施策を打っているのに検索結果が思い通りにならない。そんな時は、セマンティック検索について知ったほうが良いかもしれません。Googleが2年前に行ったハミングバードアップデートで、検索エンジンはユーザーの意図を汲み取れるようになり、ユーザーの検索意図を入力した検索キーワードと同様に考慮するようになりました。ユーザーの意図を考慮した戦略を立てれば、ターゲットユーザーにより近づけるかもしれません。
キーワードとセマンティック検索

最近まで、マーケティングとSEOの部署は、ユーザーが検索時に利用する個々のキーワードにフォーカスをして対策していました。コンテンツの最適化を行う担当者は、ユーザーが望む情報は何かを考え、それを数個のキーワードに落とし込むことを重要視してきました。
またファインダビリティを高める上で、そういったキーワード施策の本当の価値は、一般的な単語よりも範囲を絞ったワードの時に発揮されています。例えば、”シューズ”よりも、”ランニングシューズ”や、”テニス用シューズ”などのキーワードです。
一方、セマンティック検索は自然言語でウェブ検索できる仕組みです。調べたいことを2〜3個のキーワードに落とし込む代わりに、文章自体を理解して、検索する人の意図を考慮した結果を出力します。マーケターは、検索ボリューム・関連度・リソースなどの条件のバランスを取りながら、キーワードを選定していきます。どういう方法を取るにしても、成果はウェブサイトのトラフィックを増やす、さらにいえばコンバージョンを増やすことです。
当社COOのエリンは、「小規模のマーケティング部門やSEO部門にとって、対象が5000キーワードもあればメンテナンスに苦しむことは目に見えています。まずはどのキーワードが自社のマーケット分野に適しているかという視点でキーワードに優先順位をつけ始めてみましょう。私だったら、まず100キーワードで実施してみますね。良質なコンテンツを作るリソースがないのに10万単語もトラッキングしているよりずっと良いです。」と言います。
キーワードからトピック(題材)へ
定期的にアイデアを出し合い、新しいコンテンツや、ニーズに合ったコンテンツを作り続けていれば、自然とセマンティック検索の思想にたどり着きます。キーワードかトピック(題材)かと悩んだ時は、ユーザーのニーズに合うという視点でコンテンツ案を考えてみましょう。

当社CEO&ファウンダーのレイ・グリセルフーバー、「キーワードをベースに考えるよりも、トピック(題材)をベースに考えるようにしている。たとえ、このキーワードではこれだけのトラフィックを稼げる、という数字をしっかり固めていても、Googleのセマンティックベースのアルゴリズムは文脈から総合的に判断するため、予想通りになる保証はどこにもありません。さまざまなケースから分かってきたのは、トピックにフォーカスすると、複数のキーワードからトラフィックが生まれるため、複数キーワード分の検索ボリュームが合算され、結果的にマーケターの目的であるSEOに沿うことになります。」
ユーザーのニーズを理解し実行することで、新しいセマンティック検索アルゴリズムにも対応できていることになります。セマンティック検索のアルゴリズムはどんどん賢くなり、検索クエリと意図を汲めるようになったため、検索者の状況を推測できるようになりました。例えば、近所のレストランを探したい人なのか、レストランビジネスの情報を探したい人なのか、レストランのマネジメント経験を共有したい人なのか、の違いが分かるのです。
「キーワードを決めて、マーケティングファネルの各段階に適用すべきですね。セマンティック検索は、ユーザーのファネルの違いや、ユーザーが自社ブランドや製品に何を求めているのかを区別して、それらに合わせたコンテンツを推薦します。マーケターは、ユーザーの検索意図を考慮してSEOに取り組まなければいけません。そのことは、カスタマージャーニー上で、ユーザーがどういったキーワードを使うかを考える際の良いきっかけになると思います。」
と、エリンは言います。
ロングテールのキーワードを最適化する

私たちは今、キーワードベースの検索からセマンティック検索への移行期にいます。セマンティック検索エンジンは進化しているといっても、現状はまだまだキーワードベースでのSEOも必要です。ただ、今から準備することで移行をスムーズにすることはできます。
「すでにウェブページ上にあるmeta情報のタイトルやデスクリプションタグは、セマンティックサーチでも利用されます。セマンティックサーチについてはいろいろなフォーマットが流通していますが、最も有名なものは
Schema.orgですね。ここで定められているメタデータをコンテンツに追加することをオススメします。」と、レイは言います。セマンティック検索が自社の検索結果にどのような影響を与えるかを知っておきましょう。ただ、今すでにユーザーのニーズに合わせたコンテンツを出せている企業は、特に何も変える必要はありません。
ただ、もし今、自社の検索順位が下がり始めているようであれば、ロングテールの、もっと特定のニーズに合わせた幅の狭いコンテンツを作り始めた方がよいかもしれません。幅の狭いコンテンツは、ニーズには強くマッチしますが、検索ボリュームも減りますので、ここは量と質とのトレードオフになります。
キーワードベースからトピックベースでコンテンツを作り始めると、サイトランクが変わってきます。一朝一夕に起こる事象ではありませんが、その時のために今から新しいセマンティック検索に対応しておきましょう。
ソーシャルメディアからコンテキストを知る
セマンティック検索エンジンの性能が向上し、コンテキストを理解するようになるにつれて、ソーシャルメディアが新たな影響力を持ちはじめました。ソーシャルメディアを上手に活用している企業は、企業理念や製品のコンテキストを構築し、ファインダビリティを高められるのです。
エリンによると、「もし、ソーシャルメディアを有効活用するならば、”急降下爆撃”、すなわちログインして、1回投稿し、すぐログアウトするのではだめです。何の役にも立ちませんし、将来的には、ドメインの信頼度と同じように、ソーシャルの信頼度も見られるようになります。自社がソーシャルに投稿してきたコンテンツがどれくらい質が良いのかが問われるようになるでしょう。」
マーケターは、新しい情報をしっかり把握しておく必要があります。ソーシャルメディアならではの役割、それはユーザーとの正真正銘の会話、そしてユーザーの心に寄りそうことです。マーケターよりも検索エンジンの方が、ずっとユーザー情報を保有しているのですから、企業にできることは、会話して検索エンジンにコンテキストを伝え、投稿するコンテンツを最適化していくことでファインダビリティを上げていくことです。
レイとエリンは、SEOにおける成果を高めるために、以下のことがガイドになると言います。
- セマンティック検索についての情報収集
- ターゲットに効くキーワード群の把握
- トラッキングするキーワード数を決める時は、担当者の工数を考慮
- トピックに合わせたキーワードグループ作成
- トピックに合わせたコンテンツグループ作成
「セマンティック検索に対応するのは、質の高い論文を作成するようなものです。例えば、どちらにもタイトル、概要文、参照や先行研究がありますし、タイトルと内容を一致させる、引用する時はその箇所に印を付け末尾に参照情報を書く、といったことをしますからね。」