「SEOの成果を出すためのチームを作りサービスを育てる」ナース人材バンク上東氏へのインタビュー

「SEOの成果を出すためのチームを作りサービスを育てる」ナース人材バンク上東氏へのインタビュー

今回は、GinzaMetricsご利用企業である株式会社エス・エム・エス 医療事業本部 メディア企画部で、ナース人材バンクサイトの運営責任者を務められている上東 卓哉氏に「SEOの成果を出すためのチームを作り」についてインタビューをさせていただきました。


株式会社エス・エム・エス 医療事業本部 メディア企画部 上東 卓哉氏

 

ナース人材バンクとは

創業以来、10期連続で増収増益を続ける東証一部上場企業の株式会社エス・エム・エスは、介護・医療・アクティブシニアの領域において、グループ全体で30以上のサービスを展開。。その中の1つである「ナース人材バンク」は看護師向けの人材紹介サービスで、2005年にサービスを開始、看護師紹介実績No.1のサイトとなっています。

約3年前に︎SEO業務を完全インハウス化へ切り替え

「サービス開始から5年程度は、リスティング、ディスプレイ広告での集客をメインとしていました。SEOは競合がなく、ビックワードで自然と1位だったこともあり、そこまで意識していませんでした。しかしその後、競合が次々参入し競争が激化すると、対策ができていないナース人材バンクの順位は急降下。SEO会社にコンサルを依頼しましたが、半年経っても全く成果が出ませんでした。」と話す上東氏。「そのプロセスで感じたことは、発注側にスキルがないままアウトソースして、アウトプットを求めるのは難しいということです。そこで完全インハウス化に切り替える決断をしました。当時はSEO素人でしたが、とにかく勉強しました。最初に行った改善は、タグ構成の変更、テキスト量を増やす、コンテンツの重複を失くすためのサイト構造の見直し等です。これらは確実に成果につながりました。」(上東氏)

 

素早いPDCAを回せるチーム体制を構築

ナース人材バンクのサイトを運営するチーム体制は、上東氏マネジメントの元、サイト担当、デザイナー、エンジニア、システム担当、Webディレクター兼ライター、求人コンテンツ作成で構成している。

それぞれの役割は下記の通り:

サイト担当:SEOからサイトの機能改善までまとめて担当
デザイナー:フロントのデザイン、バナー等作成の他、コーダーも兼務
プログラマー:開発担当
システム担当:大型案件等の要件定義担当
Webディレクター兼ライター:特集ページの企画・ライティング
求人コンテンツ作成担当:社内の求人情報をWebコンテンツとしてリライト

「SEO担当とUI改善担当、というように担当を複数に分けず、サイト担当が全体を見ることで優先順位を明確にし、意思決定のスピードを上げるようにしています。当然、サイト担当の業務負荷は高くなりますが、実力をつけられる機会にもなります。」(上東氏)

 

成果を出すために必要な体制を整備する

最初から上記のチーム体制だったわけではない。社全体として開発はアウトソースで行っていた。「外部で開発をするためには、明確な要件定義書を用意する必要があり、スピード面で課題を感じていた。」と話す上東氏。約3年前にSEOをインハウスで取り組むと決めた時に、PDCAのサイクルを早く回すため、開発の内製化が必要だと判断した。要件定義書が必要でない規模の開発については、サイト担当がプログラマーと直接コミュニケーションを取れるスキルを身につけることで、改善のスピードアップを試みた。成果につなげることを基軸にチーム体制を作り、インハウス化から2年経過時点でSEO経由でのサイト登録数が2倍を超え、事業利益に大きく貢献する実績を出す。

 

細かな修正で反応をみる週1回リリース

「リリースは毎週行います。スピード重視です。」と話す上東氏。特にSEOは業務の特性上、何が正しいのか施策実施前に確実な解を得るのは難しい。例えば、47都道府県に関するコンテンツ追加を検討する際には、一気にコンテンツ全ての都道府県に追加するのではなく、東京都のみに展開して反応を確認し、順位が上がれば他の県にも展開するというように、細かな改善リリースを繰り返している。

 

サービスにとって重要なコンテンツは求人情報

昨今、様々な業種において、”コンテンツマーケティング”の取り組みが増えているが、上東氏は客観的にトレンドをみている。「人材業界においても、トラフィックを増やす目的でのコンテンツ展開が増えていると感じています。ただ、ナース人材バンクにとって要となるコンテンツは求人情報です。求人情報のコンテンツ自体、全てをサイトに掲載できているわけではない現状の中で、優先順位は求人情報です。」と話す上東氏。

 

専門性の高い︎ライターを育てる環境作り

ナース人材バンクのコンテンツは、「看護師」に特化しているサービス上、専門性の高い内容が求められる。一般的なクラウドソーシングにライティングを依頼しても、期待するアウトプットが得られないため、社内に担当者を置いて対応している。「社内には長年の業界ノウハウがあります。ライターに対しては、この情報をインプットしてほしいという素材を渡し、領域に関する情報を吸収してもらいます。」(上東氏)ライターに書いてもらった内容は必ず校正しフィードバックすることも、ライターを育てるポイントの1つ。専門性の高いライターが育つ環境を用意している。

 

SEOのコンテンツ作りは他部署の協力は欠かせない

ナース人材バンクのコンテンツで最も重要な求人情報。社内にある素材からWeb用のコンテンツにしている。掲載前に求人案件担当のコンサルタントに内容の事前確認を依頼しているが、200名以上いるコンサルタントに協力してもらうのは、ハードルの高いことだった。当初は部署のトップ同士で取り組みについて合意をしたが、トップダウンだけではなかなか現場は動かない。コンサルタントにタスクの1つであると認識してもらうために、必要性が伝わるよう、しつこくお願いし続けたとのこと。「求人コンテンツ作成担当スタッフのモチベーション維持のためにも、物事が進む状況を作ることが重要で、そのために何度もコミュニケーションをとり続けました。」と話す上東氏。

 

SEOのために他部署が協力しすぎるのも問題

他部署に協力してもらうことにエネルギーを注いできた上東氏だが、面白いことに、逆説的な発言が。「SEOのために他部署が協力しすぎるのも、問題だと思っているんです。それぞれの部署は、自分たちの成果を追っている。案件担当のコンサルタントは、やはり営業をしてマッチングをするのが本職。もちろん、我々サイトの担当が登録数を増やすことはコンサルタントの業務に影響しますが、コンサルタントがSEOのための業務に取り組むことによって、本業が圧迫されてしまうことは、会社全体にとってポジティブなことではありません。」と語る上東氏。

その発言の背景にあるのが、SEOの評価を明確化するのが難しい点が挙げられる。「コンテンツを1つ増やしたら登録数がこれだけ増えた、という評価は難しいです。多くのコンテンツボリュームがあれば、SEOに影響するのは間違いないけれど、いくつあればどれだけ効果がある、とは明確にはわかりません。全体のバランスをとりながら、自然とコンテンツが増加していく仕組みをつくっていくことが重要だと思います。」(上東氏)

 

出勤したらGoogleアナリティクスとGinzaMetricsでデータを確認

施策をスピード重視で展開すれば、当然、効果も素早く確認する。毎日、出勤後すぐに、サイト担当は登録数(コンバージョン数)とキーワード順位を確認する。オペレーションルールとして決めているわけではないが、変化が気になるので、自然とデータを見ると言う。「施策に携わっていたら変動が気になるのは当たり前。逆にデータを見ない人がいるとすれば、なぜ見ないのかわからない。」と話す上東氏。

 

Ginzametricsでキーワード順位分布を確認、変化があれば細部をチェック

「GinzaMetricsでは日次のキーワード順位分布をグラフで確認できるので、変化のトレンドをすぐに掴めます。必ず毎日確認します。」と話す上東氏。


<日次のキーワード順位分布をグラフで確認>

「全体の中で順位が落ちているキーワードがあれば、キーワードはサイト構造に沿ってグルーピングしてあるため、どのグループで発生しているのか、ブレークダウンして状況把握するようにしています。」(上東氏)


<キーワードグループ単位で状況確認>

自分で考え自分で実行する、スピーディにサービスの成長を実感し、実力がつけられる環境。株式会社エス・エム・エスの魅力を感じるインタビューでした。