SEOを目的にコンテンツを充実させる企業が増えました。サイト構造やリンクの影響力は依然として残しながらも、Googleの一連のアップデートの度に、コンテンツの良し悪しが重視されるようになり、コンテンツの中身の伴わないサイトは、成果を出しづらくなりました。とはいえ、闇雲に頑張ってコンテンツを作れば、それで成果が出るのかというと、そうでもありません。
せっかく作ったコンテンツが日の目を見ないままになってしまっているケースも散見されます。成功事例は色んなところで発信されますが、失敗事例は、なかなか世間で発表されないので、事前に知るのが難しかったりします。更に、コンテンツを作ったWeb担当も気づいていないケースもあります。これからコンテンツを作られる方には、失敗の落とし穴に落ちないよう、SEOのコンテンツ改善現場で、よく出会う失敗コンテンツのパターンをまとめてみたいと思います。
よくあるSEOの失敗コンテンツの3パターン
1,狙っているキーワードとコンテンツがマッチしていない
「こんな初歩的なミスするの?」と思われるかもしれませんが、意外と多いのが、キーワードとコンテンツのミスマッチです。よくある事例としては、タイトルにキーワード(特にビッグワード)が含まれているけど、コンテンツの中身がテーマにマッチしていないようなケースです。オウンドメディアの記事コンテンツなんかでは、結構あります。
例えば「中古車 選び方」というキーワードで狙っていて、タイトルにも「中古車 選び方」というキーワードを含んでいるけど、記事自体は、中古車を安く買う方法しか書かれていないケースなどです。これでは、検索順位が高くなりづらいです。
原因:ユーザーニーズの網羅性が不足
理由は、キーワードの裏にあるユーザーのニーズの網羅度が低いことです。「中古車 選び方」で上位表示されているページ群のコンテンツを見れば、このキーワードで検索するユーザーが、他にも「購入時の手続き」、「自動車保険」、「リスク」、「値下げ交渉」など、もっと幅広い情報も求めていることが推測できます。キーワードプランナーなどのキーワード調査ツールでも、ニーズの調査ができます。
参考:
無料で使えるキーワード調査ツール14選
Googleは、ユーザーのニーズにマッチしたコンテンツに高い評価を与えますが、検索ボリュームの多いキーワードは、全般的にニーズの幅が広いワードが多いため、コンテンツにも幅広い内容が求められます。
狙っているキーワードとタイトルがマッチはしていても、メインのコンテンツ自体に、そのキーワードを受けるに値する幅と深さのないケースが、案外多く、それでは、なかなか検索順位が上がってきませんし、ユーザーのニーズにも応えきれません。
対策:上位コンテンツと比較してみる
タイトルや見出しは合っていて、コンテンツも頑張って作ったけど、なかなか順位が上がらないワードがある場合は、まず、同じキーワードの上位ページの提供しているコンテンツの幅や専門性と比較して、負けていないかをチェックしてみるとヒントが見えるでしょう。
「中古車 選び方」での上位ページには、費用、注意点、保険、納期、ノウハウ、車のチェックポイントなど、幅広く、かつ専門的な情報が充実したサイトが並ぶ。いくらタイトルがマッチしていても、これらのサイトにあって自社サイトにない情報があれば、上位の獲得は難しい。
足りないコンテンツが見つかれば、それを補完したり、自社ならではの付加価値を付けてコンテンツ化できないか考えると良いと思います。
2,すでに存在するページとかぶっている
商品数の多いECサイトなどで多いのが、この既存ページと内容がかぶってしまっている問題です。ECサイトで、特集ページを制作したにもかかわらず、いっこうに順位が上がらないような場合は、このケースが当てはまることが多いように思います。
原因:既存コンテンツと同じテーマのページを作っても成果を出しづらい
ECサイトの場合、順位の上がらない特集ページを見てみると、「スカート特集」、「テレビ特集」、「スポーツシューズ特集」などアイテム軸でのページだったりします。こういったページの順位が上がりづらい理由は、自社内の他ページ(特に商品一覧ページ)とテーマがかぶっていることです。商品数の多いECサイトであれば、「スカート」や「シャツ」などのアイテム別の商品一覧ページは、通常、すでに用意されています。また、「スカート」や「シャツ」といったキーワードで検索したユーザーにとって、幅広い商品が閲覧できる一覧ページは、便利なページでもあります。
1サイトで複数のページがランクインすることが可能とはいえ、既存のページにない付加価値や情報の充実度がなければ、上位にランクインするのは難しいでしょう。そして、ECサイトなどの場合、商品一覧ページよりも充実したページを作るのは、簡単なことではありませんし、労に見合った成果が出しづらいと思います。
対策:他のページ(特に一覧ページ)で受け切れないページを作るべき
新たにページを作るのであれば、他のページ(特に商品一覧ページなど)で受けきれていないニーズを受けられるページを作るべきです。例えば、「初デート 服装」、「ワンピース 着こなし」、「新生活 家電」など、複数のアイテムカテゴリをまたいだ商品を紹介するページなどは、検索ニーズがありながら、商品一覧で対応できていないサイトが多いと思います。
「ワンピース 着こなし」で上位にランクインするセシール社のページ。ワンピースと合わせて検討したい、ジャケット、バッグ、アクセサリなどがアイテムのカテゴリをまたいで紹介されている。商品一覧ページで対応しづらい多様なカテゴリをクロスした紹介の仕方ができる効果的なコンテンツ。
参考事例:
https://www.cecile.co.jp/sc/style/tunic.html
また、「オーディオ 選び方」、「空気清浄機 選び方」など、選ぶのに知識を必要とする商材の場合は、商品情報だけでなく、選び方についてのノウハウにも需要があります。商品一覧ページのように融通が効きづらいページより、柔軟に制作できるページで対応した方がニーズに適したコンテンツになるでしょう。
「空気清浄機 選び方」で上位にランクインするコジマ社のページ。商品一覧ページや詳細ページで説明しきれない詳しい選び方が説明されている。
参考事例:
https://www.kojima.net/ec/info/CKjCgG03901.jsp
以上のように、ECサイトや求人サイトなど、DB系のサイトの様にページ数が多いサイトの場合は、作ろうとしているコンテンツやページが、他のページで対応できていないか/対応した方が良くないかを事前にチェックすると、効率的に成果の出るページを作れると思います。
3,対策ページを間違えている
詳細ページで、ビッグワードを狙ってしまっているようなケースが、この「対策ページを間違えている」という3つ目の失敗パターンです。実質的には1と同じ課題ですが、対策が異なるため、別の課題としました。「そもそも、そんなケースあるの?」と思われるかもしれませんが、これもオウンドメディアやキュレーションメディアなどでは意外とあります。よくあるのは、何らかの理由で、末端の詳細ページ(記事ページなど)がビッグワードで20位ぐらいの中途半端な順位にランクインすることがあり、自サイト内でそれが最上位だったりすると、その詳細ページを強化しよう努力することがあります。
原因:詳細ページでビッグワード勝負するのは不利
しかし、その努力はたいてい実を結びません。1の課題で説明したように、ビッグワードで検索上位を狙うには、コンテンツの幅も深さも必要になりますが、詳細ページは、サイト構造上、幅広いコンテンツとしては、不利な立ち位置にあります。どういうことかというと、詳細ページのテンプレートは、もともとニッチなニーズにしっかり受けられるよう、深く専門的なコンテンツを表現しやすいテンプレートになっていることが多いと思います。一方、詳細ページを束ねる一覧ページの方は、そういった多くの専門的な詳細ページに遷移しやすいテンプレートになっているはずです。つまり、ビッグワードのような幅広いニーズを受けるのに、一覧ページなどと比べて、詳細ページのテンプレートは不向きと言えます。
また、がんばってサイトを運営していれば、詳細ページのニッチで深いコンテンツが充実してきますので、それに伴い、更に一覧ページで受けられるニーズの幅と深さが広がってきます。その結果、一覧ページが、どんどんビッグワードやミドルワードに強いページになってきます。そうなると、ビッグワードに関しては、なおさら、詳細ページの出る幕がなくなってきます。つまり、詳細ページがビッグワードで、たまたま20位ぐらいにランクインしていても、そのページを更に強化したくなる気持ちは分かりますが、それは、サイト構造上&サイトの宿命として、近道に見えて、実は遠回りなことが多いです(粛々とコンテンツを充実させていくつもりならなおさら)。
対策:ビッグワードはサイトの総合力で勝負する視点に切り替える
ビッグワードに関しては、ランキングしているページだけを見るのではなく、もう少し幅広い視点で、「サイト/カテゴリ全体で不足しているコンテンツはないか?」と考えて、詳細ページ全体のコンテンツを地道に充実させていく方針を取ると良いと思います。
「京都 ホテル」の検索結果。上位ページは、ほとんどが京都のホテルに関する情報が満載のホテル一覧ページ。これらのサイトと同等の数と質のホテルの情報を詳細ページだけで対応するのは難しい。
まとめ
コンテンツを充実させていくことは、SEOを目的としてもしなくても、サイトを成長させていく上で必要な作業ですが、どうせなら、成果につながりやすいことを効率的にやれたほうが良いでしょう。今回は、事例を交えつつ、よくある失敗コンテンツのパターンとそれに陥らないための対策を3つ紹介しました。どれも言われてみれば当たり前のことです。でも当たり前のことではあるのですが、「SEO」や「コンテンツマーケティング」という言葉が絡むと、つい忘れてしまいがちで、それがSEOやコンテンツマーケティングの失敗につながってしまう原因にもなります。SEOのコンテンツ施策の際には、ぜひ思い出して頂けたらと思います。
- 狙っているキーワードのニーズに応えられるコンテンツを作る。
- 今、自サイトで対応できてないニーズが受けられるコンテンツを作る。
- サイト構造上、適切なページで対策する。
参考にして頂けると幸いです。