作のアウトソースは、記事ライティングであり、1本いくら、何文字いくら、といった工業製品的なものです。
インターネット黎明期の、”バナー広告作ります!” に似た状況とも言えるのではないでしょうか。1本いくらの記事ライティングから、今後次のような形態のコンテンツアウトソース先/制作パートナーが求められると予想します。
良質なメディア記事と同等クオリティのコンテンツ制作/提供
安かろう悪かろうなコンテンツ制作ではなく、良質なメディア記事と同等クオリティのコンテンツ制作(記事ライティングなど)は、求められるようになるでしょう。例えば、以前飛行機内で目にしたJALの「
skyward」は、読み物として非常に秀逸だと感じましたし、モリモトの「
SUMAU」も、以前は冊子のPRマガジンとして、現在では
ウェブマガジンとして、独特の存在感を放っています。このレベル感のコンテンツを求めるブランドは多いのではないでしょうか。
このような品質のコンテンツ制作には、相応の経験を積んだ編集スタッフ、デザイン、ライター、ジャーナリストなどのチームによる対応が必要になります。
良質なメディアコンテンツの二次利用マーケット
良質なコンテンツ制作はオリジナルが中心だと思われますが、既存のメディア記事(コンテンツ)の公式な二次利用マーケットも発生するのではないでしょうか。ここで言うコンテンツとは、アニメやキャラクター、ゲームや音楽などではなく、主に雑誌メディアなどの記事/テキストコンテンツです。まとめサイトやキュレーション、ニコ動など、実質的なコンテンツの二次利用は既に巷にあふれ、著作権うんぬんの課題もありますが、メディア・コンテンツ保持者側から主体的にコンテンツの二次利用を促し、良質コンテンツ素材を前提とした加筆/編集を通じたコンテンツ作成も、良質なコンテンツの安定供給や価格の安定化、コンテンツホルダーの新たな収益機会の模索とも相まって、求められる度合いは高まるのではないかと予想します。
かなり低価格、願わくばあまり悪くない程度の品質の記事ライティング
現状の記事ライティング品質レベルのまま、より単価を下げたアウトソース先は求められるでしょう。クラウドソーシング、海外は有力な選択肢だろうと思います。
■クラウドソーシング
・
ライティングの仕事・依頼を探すなら【クラウドワークス】
・
ライティング・ネーミングの依頼/外注なら「ランサーズ」
■海外
海外はライティングアウトソースは難しいかもしれませんが、動画は徐々に立ち上がりそうです。
・
アニメーション動画制作に特化した「Crevo(クレボ)」
コンテンツマーケティング戦略立案など、上流からの関与
コンテンツ制作の前提となる、コンテンツマーケティング戦略立案などの、上流から関与するパートナー企業が求められる度合いは強くなるでしょう。アメリカのBtoCのコンテンツマーケティング調査レポートの”
2014 B2C Content Marketing Benchmarks,Budgets,and Trends“によると、コンテンツマーケティングは効果ありと判断する企業と、あまり効果がないと判断する企業で、大きく違う部分が「文書化されたコンテンツマーケティング戦略の有無」「コンテンツマーケティング戦略を統括する人の有無」です。
コンテンツ戦略からきちんと考えるか、ただコンテンツを制作するか、その結果の違いは推して知るべしといったところでしょうか。
.png)
2014年1月に開催した『FOUND Conference in Tokyo』のセッション「本業とシナジーを持つメディアを運営する」でも、編集方針やコンセプトの重要性が語られました。何のために、何を意図し、誰向けに、どういった内容のコンテンツを、どういうテイストで、逆に触れてはならない境界線やタブーは何で、といった編集コンセプトや戦略的な部分の検討は、いわゆるメディア立上げや編集責任経験がないと難しい部分もあり、この領域まで受け持てるパートナーの重要度は高いと思われます。
参考:セッションレポート:
本業とシナジーを生むメディア運営の秘訣とは?
記事ライティング以外も請け負う、コンテンツスタジオ
編集者やジャーナリスト、ライターや動画クリエイター、ITエンジニアや映像作家などのコンテンツクリエイターのネットワークを持つコンテンツスタジオも求められる度合いが高まると思われます。編集プロダクション、映像系の制作プロダクションが近いかもしれませんが、IT/Webテクノロジーに親和性があるかどうかはポイントになるのではないでしょうか。
参考:
動画によるコンテンツマーケティングとは? 海外主要ブランドが提供する動画コンテンツ10選
コンテンツ作成 + プロモート(集客/認知)まで一緒に行う
コンテンツ自体がいかに秀逸であっても、結果として誰にも見られていなければ、そのコンテンツは存在しないのと変わりません。シェアされるように工夫したり(シェアラブル)、検索ユーザーに見つけられやすくする工夫、つまりコンテンツの書き方やデザイン/テンプレートなどのコンテンツ制作に関連する工夫は必要ですが、それと同じくらい重要なのは、”コンテンツをプロモートする” ことであり、プロモートまで業務範囲に加えるアウトソース先は増えるでしょう。
YouTubeのトレンドマネージャー(ひたすらYouTube動画を見て、分析する担当)のケヴィン・アロッカ氏によると、バイラルで広がる動画のポイントの一つとして、”影響力のある人” が上げられます。要は、フォロワーが多い人が取り上げることが着火点となり、コンテンツがバズると。
また、コンテンツマーケティングのお手本事例として取り上げられることもある米国アメリカンエクスプレスの中小企業向けポータルOPEN Forumでは、IT業界のインフルエンサーであるガイ・カワサキ氏をブロガーとして迎えることで、彼のソーシャルメディアのフォロワーへのリーチを獲得しています。その他、当社レイの知人の中には、いわゆるブロガーネットワークを(当時)数百人抱えており、コンテンツのプロモートとして活用しているそうです。
メディアによるネイティブアド
この領域は、私よりも詳しい方がたくさんいますので、主たる方の記事などを紹介/参照するに留めます。
・インフォバーンさん
ネイティブアドと記事広告って何が違うの?
ネイティブアドがオーディエンスの心を動かす理由
・LINEさん
「広告なのにシェアされる」コンテンツ・マーケティング入門
・マーケティングエンジンさん
コンテンツマーケティングとネイティブ広告の現状を知るカオスマップ
立ち位置や視点によって見方はかわりますが、他人(主にメディア)の土地にコンテンツを置き、他人の読者(メディア読者)にリーチすることをアウトソースする、というのが、他の選択肢との一番の違いかなと思います。米国では、Buzzfeedのようにネイティブアドで大きな売上を上げるメディアもあり、日本でも多くのメディア主導で展開が進むのではないでしょうか。
参考:
読者数8,500万人、年間収益60億円!成長中のブログメディア「Buzzfeed」を研究する
まとめ
今後コンテンツマーケティングの広がりと共に、求められるであろうコンテンツアウトソース先/制作パートナーをまとめました。
・良質なメディア記事と同等クオリティのコンテンツ制作/提供
・良質なメディアコンテンツの二次利用マーケット
・かなり低価格、しかし悪くない程度の品質の記事ライティング
・コンテンツマーケティング戦略立案など、上流からの関与
・記事ライティング以外も請け負う、コンテンツスタジオ
・コンテンツ作成 + プロモート(集客/認知)まで一緒に行う
・メディアによるネイティブアド