ソーシャルでシェアされているコンテンツ調査の事例編です。前回は、コンテンツの特徴編ということで、バイラルしているコンテンツの特徴をまとめました。その中で、シェアの多いコンテンツは下記2つの要素を持つものが多いと紹介しました。
- ユーザーが所属する(所属したい)考え方や立場が明示されている
- 「シェアして当然」なコンテンツへの変換
今回のコンテンツ事例編では、10個の具体的な事例をピックアップし、前回の内容を踏まえシェアされた理由と合わせてまとめてみます。
1,論争(自由VSルール)×珍しい人
やりたいことだけやって生きていきたいなら、人の言うことは、一切、聞くな【ロボット工学者 石黒浩さんの仕事論】(リクナビNEXTジャーナル)

やりたいことの追求を、極端なまでに実践している著名人(石黒氏)を紹介することで、やりたいことをやるかルールに従って生きるかという論争を明示したコンテンツです。
シェアの理由
「珍しい人(極端な人)」のインタビュー記事にすることでシェアして当然のコンテンツ形式になっていると思います。その意見に賛成/反対することで、ユーザーは、自分が自由かルールのどちら(or両方)を重視するかを述べられるようになっていると考えられます。
参照:
https://next.rikunabi.com/journal/entry/20150319
2,ランキング×インフォグラフィック
7年連続最下位に終止符!有給休暇国際比較調査2014(We Love Expedia)

会社に気を使い有給休暇が取得できてない日本人の特徴がランキングにより明示され、それが分かりやすいインフォグラフィックになったコンテンツです。
シェアの理由
「インフォグラフィック」という形式を取ることで、シェアをして当然のコンテンツ形式になっています。ユーザーは、見た目に分かりやすいインフォグラフィックを紹介するという体裁で、有給が取れていない日本や日本企業についての持論を表明することができるようになっていると思われます。
参照:
https://welove.expedia.co.jp/infographics/holiday-deprivation2014/
3,特定グループ(ジロリアン)×役立つ知識
【ジロリアン必見!】都内のラーメン二郎がある26駅をまとめてみた(イエマミレ)

ラーメン二郎の熱狂的なファンである「ジロリアン」をテーマにし、ラーメン二郎が近くにある駅を網羅的に紹介するコンテンツ。
シェアの理由
ラーメン二郎が近くにある駅の網羅的なリストという「役立つ情報」という体裁を取ることで、シェアをして当然のコンテンツになっています。コンテンツをシェアすることで、自分がジロリアンであることを表明することもできるようになっているのではないかと思います。
参照:
https://magazine.ietty.me/life/jiro/
4,性格診断
アメリカで「当たる!」と話題の性格診断。方法は指の長さをチェックするだけ!?(TABI LABO)

簡単な性格診断をすることで、可愛がられるタイプか、頼りにされるタイプか、平和主義者かに分類されるコンテンツ。
シェアの理由
「診断」というゲーム的コンテンツの形式にすることで、シェアをして当然のコンテンツになっています。診断結果が、当たっていても当たっていなくても、「当たっている」、「外れている」とシェアすることで、自分がどういう性格かを伝える事ができる用になっていると思われます。
参照:
https://tabi-labo.com/121799/finger-length/
5,論争(仕事VS育児)×感動
働くとは「子どもを育て、守ること」だ(サイボウズ式)

仕事と育児の両立は多くの家庭が抱える課題です。悩んでいる人が多いだけに、持論を持つ人も多いでしょう。それを感動の動画で表現されたコンテンツです。感動動画がシェアされて嫌な人は少ないと思います。
シェアの理由
「感動動画」という形式にすることで、シェアをして当然のコンテンツになっています。ユーザーは、動画のシェアを通じて、仕事と育児の両立についての持論を述べることができるようになっていると考えられます。
参照:
https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m000388.html
6,社会問題×極論
選挙に行かない男と、付き合ってはいけない5つの理由(BLOGOS)

若者が投票に行かないという大きな社会的問題をテーマとして扱いつつ、選挙に行かない男性とは「付き合ってはいけない」という、極端な結論を述べた記事です。
シェアの理由
「極論」とも取れる意見という形式をとることで、シェアして当然のコンテンツになっています。ユーザーは、シェアを通じて、その意見に対しての持論を述べることがやりやすいようになっていると考えられます。
参照:
https://blogos.com/article/52317/
7,珍しいこと
2341年に1度の奇跡!?渡邉彩香がアルバトロスとイーグルを同日達成(GDO)

理論上は2341年に1回の奇跡の確率のスーパープレイが起きたことを伝えるニュース記事。
シェアの理由
「究極的に珍しいコンテンツ」は、紹介して当然のコンテンツです。それだけでバイラルしていくのでしょう。
参照:
https://news.golfdigest.co.jp/news/jlpga/article/58942/1/
8,新しいもの×想定外の真面目さ
うんこ「10分後に出ます」世界の悩みを解決する画期的デバイス、日本の教授たちが開発『D free』(週間アスキー)

一見、下品なコンテンツかと思わせて、実際はまじめな研究開発から生まれた新しい商品を紹介するという、ギャップを感じさせる記事。
シェアの理由
「予想外のギャップ」というコンテンツ形式を取ることで、シェアするのが当然のコンテンツになっていると思われます。ユーザーはシェアを通じて、新しい情報に詳しいことをアピールすることができるようになっていると考えられます。
参照:
https://weekly.ascii.jp/elem/000/000/307/307988/
9,特定グループ(車好き)×トリビア
R32型スカイラインGT-Rの最高出力が「280馬力」だった理由、きちんと知ってる?(日刊カーセンサー)

車について詳しくない方の場合、R32型スカイラインGT-Rの最高出力が「280馬力」であることすら知らないと思いますが、その「280馬力」である理由を紹介したコンテンツです。車好きの人にとっては「へ〜」というトリビアコンテンツです。
シェアの理由
「トリビア」という体裁を取ることで、シェアして当然のコンテンツになっています。シェアを通じて、R32型スカイラインGT-Rの最高出力が「280馬力」であることぐらいは、車好きの自分は、当然知っているという表明ができるコンテンツになっていると考えられます。
参照:
https://www.carsensor.net/contents/editor/_28274.html
10,ライフスタイル×ノウハウ
北欧、暮らしの道具店

北欧風のライフスタイルの空気感を、写真を上手く使い表現しつつ、自家製ジンジャーシロップ作りというノウハウを紹介するコンテンツです。
シェアの理由
「ノウハウ」という形式を取ることで紹介して当然のコンテンツになっていると思います。シェアを通じて、こんなライフスタイルに憧れているということを表明しやすいようにもなっていると考えられます。
参照:
https://hokuohkurashi.com/note/70263
まとめ
前回の「特徴まとめ編」では、87サイト425個のシェアの多いコンテンツを調査してみて、多くのコンテンツには、下記2つの要素が含まれているようだと解説しました。今回のポストで紹介した10個のコンテンツ事例もこれらに当てはまるものが多いと思います。
- ユーザーが所属する(所属したい)考え方や立場が明示されている
- 「シェアして当然」なコンテンツへの変換
もちろん、バイラルするかどうかは、これ以外にも、ソーシャルメディアのアカウントのフォロワー数や時流などにも影響されます。また、コンテンツの発信場所(プラットフォーム)にも影響を受けます。そういったコンテンツ以外の要因にも影響を受けることは間違いないですが、ソーシャルメディアでのバイラルを意識してコンテンツを制作する際の一つの指針にはなりますので、参考にして頂けると幸いです。また、今回は、シェアの多いコンテンツを目で見て、コンテンツの特徴を整理するという、主観に依存した調査方法ですので、もし、より厳密かつ詳細に分析した調査がありましたら、お知らせ頂けるとありがたいです。