
2025年、SERP分析の現場で何が起きているのか
2025年9月現在、またしても Google に大きな変化が発生しています。本記事では、この事象について説明するとともに、激動の年である 2025年の問題を整理してお伝えします。
1月の衝撃:SERPpocalypse
2025年1月13日(日本時間)から、SERPpocalypse(サーポカリプス)と呼ばれる突然の大規模障害が業界を襲いました。16日頃にはその仕様変更がさらに厳しくなるとともに多くのプロバイダーで問題が共有されました。実質的にサービス終了に追いやられた会社もあるようで、競合ながら気の毒に思います。
私たちは以前からブラウザ自動化やJSベースの取得システムへの開発投資を進めていたため、24時間以内に復旧することができました。
Googleが動いた:100件取得パラメータの終焉
そして9月、さらなる波が押し寄せています。Barry Schwartz 氏が報じた通り、Google が &num=100 パラメータを無効化し始めています。
これは一般ユーザーにとっては問題ではないでしょう。しかし、SERP 分析を生業とする私たちにとっては死活問題です。私たちは大きな問題が見られたお客様にすぐに連絡するとともに、即座にデータの正確性を保つための暫定対応を実施しました。幸いなことに、1月ほど大きな問題とはなっていませんが、SERPpocalypse を思い出し、社内に緊張が走りました。
現在進行中の対策:ページネーションの再設計
Google はさらに仕様変更を進めています。Bing 等で見られたページネーション機能を導入しています。つまりこれは私たちにとって、100件取得ができなくなり、さらにページネーションの課題をクリアしなければ今まで通りのクオリティのデータをお客様に提供できなくなってしまう、という状況です。
もちろん、コストや制限時間のこともケアしなければなりません。私たちは可能な限り完全なSERPを取り戻すために挑戦を続けますが、多くのベンダーにとってかなり厳しい状況になっているということです。
インデックスこそが価値
厳しい状況の中、私たちがここまでリソースを注ぎ込む理由は明確です。
ChatGPT、Perplexity、Claude…どの LLM も、最終的には Google や Bing のインデックスを使っています。“検索インデックス”こそ、AI時代の情報基盤であり、最も価値のあるデータ資産なのです。だから私たちは、それをモニタリングすることの重要性を理解しているのです。
実際、私は今年 4月の brightonSEO で「インデックス・ファースト時代」について講演しました。多くの検索マーケターが表層的な LLM対策を検討する中、インデックスが遥かに重要であることを SERP データを使って明らかにしました。SERP 分析は地味に思われるかもしれませんが、AI 時代も通用するでしょう。
今回の変更が意味するもの
Google が OpenAI との API 契約を結んでいない現状を考えれば、今回のパラメータ変更は“防御策”の一環と見るのが自然でしょう。AI サービスに対する bot 対策というわけです。おそらく1月の SERPpocalypse も同様です。AI 戦争に巻き込まれて SEOツールがダメージを受けました。おそらく今後も、技術力のないサービスは淘汰されてしまうでしょう。
しかし、この業界には、どんな障害も突破する研究者とエンジニアがいます。今回の騒動は、むしろ次世代の SERP 分析を加速させる起爆剤になると願っています。
次のステップ
今回発生した問題については再評価を行い、その結果を顧客や読者に共有する予定です。この問題は今後どのようになるのか。我々はこの先、100件取得を維持するべきなのか。長期的な観点から検討を続けてまいります。
いずれにせよ、私たちは「顧客にとって価値あるデータを届ける」という一点だけは揺らがないことをお約束します。