2012年12月 Ginzametrics大阪セミナーレポート

2012年12月 Ginzametrics大阪セミナーレポート

昨年12月に大阪のセミナーにて、当社レイ、清水が話させて頂きました。その内容について、当ブログ記事にまとめます。  

SEO シリコンバレー先端動向

アメリカでは、2008年頃はソーシャル一色であり、SEOはホットではない状態でした。しかし、2010年頃からまたホットになり、改めて注目されるようになっています。SEOは集客チャネルとして効率性が高く、ユーザーが情報を探す方法としてやはり検索が使われているという事実もあり、SEOに注目が戻ってきています。過去においては、Googleのアルゴリズム変更の中で、サイトがGoogleに好まれるように行う、テクニック偏重なSEO施策をすることが多かったです。Googleは2012年も多くのアルゴリズム変更を行い、また今後も行っていくでしょうが、基本的にこれまでのようなSEOはダメになっていくと考えています。消費者が求めるような、有用でユニークなコンテンツを是非作って頂きたいと思います。  

Googleアルゴリズム

パンダは低品質の内容の薄いコンテンツがペナルティとなるものでした。ペンギンは変な外部リンクに対するペナルティを強化しました。またスパム的なやり方過度なテクニカルなSEOをダメにしました。その結果もあり、良質なコンテンツがこれまでになく必要とされています。有料リンク購入NGとなったことで、今後のSEO戦略や実行面で立て直しが必要とされています。  

カフェイン

Googleのインデックスは、以前は1週間とか1ヶ月で更新されていましたが、今ではずっと早くなっています。カフェインでは、リアルタイムに増えていくサイトのインデックスが出来るようにしたものであり、この影響は比較的大きいものでした。ある特定領域の検索ワードについて、新鮮なコンテンツが検索結果に表示されやすくなりました。例えばニュースとか、季節性のある内容、毎年発生するものなどです。このような情報は、ユーザーは基本的に最新情報を知りたいので、良い傾向だと考えます。 リアルタイム検索に大きな影響を与えたのは、2011年夏のGoogleとTwitterの契約解除により、Twitterのデータにアクセスできなくなったことです。ソーシャルの絡みでは、Google+は、Googleのサービスの中にうまく統合されるものもあるだろうと言われています。現時点Google+は目立った動きを見せていませんが、Googleのソーシャルにかける意気込みがかなり凄いので、Google+は無視できないと思っています。  

リンク購入の終焉

リンクビルディングは2つに分けて考える方が良いです。日本では、リンクをお金で買うということを意味することが多いように思います。一方アメリカでは、リンクビルディングはよりCRM的な活動です。参考になる/有用なコンテンツを作り、その情報に関連しそうな人に記事参照してもらう(リンクしてもらう)ことを依頼する場合もあります。これはお金ベースではなく、コンテンツベースであり、人と人との信頼関係ベースによるものです。ここで終焉と書いたのは、もちろんリンク購入の方です。アメリカでは、SEO会社がリンク販売しようとすると、もう事業会社から話を聞いてもらえません。リンク販売/購入は御法度だという認識です。  

コンテンツマーケティング

「SEO」という言い方は、少し古くなってきたように感じます。来年(2013年)からは、コンテンツマーケティングという言い方に切り替わるかもしれません。オンラインで集客する方法は、大きくは2つに分けられます。1つはペイド。つまりはオンライン広告です。お金を払って、よそのサイトに来ているユーザーを自社サイトに呼び込みます。もう1つはオーガニック。広告ではなく、コンテンツで集客する方法で、コンテンツマーケティングと呼ばれます。SEOもソーシャルメディアも、動画や記事ニュースなどもコンテンツマーケティングの1要素という位置づけであり、まるでメディア運営のようなオペレーションが求められます。コンテンツマーケティングの流れは、SEOの業界で、過去10年の中でもかなり大きなトレンドの1つだと思います。SEOというと、ブランディングとは遠いイメージがありましたが、最近ではブランディング目的でコンテンツを制作している場合もあります。検索ユーザーに対するブランド認知を広げるために、どうコンテンツを作るか検討されます。  

モバイルサーチ

日本はガラケーがあったので、モバイルの伸びは直感的に分かると思います。Ginzametricsのお客様でも、モバイルの検索流入が、PCの検索流入量と既に同じくらいだったり、場合によっては超えている場合もあります。アメリカでは、今タブレットが急速に伸び、大きな注目を集めています。タブレットは、PCを置き換えるものとみられています。日本だと、まだそこまで肌感覚がないかもしれませんが、iPadminiもあり、今後広がりを見せるのではないでしょうか。  

エンタープライズSEOツール

SEOは、外部リンク販売を行うSEO代理店や、SEOコンサルがほとんどでしたがが、最近SEOツールの利用の広まりが見られている。特に、インハウスSEOを支えるツールとしてのエンタープライズSEOツールが伸びており、SEOツールの市場規模も今後伸びる=必要性が高まる、ものと見られています。SEOツールとは別に、ソーシャルメディアに関するツールが存在しますが、コンテンツマーケティングの流れを考えると、今後この2つは統合されていき、その結果コンテンツマーケティングを管理するツールになっていくのではないでしょうか。  

マルチデバイス

マルチデバイスがウェブ制作に与える影響が大きくなってきています。少し前までは、PCとスマホを意識すればよかったものの、タブレットの登場で更に広範な対応が必要になってきました。1人の消費者が、2つ3つの端末を持っていることを前提にしたウェブ制作が必要になります。  

インターナショナル

アメリカの会社で更に成長を志向すると、グローバル展開を模索する以外の選択肢がない状態です。グローバル展開においては、もちろんマーケティングも大事になりますが、SEOは有効な施策と言えます。英語圏以外では、まだコンテンツが多くない国が多いからです。また、SEOに限りませんが、様々な活動で用いるツールや各種KPIは、基本的に各市場で統一する形になります。当社のツールも現在35カ国(2013年1月時点で55カ国)でご利用頂けるようにしています。  

セミナーでのQA

Q:PCのSEOとモバイルのSEOと分けてやるのか? A:2つに分けて把握する方が良いと思います。日本では、モバイル対応をどうするかに苦慮されていて、モバイルSEOはその次という状態の会社が多いが、敢えてモバイルSEOに限定すると、次の2パターンが見られます。 1:Ginzametricsで同URLをPC版、スマホ版で分けて管理(ユーザーエージェントで振り分けパターン)し、当該管理サイトに連携するアクセス解析データをPCとスマホで分けているお客様はいらっしゃいます。 検索ワードの傾向がPCとスマホでかなり違うため、管理キーワード含めデータを分けてみることで、どのタイミングでどの程度スマホに軸足を移していくか、SEOの対応もどのワード群/ページ群を優先するか、判断材料の一つとしてGinzametricsのスマホデータを見ています。 2:PC版と別URLでスマホサイトを制作している場合によくあるのが、主要ページのみスマホ用ページになっているパターンです。スマホ検索で下層ページに流入する場合にPCページが表示され、そのトラフィックはアクセス解析上スマホときちんと認識していない場合をよく見かけます。(スマホとしてアクセス解析上認識しているのは、スマホ用のディレクトリ配下 (/m/ など)のページのみ、の場合が多い。) サイト自体は存在するため、その意味では問題ありませんが、結局スマホとPCのデータを適切に把握できておらず、アクセス解析のデータもGinzametricsのデータも判断材料として不安定な場合があります。   Q:スマホで見てもPCで見ても、検索結果は同じ。モバイル専用にGoogleにインデックスされることはあるのか? A:今は同じですが、今年色々見ていると、分かれ始めているように感じます。もちろんGoogleの戦略はわかりませんが、ユーザー行動の違いがモバイルで明確にあれば、分けてくるのではないでしょうか。   Q:自然検索で上位に上がってくるブランドワードなどはSEO対策をする必要はあるのか? A:メーカーの場合、ブランドワード掛け合わせで、総合通販サイトなどが上位にきているケースもあります。そのようなブランドワード複合は、少なくとも状況を把握しておく方が良いでしょう。   Q:キーワードは競合比較をする方が良いというが、何を見るのか? A:自社のブランドワード、競合のブランドワードはチェック対象外です。チェックするのは自社事業に関連する一般ワードです。一般ワードはある種の未来の潜在顧客であり、浮動層でもあると言えます。そういったユーザーが検索して調べた際、競合サイトは見つけるけど自社サイトは見つからないというのは、そのユーザーの選択肢に自社が入らないということであり、それは避けたい状況ではないでしょうか。   Q:自社がまだ取り込んでいないキーワードは、どうやって見つければ良いか? A:勘と経験で、というのはやはり難しい。何かしらの情報をもとに洗い出しを行う方が良いです。PPC出稿データ、過去のPPC出稿データなど定量的な利用できるデータは使いたいですし、データ以外の場合、例えば自社の営業マンは顧客の検討事項(知りたいと思うこと、調べそうなこと)を良く知っている。 例えば、「トレンチコート 通販」の検索ボリュームは月間100以下ですが、「トレンチコート 着こなし」のボリュームはその10倍以上です。後者の検索ユーザーは、もちろん購入モードではなく、ただ知りたいことを調べているだけでしょうからCV率は低いですし、またPPC広告では狙わないであろうキーワードです。しかし新しいユーザーとの接点を作ることができます。「トレンチコート 着こなし」のような非購入モードの領域をSEOで狙うかどうかは判断です。   Q:SEOは資産性のある施策だと思うが、その施策の有効期間はどの程度と考えているか? A:正直難しい質問。1ヶ月といった短期間ではないが、1年といったほどの長期間でもない。(他社に先駆けてコンテンツを作っても、他社が真似をする場合はもちろんあり、季節性の高いキーワードは、広告キャンペーン程効果期間は限定されないが、それでもその季節に役に立つもの。)