指名検索(ブランド名を含む検索)で、AI オーバービューが表示される割合が急増しています。DemandMetrics で毎日追跡している指名キーワードでは、9月1日の26.12%から、29日には82.06%へと、約3.1倍に増えました。
きっかけは、Chris Long 氏が X と LinkedIn で共有した観測です。
Search Engine Roundtable の Barry Schwartz 氏も取り上げ、弊社でもプラットフォーム上のデータを確認したところ、同じ動きが見えました。
日付 AI オーバービュー表示率(指名検索)
9月前半の表示率は、26〜35%の範囲で推移していました。変化が目立ち始めたのは中旬以降です。
| 日付 | 表示率 |
|---|---|
| 09/01 | 26.12% |
| 09/02 | 27.21% |
| 09/03 | 27.25% |
| 09/04 | 26.56% |
| 09/05 | 27.20% |
| 09/06 | 35.45% |
| 09/07 | 34.87% |
| 09/08 | 33.78% |
| 09/09 | 32.82% |
| 09/10 | 28.58% |
| 09/11 | 33.38% |
| 09/12 | 33.28% |
| 09/13 | 34.27% |
| 09/14 | 28.57% |
| 09/15 | 30.10% |
| 日付 | 表示率 |
|---|---|
| 09/16 | 28.57% |
| 09/17 | 30.64% |
| 09/18 | 57.43% |
| 09/19 | 31.15% |
| 09/20 | 46.62% |
| 09/21 | 28.59% |
| 09/22 | 31.28% |
| 09/23 | 56.97% |
| 09/24 | 55.81% |
| 09/25 | 29.98% |
| 09/26 | 69.21% |
| 09/27 | 90.48% |
| 09/28 | 80.23% |
| 09/29 | 82.06% |
増加は一直線ではありません。先のグラフをご覧いただくとわかるのですが、18日に57%へ跳ね上がった翌日には31%に戻り、23日と24日にも約56〜57%まで上がりました。ジグザグの線を描いており、まだ変化の初期にすぎません。段階的な展開やテストの可能性が考えられます。Google はこの変化について何も発表しておらず、原因や目的は現時点でわかっていません。
他の専門家の観測とも一致
Barry Schwartz 氏の9月30日付の記事によると、Chris Long 氏は約100のブランドを調べ、93%で AI オーバービューが表示されたと報告しています。対象には Reddit、Salesforce、Amazon、Adobe などが含まれます。Schwartz 氏自身も、複数のブランドで同様の表示を確認したとのことです。弊社のデータも、同記事に追記されています。
例外は、Google 自身のブランド名とニュースメディアです。少なくとも現時点では、この2つには表示が見られません。
表示される位置にも特徴があります。多くの例では、AI オーバービューは最上部ではなく、公式サイトの下、あるいは検索結果の中ほどに出ています。最上部に出ていた例として挙がったのは Adobe でした。
Long 氏の調査と弊社の計測は、対象も測り方も異なります。それでも、指名検索で AI オーバービューが広がっているという方向は一致しています。
この変化をどう受け止めるべきか
そもそも AI オーバービューは 2024年の登場時から、表示範囲を広げ続けています。当初はハルシネーションなど様々な指摘があったものの、今ではかなり市場に浸透してきました。AI オーバービューが表示されにくかったセンシティブな分野でも表示されるケースが増えており、指名検索への展開は、ある意味で自然なことです。
とはいえ、指名検索は目的が明確なクエリであり、広告が多い領域でもあります。さらに、ブランドについて誤った回答を生成した際のリスクも考えると、Google にとっては進出しにくかったであろうことが想像できます。
指名検索で AI オーバービューが増えたことは、リスクをとってでも AI ユーザーを増やしたいという Google の野心と、AI 技術力の成長が見て取れます。それでもニュースメディアに関する検索では AI オーバビューが表示されないということは、AI をめぐってパブリッシャーとの関係にはまだまだ大きな溝があることを意味しています。
なにはともあれ、読者のみなさまは、次の3点を確認してみてください。
表示の有無と位置:自社名や主要サービス名でAI オーバービューが出るか、公式サイトの上か下か
説明と引用元:サービスの説明は正確か、古い情報や誤解を招く表現はないか、どのサイトが引用されている
クリックの変化:Search Console で、指名クエリのクリック数やクリック率に変化がないか
非指名の検索で引用されることに加え、自社を探している人に AI がどんな情報を届けているか。その現状を把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。
調査の対象と今後の分析
今回の表示率は、DemandMetrics で毎日追跡している指名キーワードのうち、AI オーバービューが返ってきた割合です。1キーワードにつき1日1回測定し、対象は全市場、全デバイスです。AI オーバービュー内でブランド自身が引用されているかどうかは、判定に含めていません。
また、この数値は弊社の追跡対象における結果です。Google の指名検索全体の表示率を示すものではありません。
現在、過去の月の推移に加え、デバイス別、主要市場別の内訳も集計しています。日本市場でどの程度の変化があったのかは、結果がまとまり次第お伝えします。
確認された順位変動やアルゴリズムの更新は、弊社のアップデートトラッカーに記録しています。

