7月25日(木)にインハウスSEO担当者、ウェブ/コンテンツ制作担当者、制作会社向けの第2回Ginzametrics Open SEO セミナーを開催致しました。アメリカの最新事情として、コンテンツマーケティング市場の広がりとSEOの関わり方、インハウスSEOの成果実例などを中心に四部構成のセミナーをさせて頂きました。多くの方にご参加頂きありがとうございました。
第2回OPEN SEOセミナー
第一部 アメリカでのコンテンツマーケティングの広がりとSEO最新事情
Ginzamarkets株式会社 代表取締役社長 レイ・グリセルフーバーより発表させて頂きました。
SEOで重要視される良いコンテンツとは?B2BとB2Cの違いとは?
日本では1年程前まで外部リンク購入が盛んで、ユーザーが喜ぶ良いコンテンツを作るという発想が欠けていたが、googleのアルゴリズム変更に伴いユニークな良いコンテンツを作ることが必要とされるようにマーケットがシフトしてきた。ではユニークで良いコンテンツとは何かについて考えたい。もともとコンテンツマーケティングの概念はB2Bを中心に広がりつつある。なぜかというとB2Bのサービスはそもそもユニークでなければビジネスが成り立たず、B2Bのマーケターは常にユニークなコンテンツを用意することを試みている。具体的にいえば、サービスの導入事例や業界の最新トレンド等はユニークなコンテンツの事例となる。
B2Cでは、例えばコマースで考えてみると、商品ページは基本的にカタログの内容を元に作られることが多いため、同じ商品を扱う場合には他社と同じコンテンツになりやすい。そこでB2Cでユニークなコンテンツを用意するための取り組みとして最近アメリカでホットなのが、動画やキュレーションである。またあるアパレル会社でゲストブロガーに自社イベントのことを書いてもらったり、レビュー機能を活用しているところも多い。
B2Cにおけるコンテンツ事例
ドメインオーソリティの重要性とは
ドメインのSEOへ影響について考えていきたいと思う。ドメインオーソリティとはMoz社の提唱しているSEO指標で0〜100点で評価される。GinzametricsではAPIでMoz社のドメインオーソリティのデータを連携しておりMoz社のデータを確認することができる。ドメインオーソリティはドメインの古さ、質の高い外部リンク、コンテンツの質、TLD、サーバーの場所等複数の要素により評価されている。ドメインオーソリティが良ければその配下にあるページも自然に上位表示される仕組みとなっていて競合分析でも重要視されているKPIの1つとなっている。
ドメインオーソリティによりWebサイトがとるSEO戦略が変わると言われている。ドメインオーソリティが弱い程、外部の影響に頼らざるを得なくなり、質の高い外部リンクとソーシャルでの対応が必要になる。既にドメインオーソリティが高い場合は、内部施策中心の対策で成果が出る状態にある。
SEOへのソーシャルの影響について考える
コンテンツを作成した場合、ソーシャルメディアを通じてプロモーションをかけるのが一般的だろう。ソーシャルメディアにより一気に拡散した場合、検索順位が上がると言われているが、ソーシャルメディアでの反応がすぐに落ちる場合には、順位も同様に落ちてしまう。いい順位を維持するためには、ソーシャルメディアへの盛り上がりを持続させることと、盛り上がりがある内に質の高い外部リンクがあることが重要である。質の高い外部リンクという意味合いではメディア等で取り上げてもらうことの価値は高い。
オーガニックマーケティングテクノロジーの主要プレイヤー
オーガニックマーケティングは自然検索とPPC広告で構成されており、オーガニックマーケティングの下にコンテンツマーケティングが存在していて、SEOはコンテンツマーケティングの骨格となる。オーガニックマーケティングテクノロジーの分野としてはCRM、マーケティングオートメーション、コンテンツマーケティング、SEOプラットフォームから構成されており、それぞれの主要プレイヤーはセールスフォース、Marketo、HubSpot、Ginzametricsである。Ginzametricsは今後、コンテンツマーケティングプラットフォームとしての機能を更に拡充させていく。
オーガニックマーケティングテクノロジープラットフォームのポジショニング
第二部 ゴルフダイジェスト・オンラインのユーザーシナリオに基づくコンテンツの再設計
株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン 宣伝・PR部 部長 福永様に発表して頂きました。
ユーザーシナリオからコンテンツを再設計する
コンテンツを作って関連リンクを貼るだけでコンテンツは完成ではなく、コンテンツに対し十分に人の流れを作りそこからのアクションを促していけるようにすることが重要である。これまでのコンテンツはクライアントに還元できるコンテンツとして作成してきたことが多く、既に購入意欲が高いユーザー向けの刈り取り系コンテンツが中心だった。しかしユーザーのマインドや想定にマッチするコンテンツの必要性が浮上してきたことより、コンバージョン目的以外のユーザーシナリオに沿ったコンテンツの再設計を行うこととした。
ユーザーシナリオのセグメント軸を設定する
では、コンバージョン以外の目的のコンテンツをどう再設計するかについて、ユーザーシナリオを想定する上で、多様性を持たせるようにセグメント軸を検討した。まずユーザーとの関係性別、そして各サービスのユーザーアクションに沿ったシナリオ構築を考えた。予約一つとっても時間軸によって行動も変われば、幹事と参加者等、立場によっても異なることを意識した。
また、コンバージョン意欲によるユーザーシナリオやゴルフライフに沿ったユーザーシナリオ作成の軸も検討した。これにより未経験者向けの取り組みコンテンツがなかったこと、一旦ゴルフを止めてしまった人向けのコンテンツの必要性が見えてみた。
コンテンツ作成に当たりSEO的に意識していること
コンテンツは作っただけでは意味がないため集客につながるコンテンツであることをいつも意識している。作るにあたっての優先順位の付け方は、社内でも議論になるが、マーケターのセンスによって属人的に有効ワードを見つけること、リスティングの出稿ワードとオーガニックの差分をみてリスティングで実績があるのにオーガニックで対策していないキーワードに対するコンテンツを用意すること、直帰率が高かったり不適切なランディングページになる場合にはコンテンツを追加等で対応している。
Ginzametricsを用いたキーワード調査について
キーワードの集客効果を計り戦力化していくためにGinzametricsを調査に活用している。Ginzametricsではキーワード単体の他にキーワードグループの機能があるため、この機能を活用して「調査」というキーワードグループを作り、気になったキーワードをどんどん追加している。順位や流入数、コンバージョンの数値を取得した上で、効果が見込めそうなキーワードがあれば実際にコンテンツを作ってみて更に数値を確認する。数値が良ければ、レギュラーキーワードとして基本コンテンツに昇格をさせている。このサイクルを回していくことで集客キーワードを増やしていくことができる。
Ginzametricsキーワードグルーピング画面イメージ
第三部 転職求人サイト「@type」におけるGinzametricsを用いたインハウスSEO業務と改善事例
株式会社キャリアデザインセンター メディア本部電子メディア局 エグゼクティブマーケティングディレクター 四角様に発表して頂きました。
ビックワード中心のSEOからテールワードへのシフト
今までのSEOの概念はSEO=順位、ビックワード命だった。あるときGoogleで「転職」のキーワードで1位となった際には嬉しくて、その時のキャプチャをとっておいてある。ビックワードが重要なことに変わりはないが、ビックワードのクエリ数推移をみると確実に減少傾向にある。掛け合わせキーワードの流入シェアは大きく、テールワードへの対策に移行しつつある。しかしテールワードの対策をするには、扱うキーワード数が格段に増えるため運用方法を同時に検討する必要がある。
SEOもキーワードグループで管理する
リスティングでキーワードをグループで管理しているように、SEOでもキーワードをグループで管理している。グループ管理することにより、テールワードの管理も容易になり、集客効果の高いキーワードをみつけやすくなる。グルーピングをする要素としてはターゲットキーワードとポテンシャルの軸から設定している。
キーワードグループ設計の考え方
Ginzametricsを用いた施策の流れについて
Ginzametricsによる業務フローとしては、まず準備段階としてキーワードグループを設定し、グループ毎にキーワードを登録しておく。進捗管理として順位や流入数等の基本指標を確認している。
その数値を元に、対策キーワードの優先順位をつけてチューニングを行っていく。テールワードの場合は特に、進捗はキーワードグループ単位で確認している。パフォーマンスの確認としてGinzametricsでは順位のマッピングが出るので、キーワードグループ単位で1位~3位、4位~10位といった分布から全体感を把握している。
Ginzametricsではキーワードグループ単位で流入数・コンバージョンをみることができ、google analyticsではできないため重宝している。キーワード毎のランディングページも自動取得しそのランディングページが好ましいかどうかも確認でき、好ましい場合のチューニングはコンテンツ分析機能によるソースの改善を活用している。もちろん実際のページも目視で確認し、ユーザーに取ってマッチするコンテンツか、導線にが妥当かどうか確認している。
チューニングによる順位の下げ止まり事例
最近は流入数が取れていたものが減っていたり、テールワードの積み上げになってきているので、正直、現状維持も大変な状態にある。とあるキーワードグループにおいて、順位は下降傾向にあり結果としてトラフィックも下降傾向にあった。それを食い止めるべくチューニングを行い、平均順位はようやく改善、流入数を下げ止まりできた。下降傾向にあることをGinzametricsのグラフ表示で掴めていたからこそ、早めに対処することができた。思い入れがある作り込んだページは基本が守れているが、それをベースに量産するページは、ビックリするようなタイトルやメタタグだったりすることもあり、その引き上げを順次進めている。
第四部 自然検索をどのようにマネジメントするか、Ginzametrics活用例のご紹介
Ginzamarkets 株式会社 ヴァイスプレジデント 清水より発表させて頂きました。
自然検索のマネジメント範囲は自社ドメインだけですか?
Googleの提唱するZMOTの概念にもあるように、消費者は検索段階で次のアクションを決めているため、自然検索をマネジメントすることによるアクションへの影響は多い。しかし、自然検索のマネジメントとはコンバージョンを増やすこと、売上を増やすことだけではない。自社のブランドを維持することもあれば、自社への流入数の減少を事前に予測することもある。自然検索をマネジメントする範囲として自社ドメインのみをみている場合が多いが、例えばslideshareの自社コンテンツへの接点のマネジメントもあれば、ブランドマネジメントとして自社ブランドを扱う偽物サイトの把握も必要なことである。また自社への集客元としてアフィリエイトサイトが主要なソースの一つの場合、アフィリエイトサイト自体の集客状況が自社にも影響をもたらすため、アフィリエイトサイトを監視することが自社への自然検索のマネジメントの一部にもなり得る。
競合サイトの把握をしているか
競合サイトの動向についてはどの会社も知りたいことであり意識していることだろうと思うが、実際に競合サイトの推移について数値で取得している会社はどれだけあるだろうか。ここでは旅行サイト20社のキーワード順位についてまとめたが、このように数値で業界内でのポジショニングを把握することは、今後とっていくアクションへ大きな影響をもたらすだろう。
旅行サイト20社のキーワード順位比較
エクセルでキーワード管理をするとどうなるか
今回エクセルで300ワードの管理をしてみた。それぞれの順位を確認し、エクセルにインプットしていくが、テキストと数値の羅列で傾向を掴むことが難しい。インフォグラフィックスであればわかりやすいかと思いトライしてみたが、視覚的にトレンドは掴めなかった。先週との順位比較をするためにvlookupで紐づけてみた。順位がよくなっているのがどのキーワードで、どういったセグメントにおいて上昇、下降トレンドがあるのかを読み取りたいが、正直よくわからない。競合の動向も把握するために、競合数値も追加して取得することにした。新しいキーワードの追加も必要だと思った。しかしやりたいことが増えれば増えた分、手作業も増えていきデータからインサイトを読み取る本来の目的にエネルギーが注げない悪循環に陥っていった。
インハウスSEO業務の本来の目的を考える
エクセルでの作業にお腹いっぱいになったところで、本来インハウスSEO業務がやるべきことについて再度考えた。作業が多くあれば仕事をしている気分になりがちだが、自然検索をマネジメントし集客力を高めていくためには、数値取得の作業自体ではなく、データから何を読み取り何のアクションをとるか、そのPDCAを回していくことが本来の目的だと考える。GinzametricsはインハウスSEOプラットフォームとして、順位、流入数、コンバージョンを自動取得するだけではなく、コンテンツのソース改善アドバイス、ランディングページが適切かどうかの確認も可能となっている。この機会に自社のインハウスSEO業務が成果につながる時間の使い方、運用フローとなっているか考えてみて頂ければと思う。