こんにちは、レイ・グリセルフーバーです。本年もどうぞよろしくお願いします。本記事では、2025年に何度も取り上げたトピックと、DemandSphere にとって重要だった出来事を振り返りたいと思います。
検索データは「行動」
2025年は、「SEOはもう終わった」「結局すべてSEOだ」といった不毛な議論に多くの時間とエネルギーが費やされていました。しかし突き詰めれば、もっとも重要なのはユーザーでしょう。今後の検索がどうなるかは、ユーザーが決めることです。私たちもまた、ユーザーに注目すべきです。
この業界では、SERP や LLM から得られる検索データを単なる「値」と捉えがちです。確かにそうなのですが、同時に「人間の行動データ」でもあります。人間の行動の結果が SERP や AI 検索に大きな影響を与えているからです。本来、これは議論の余地がないはずでしょう。
かつては、Google がユーザー行動を使って SERP を最適化している、という考えを信じない人もいました。ランド・フィシュキンがこの考えを披露した際には、Google がそんなことをするはずがないという意見がありました。しかし、Google には Chrome があり、Analytics があり、Android もあります。ユーザーの行動を観測・測定する手段を、これだけ持っているのです。使わないはずがないでしょう。反トラスト法による裁判を経て、今ではこの事実は広く理解されるようになりました。
検索順位や SERP は SEO テクニックによって決まるのではなく、ユーザーの行動に依存するということです。逆に、SERP の変化を見極めることができればユーザーを理解することに繋がるでしょう。なぜこんなリッチスニペットが出現しているのだろう?と考えることはユーザーについて考えるのと同じです。
コンテキストウィンドウには限界がある
大規模言語モデルは、変化するすべての情報をリアルタイムに反映することができません。大規模言語モデルが一度に処理できる情報量の最大値を、コンテキストウィンドウと言います。コンテキストウィンドウには限界があります。技術的にも経済的にも、世界中のインターネット全体を一度に言語モデルに取り込むことはできないのです。
コンテキストウィンドウの限界を補う手段として、RAG が必要になります。しかし、RAG を効率的に活用するには、インデックスが不可欠です。この点で、AI 検索において、明らかに Google が優位でしょう。その他のプレーヤーは、莫大な資金を費やし、元 Google 社員を雇ったとしても、実用に耐えるレベルのインデックスを作るには、何年もの時間がかかるからです。Bing を見れば明らかです。2009年にリリースされ、非常に優れたプロダクトではありますが、Google に追いつくにはまだまだ時間がかかりそうです。
インデックスを勝ち取れ
OpenAI は必然的に何らかのインデックスを使わざるを得ません。彼らは Bing を使っていることで知られ、Google のインデックスは使っていないと思われていました。私はそれがどうにも腑に落ちなかったので、調査を始めることにしました。2024年末には、Botify と共同で AI オーバービューに関する非常に面白い調査を行いました。このレポートは、今読み返しても十分に価値があります。基礎的な知見が多く含まれており、わずか1年前に状況がどうだったのかを知るうえで、良いスナップショットになっています。
このプロジェクトをきっかけに、さらに調査を進めることにしました。当時はまだ前例がなかったのですが、引用 URL を調査することで LLM 検索の正体がわかってきたからです。私が気になったのは、「ChatGPT は本当に Bing だけを使っているのか?」ということです。2025年2月に、Google にしかインデックスされていないリンクが ChatGPT に多数存在することを発見しました。
私はこの調査結果を、2025年4月の brightonSEO UK で発表しました。あの大きなカンファレンスでさえ、このようなテーマを発表した人はほかにいませんでした。これを機に多くの方に注目いただき、非常に思い出深いプレゼンテーションとなりました。
現在は多くの有識者が ChatGPT は Google を引用していると主張しています。調べれば簡単にわかることです。1月の JavaScript 必須化や、9月の num=100 無効化は、こうした背景を踏まえるとさらに理解できるでしょう。
AI 検索にせよ SEO にせよ、まずはインデックスされることが欠かせないといえます。
すべての検索は AI 検索である
LLMO vs SEO の論争について一言申すと、「AI ではない検索」は存在しないと思います。現在の検索システムはあらゆる箇所に AI が組み込まれており、すでに 10年前から「AI 検索」は稼働しているのです。マイク・キングが繰り返し強調しているように、すでにキーワード一致を中心としたレキシカル検索の世界は終わりました。
現在の検索システムでは、以下のような技術が活用されています。AI 検索の未来について論ずる前に、まずはこれらを理解するべきです。
・セマンティック検索
・エンベディング
・ベクトル化とベクトル分析
・エンティティ
・ナレッジグラフ
もちろん、LLM 登場以降に様々な変化がありました。ChatGPT、AI モード、AIオーバービュー、Geminiなど、新たなユーザー体験が登場し、人々が変化しつつあることも事実です。さらに、API 連携や MCP、企業独自の AI などによるエージェント的な利用の拡大も、確実に進んでいます。これらについて、興味を持ち続けることは大切です。
1月の SERPocalypse
私たちは、いわゆる SERPocalypse についてすでに記事を書いています。JavaScript が必須となり、いくつかの SEO ツールが動かなくなったり値上げを余儀なくされました。
AI モードのローンチ
2025年5月には、 Google Labs 限定で AI モードが発表されました。6月12日に米国で一般公開され、私たちはすぐに対応を開始。24時間以内に AI モードのトラッキング対応を完了させました。そのとき SMX Advanced Boston に参加していましたので、業界初の AI モード対応を多くの方に知っていただくことができました。
クエリ・ファンアウト
AI モードの登場とともに、もう一つ重要なテーマが本格的に議論され始めました。それがクエリ・ファンアウトです。クエリ・ファンアウトとは、AI 検索において、バックグラウンドで実行される追加の検索クエリのことです。
このファンアウトデータには多くの方が興味をお持ちでしょう。私たちは、DemandSphere プラットフォーム内の Suggestions Explorer に、ファンアウト取得機能を実装しました。

AI オーバービューの順調な進化
AI オーバービューは今後もなくならないと思います。2025年初めの時点では、不正確さや課題が多数指摘されていましたが、この機能は今のところ凄まじいスピードで進化を続けています。様々な SERPフィーチャーを見続けてきた我々の経験では、こうした機能はすぐにディスコンになることはないでしょう。
AI モードと AI オーバービューはいずれも、今後の主要チャネルとしてその存在感を増していくと思います。
ChatGPT と Eコマース
9月に発表された OpenAI の EC 機能や Shopify との連携についても、思うところがあります。私たちは忘れがちですが、B2C コマースはテクノロジー的に B2B コマースの下流にあります。私は 2001年に、EDI 対応の ERP ベースのコマースシステムに携わっていたことがあります。当時は Eコマースといえば、B2B だったのです。これはEコマースだけの話ではありません。企業は経済合理性のために変化することができますが、多くの一般消費者が変化するには時間を要するのです。
もう一点、そもそも AI 検索全般にいえる懸念点があります。インデックスが価値の源泉であるのと同じように、AI コマースにおいてはフィードが価値の源泉になるでしょう。そのフィードを今、誰が握っているでしょうか。
Google の num=100 無効化
Google は一見シンプルな変更を行いましたが、それが SERP トラッキング業界全体を揺るがしました。1リクエストで100件のオーガニック検索結果を取得できていた HTTP パラメータが無効化されたのです。この変更により、従来と同じ感覚のデータセットを取得するには、より複雑でコストのかかる仕組みが必要になりました。
私たちは解決策を見つけることができ、デフォルトで上位 5ページ分のデータを提供しています。
FOUND Conference Tokyo 2025
2025年の出来事として、忘れられないのは何と言っても FOUND Conf です。素晴らしいスピーカーとスポンサー、そして参加者様に恵まれ、アジアを代表するイベントとなるでしょう。今後、さらにパワーアップして開催を検討しています。









2025年は大変お世話になりました。2026年もどうぞよろしくお願いします。

