
Googleのアルゴリズムが進化する中、SEOだけを目的としたSEO対策から、サイト運営全体を最適化する取り組みにSEOの重要性が移ってきています。SEO担当者だけでできるサイト構造やコンテンツの細かなチューニング施策だけでは成果を維持することはできても、大きな成果を獲得することが難しくなっています。今後、成果を出すためには、SEO担当は、サイトやコンテンツの企画/設計段階に始まり、体制/チーム作りまで行う必要があります。
とはいえ、いきなり業務範囲や視点を広げろと言われても、イメージが湧かない方も多いのではないでしょうか?そこで、当Blogで紹介したSEO事例のうち、業務範囲を広げる上で参考にしていただける事例をまとめました。
DemandMetricsを活用し変化の激しい旅行領域で着実に成果を獲得するベンチャーリパブリック社SEO事例
検索意図の変化の早い旅行領域で着実に成果を上げているベンチャーリパブリック社の事例です。DemandMetricsの活用法として、社内のメンバーを巻き込むためのデータ活用法について触れていただいています。SEOに普段直接かかわらないメンバーにとって、SEOはSEO担当が想像している以上に分かりづらいものです。ベンチャーリパブリック社では、SEO担当ではないメンバーに優先度を上げて対策に協力してもらうためにデータを有効活用しています。
事例インタビューの中で、アルゴリズム変動やランクインページのモニタリング方法についても触れていただいています。
事例詳細:
https://demandsphere.jp/blog/venturerepublic-seo-case
高速PDCAを回すインハウスSEOチームの作り方 ウェルクス社SEO事例
ウェルクス社は、18個ものウェブサイトをインハウスSEOメンバーで運営され、事業の急成長に貢献されています。多くの企業で、SEOやウェブサイトのPDCAを回すための人材が採用できない、教育できないといった話を聞きますが、ウェルクス社は、採用、研修、実践を通じて、高速PDCAを回せるインハウスSEOチームを構築されています。ユニークな研修やPDCAを高速化するコツなど、インハウスSEOチームを強化するためのノウハウを語っていただきました。
事例詳細:
https://demandsphere.jp/blog/welks-case
変化の早いゲーム攻略情報でのSEO ゲームエイト社SEO事例
Gameエイト社は、コンテンツの質も制作スピードも求められるゲーム攻略メディア業界で順調に事業/SEOともに成長されています。ゲームユーザーは、ゲームリリース初期の段階で、気に入った攻略サイトがあれば、そのサイトを継続的に活用する傾向があるため、ゲームリリース直後のコンテンツ発信スピードと質が非常に重要です。ゲームのヘビーユーザー以上にゲームをやり込み、詳しくなり、コンテンツを発信するというプロセスを高速に回し、運用を継続するコツを語っていただきました。
事例詳細:
https://demandsphere.jp/blog/game8-case
スタートアップの成長にSEOを最大限に活用 みんなのマーケット社SEO事例
みんなのマーケット社は、SEOに組織全体で取り組み、サービス成長に取り入れた良い事例です。もともと、大手企業と戦う場合、広告予算の潤沢でないスタートアップは、SEOと相性が良い。部署間の連携も、大企業より行いやすく、組織全体でのSEO対策が行いやすいこともSEOがスタートアップに活用されやすい理由です。みんなのマーケット社では、営業部門と連携してサイトの情報を充実させ事業とSEOの成果を改善した事例をお話しいただきました。
事例詳細:
https://demandsphere.jp/blog/minma-case
SEO関連のデータをBIツールで統合し社内全体で活用 ソニーネットワークコミュニケーションズ社事例
ソニーネットワークコミュニケーションズ社での社内でのデータ活用についての事例です。DemandMetricsで集計するSEOのデータと社内データをBIツール上で連携して見れるようにし、施策の幅やスピードを改善する取り組みについて紹介しています。通常、SEOのデータはSEO担当やウェブ業務に近い部門でしか、興味を持たれないことが多いと思います。同社は、売上、CRM、会員属性等の社内データと連携させてBIツール上で見れるようにすることで、幅広い部門で活用されるようになりました。結果として、SEO絡みの施策が迅速に行えるようになり、議論もデータ起点で行われるようになり、課題や成果が共有されやすくなりました。
SEOでの成果は、ますます体制作り、チーム作りに依存するようになってきていますが、大企業ほど、部門をまたいだ連携は簡単ではないかと思います。同社は、社内データと連携してSEOのデータを見せる等、工夫をすることで取り組みを前進させています。
事例詳細:
https://demandsphere.jp/blog/sonynetwork-case
スタートアップの成長にSEOを最大限に活用 みんなのマーケット社SEO事例
生活関連の出張・訪問サービスに特化したインターネット商店街「くらしのマーケット」を運営されるみんなのマーケット社のSEO事例です。スタートアップでSEOをどう活用してきたかについてインタビューしました。スタートアップとSEOの相性は良く、広告予算がふんだんにない中、グロースさせていくにはSEOは必要不可欠とのことです。そのため、同社ではSEO担当だけでなく役員から、開発、コンサルタント(掲載企業へのフォローアップ担当)に至るまで、SEOやウェブサイトの改善に対しての意識を高く持ち、取り組まれています。組織全体でSEOに取り組むことで、サービスの差別化を作ることにもつながっているとのことです。全ての会社がスタートアップ企業のように、SEOを優先して動ける訳ではありませんが、開発や営業/サポートなどと連携してSEOの取り組みを進める際に、非常に参考になる事例です。
事例詳細:
https://demandsphere.jp/blog/minma-case
GameWith社:全員がゲーム好きだからこそ運用できるコンテンツ
国内最大級のゲームアプリの総合情報メディアGameWithのSEO事例です。月間6億PV以上のアクセスをWebサイトリリース後、2年ほどで達成するほどの急成長の背景をSEOの取り組みと合わせて紹介しています。メンバーの全員がゲーム好きであり、ゲーム好きだからこそ作れるゲームの攻略情報を中心とした各種コンテンツのクオリティと、情報の鮮度を重視してサービスが運営されています。SEOについても、検索ボリュームを追いかけていく方法だけではなく、流行ワードを予測してコンテンツを作成する施策など、ゲーム好きでなければできない方法でも実施しています。サービスを成長させたい事業責任者、リーダー、ディレクターの方には、非常に参考にして頂ける内容だと思います。
事例詳細:
https://demandsphere.jp/blog/gamewith-case
nanapi社:スピーディーにPDCAが回せるチーム作りと、良質なコンテンツを作り続けられる仕組み作り
nanapiは、日常のあらゆるテーマの10万件以上のハウツーコンテンツを扱う大規模サイトです。そんなnanapiが前年比166%増の検索流入といった大きな成果を獲得したSEO施策事例です。辻さんという信頼できるコンサルタントに方向性を示してもらいつつ、開発/編集・コンテンツ制作/マーケティングが一つのチームになりスピーディーにPDCAを回していく取り組み方です。SEOライティングの知識やアップデート情報は、マニュアル化しオペレーションに落とし込み、ライターが自然に検索に強いコンテンツが作れるようにしています。Googleのアルゴリズムの変更が早く、分かりづらくなった今、スピーディーに実験/効果検証が行えるチーム作りと、良質なコンテンツを作り続けられる仕組み作りは、非常に参考になります。
事例詳細
・
「ユーザーへ何をどう届けるか」検索流入数、前年比166%!“原点回帰”から生まれるnanapi流グロースハック
・
nanapiのSEOは技術的な側面だけではない、編集・コンテンツ制作が複雑に絡んだチーム戦
・
SEOは手段であって目的ではない、nanapiのKPIは課題に応じて柔軟に設定する活動指針
キャリアデザインセンター社:SEOに対しての正しい理解を社内に広げる
転職サイト@typeを運営するキャリアデザインセンター社のSEO取り組み事例です。事例では、社内啓蒙を続け、大規模なSEO施策に取り組めるまでになった過程とその施策内容を紹介しています。同社は、社内でのSEOの知識と意識を高めるため、数年前から自主的に社内勉強会を行っています。そして2015年、SEOに対する社内意識が強くなったことをきっかけに、SEOを主要な目的の一つとしたサイトリニューアルが実施されました。数年間の社内啓蒙が実を結び、サイト構造化、URL正規化/静的化、キーワードチューニング、マスタ変更など、サイト構造/システム全体に関わる大規模なSEO施策をリニューアルの中で実施することができました。
SEOに対しての正しい理解を社内で広げていくことは、大変で時間のかかる取り組みですが、実現できれば取り組みスピードが上がり、打ち手も広がります。キャリアデザインセンター社のように数年かけてでも行う意義は大きいと感じました。
事例詳細
・
https://demandsphere.jp/blog/interviewcareer-design-center
・
大規模サイトリニューアルを実施した当事者が語る「SEOを考慮したサイトリニューアル事例」
エン・ジャパン社:自ら成果を出し社内信頼を獲得
転職サイトを運営するエン・ジャパン社のオウンドメディア転職大辞典のSEO施策事例です。転職大辞典では、ロングテールを狙った転職ノウハウコンテンツを日々蓄積し、本体サイトで獲得できないユーザーの流入を獲得しています。ノウハウ系コンテンツで、スモールワードや、その派生ロングテールを狙った施策は、流入数が目に見える規模になるまで、一定期間かかり、コンバージョンまで遠いユーザーが多いため、社内理解の得られないケースも多くあります。エン・ジャパン社が、そこに投資できたのは、まず小さく始めて実績を作り、その実績を根拠として社内承認を得られたからだと語ります。
周りを動かすには、まず自分でできる範囲でしっかりと成果を出し、社内の信頼を獲得することもSEO担当者として必要なスキルだと思わされました。
事例詳細:
https://demandsphere.jp/interview/en-japan-case
リクルートキャリア社:ステークホルダーに合わせたコミュニケーション
大手求人サイトのリクナビNEXTでのバイラルコンテンツを使ったリンクビルディング施策における、企画、社内検討、効果検証をまとめたSEO施策事例です。コンテンツを通じて、138本のナチュラルリンクを獲得した事例です。成果の良し悪しを明確にするため、KPIをリンク獲得数/質で明確に定義しました。更に、そのKPIにフォーカスして、社外パートナー、社内の上司、広報/コンプライアンスと適切なコミュニケーションを取りながら丁寧に進めています。事例では、具体的な成果やコミュニケーションの取り方が紹介されています。「社内外の協力が得られない」というSEO担当者の悩みをよく聞きますが、上長、社外パートナー、広報など社内外のステークホルダーに合わせて、コミュニケーションの仕方を変えられることも、SEO担当者の重要なスキルだと感じました。
事例詳細
・
コンテンツ施策の評価指標(KPI)は自然発生外部リンク獲得
・
コンテンツマーケティング施策成功の裏にあるステークホルダーとのコミュニケーション
エス・エム・エス社:他部門が負担なく協力できる仕組み作り
介護・医療・アクティブシニアの領域で事業を行うエス・エム・エス社が運営する、看護師向けの人材紹介サービス「ナース人材バンク」のSEOの取り組み事例です。同社は看護師転職領域で非常にSEOに強いポジションを獲得しています。同社はリスティングの単価高騰、SEO順位の低迷を機に、内部にノウハウがないままアウトソーシングすることの弊害を感じ、約3年前に完全インハウス化のSEOに切り替えました。サイト担当、デザイナー、開発、コンテンツ作成の全てを内製化し、毎週施策をリリースするスピード感でPDCAを回し、成果とノウハウを高めてきました。求人コンテンツを扱う他部門のコンサルタントの協力は重要だとしながらも、SEOのためにコンサルタント本来の業務を圧迫しないよう自然と良いコンテンツが増えていく仕組み作りが大事だと語りました。
他部門を巻き込む上で、負担の少ない仕組み作りは、SEO担当者の重要な業務になっていくことを感じさせられました。
事例詳細:
https://demandsphere.jp/blog/interviewsms
千趣会社:日々の業務へ自然にSEOを意識する視点を組み込む
大手通販サイト、ベルメゾンのインハウスSEO事例です。同社は大規模な組織でありながら、全社を巻き込んだSEOのインハウス化を実現しています。千趣会SEOチームでは、社員全員がSEOを意識して業務ができることをSEOの方針と設定し、カタログコピーライター、制作担当、バイヤーまで巻き込んだインハウス化に取り組んでいます。具体的にはSEOチームが主体となり定期的に勉強会を行い、キーワードの選び方やDemandMetricsなどのツールの使い方を広め、リスティングも合わせた最適化を行うため、SEO、リスティング双方のデータ共有なども積極的に行っています。
千趣会社のような大規模な組織、大規模なサイトの場合は、ひとりひとりの心がけ次第で、日々のコンテンツの質が高まり、大きな成果を生む可能性があります。SEO専任でない多くのメンバーの日々の業務に自然にSEOを意識する視点を組み込む取り組みは、参考になります。
事例詳細:
https://www.slideshare.net/ginzametrics_jp/ginzametrics3open-seo-20140526
クックパッド社:「本質的なSEO」の社内浸透
数千万人が使うレシピ投稿サイトのクックパッドのSEO事例です。クックパッドはCGM型のサイトですが、事例では、「自由研究」コンテンツという編集コンテンツが検索上位を獲得するまでの取り組みを紹介しています。施策内容は、まずキーワード調査を通じてユーザーのニーズを調べ、自社の強みを活かしたコンテンツ企画を行い、ターゲットキーワードをフォーカスし、DemandMetricsで順位をチェックしながらコンテンツ追加やワーディング・タイトル調整、リンク構造などの施策を行い、約1ヶ月かけて流入が極大化する状況を作るというものです。
SEO専任の担当はいないながらも、需要にマッチするコンテンツを提供するというSEO施策として非常に王道な進め方です。この背景には、「テクニックに依存しない本質的なSEO」を志向し、「何れかの分野でNo.1になるコンテンツを集める、作る」、「ユーザーファーストなサービスであることを自問し続ける」を重視する姿勢が影響していると思われます。「華麗なSEOテクニックで流入が2倍!」といったことが難しくなりつつある中、「本質的なSEO」が社内浸透していることは重要だと感じました。
事例詳細:
https://techlife.cookpad.com/entry/2015/03/10/103416
※クックパッド社のサイトに遷移します。