SEO対策に活かすための競合調査

SEO対策に活かすための競合調査

SEOで競合より優れたコンテンツを発信していくために、競合調査がよく行われます。事業上の競合、検索エンジン上の競合、リンク獲得上の競合のサイト構造、コンテンツ、検索順位などを調べて、SEO対策に活かしていきます。「活かす」というのは、ただ競合の真似をするというのとは違います。

今回は、どうやって競合調査を行い、SEOの施策に落としこむのかを紹介します。

 

売上直結系のキーワードは事業上の競合とカテゴリ単位で順位を比較

競合と言われて、すぐに頭に浮かぶのが、事業上の競合だと思います。どこが事業上の競合なのかについては、調べなくても、通常は把握していると思います。事業が似ていれば、サイト構造やコンテンツが似ていて、売上に直結するページ/キーワードで競っている状況と思います。そこで、事業上の競合サイトとは、サイトカテゴリ別に勝ち負けを把握して、その結果を、SEO対策の優先度をつけるために使います。

まず、サイトのカテゴリ構造にもとづいて、キーワードを選定します。自社サイトだけでなく、競合サイトのカテゴリ構造からもキーワードを抜き出します。競合にあって自社にないカテゴリもあるでしょう。その領域は、おそらく競合に市場を奪われています。そういったことを知るためにも、競合サイトのカテゴリ構造からもキーワードを抜き出す事が大事です。選定したキーワードは、カテゴリやサブカテゴリ単位でグルーピングし、SEOツールでキーワードグループ(カテゴリ)ごとの平均順位を比較することでカテゴリの優劣が分かりやすく把握できます。

ダッシュボードでグループ別の競合比較
勝ち負けが明確化することでカテゴリ別の施策優先度がつけやすくなる

 

キーワードグループ(カテゴリ)別に順位を比較して、負けているカテゴリ中心に自社と競合のサイトを比較すると、色々な発見があると思います。その気付きにもとづき、なぜ勝っているか負けているかを探り、SEO対策に落とし込みます。カテゴリ、サブカテゴリ名からモニタリング対象キーワードを選定した場合、具体的には、対象のカテゴリに対して下記のようなSEO対策を行うことが多いかと思います。

  • ページテンプレート修正
  • カテゴリページのコンテンツ充実/個別化
  • カテゴリ配下の詳細ページ情報充実
  • カテゴリ配下のハウツーコンテンツ充実
  • カテゴリ区分の修正
  • 詳細ページのカテゴリ分類の適正化
  • パンくず修正
  • ランキングなどの関連リンクの仕様修正
  • 優先度の低いページへのnoindexやcanonicalによる正規化

もちろん、こういった対策は順位が悪くなくても、継続的に行うべきことですが、大規模サイトの場合は、全てをまんべんなく行うのは大変です。そこで、このように自社と競合で比較をして、優先度が高く順位の低いカテゴリから対策していくことで、効率良く改善ができます。

 

新しいキーワードを攻める時は検索エンジン上の競合をまず調査

SEOでは、事業上の競合ではないけど検索エンジン上で競合するサイトがいます。検索エンジン上の競合は、事業上の競合のように明確でないことも多いかと思います。特にこれまで狙っていなかったような新しいキーワードを狙うような場合は、どんな競合がいるか予め分からないことが多いでしょう。

そこで、新しいキーワードを狙う場合の競合調査は、検索エンジン上の未知の競合やその強さを把握して、どんなコンテンツを作って対抗するかを知ることが中心になります。DemandMetricsのコンペティターディスカバリーを使えば、キーワードグループ別にどういったサイトやコンテンツが上位を占めているかを簡単に把握することができます。キーワード数が多い場合は、調査が効率的になります。

コンペティターディスカバリー
新しいキーワードを狙うか検討する場合に攻めるべきか、別のキーワードを狙うべきかが判断できる

上位サイトやコンテンツを確認したら、そのコンテンツの質や量が、これから作っていくコンテンツのベンチマーク(最低限の基準)になります。それ以上のコンテンツを自社で運用することができれば、どんどん攻めれば良いですし、自社で作れるコンテンツでは敵わないということであれば、別のキーワードを狙ったり、リスティング広告で攻めるなどの判断をします。事前調査をせずにアクセルを踏んで、成果が得られないままに終わったとならないよう、事前に競合調査をしておくことをおすすめします。

 

オリジナルコンテンツ

事業上の競合、検索エンジン上の競合ともに、競合調査をする目的は、真似するためではなく、勝つためです。後追いで、同じコンテンツを真似して作っても、ドメインが強力でなければ、勝つのは難しいでしょう。勝つためには、プラスアルファの付加価値(オリジナルコンテンツ)が必要です。

プラスアルファの付加価値をコンテンツに加えるために、Q&Aサイトや専門書を調べたり、インタビューをしたりすることは重要です。重要ですが、これらは、どの会社でも、やろうと思えばできることなので、究極的な差別化にはなりづらい方法です。いずれは、他社サイトに真似されてしまう可能性があります。

オリジナルコンテンツを活用してSEOで成果を獲得している企業の3つの特徴という記事で書きましたが、オリジナルコンテンツで差別化するには、コンテンツ視点では、下記2点を踏まえて、工数とのバランスを取りながら、継続的に他社より価値の高いコンテンツを生み出す仕組みやオペレーション作りまで行うことが重要です。

  • 他社より情報収集しやすい領域でコンテンツを作る。
  • 営業、購買、カスタマー部門なども巻き込んだオペレーションの構築。

抜け漏れを無くす意味で、競合調査は重要ですが、それに加えて、オリジナルコンテンツで付加価値を加えるオペレーションの構築まで目指して取り組んでください。

 

競合に取られている外部リンクを調査

リンク獲得においても競合は意識する必要があります。改めて述べるまでもなく、検索順位を決める要素としてリンクは依然として重要です。最近では、GoogleのAndrey Lipattsev氏もリンクとコンテンツとランクブレインが、検索順位を決めるシグナルの上位3つだと述べました。

参照:Now we know: Here are Google’s top 3 search ranking factors

質の高いリンクには限りがあるため、検索順位と同じで、外部リンクも競合との陣取りゲームです。被リンク獲得においても、上述した事業上の競合サイト、検索エンジン上の競合サイトとは、競合します。そこで、まず事業上の競合や検索エンジン上の競合サイトがどういった外部リンクを獲得しているかをSEOツールを使って調べます。MozやAhrefsを使えば、自社だけでなく競合サイトの外部リンクを調査できます。もちろん、DemandMetricsも、MozやAhrefsのデータとデフォルトで連携されているため、リンク調査ができます。リンク調査をするときのコツは、まずは、他社が獲得していながら、自社が獲得できていないリンク元ドメインがないかを調べることです。もし、他社が獲得できているのに自社が獲得できていないリンク元ドメインがあれば、そのドメイン運営者への認知が足りていないか、満足させられるコンテンツ提供ができていないことが原因だと思います。そこには改善の余地があります。大量にあるリンクを、漠然と1本1本を見ていても、なかなか改善余地を見つけられないと思いますので、まずは、他社に取られているリンク元ドメインから調べます。

リンク元ドメイン一覧
競合が獲得していて自社が獲得できていないリンク元ドメインを調べる

そして、自社が獲得できていないリンク元ドメインからリンクを受けている競合ページをリストアップします。そのコンテンツを確認すれば、自社に足りていないコンテンツが効率的に把握できます。競合より良いコンテンツが提供できるなら、積極的にコンテンツを作り、逆転を狙います。

リンクを受けている競合ページのソーシャルシグナル(Facebookのシェアやはてなブックマークなど)も見てみましょう。ソーシャルシグナルが多ければ、その競合は、コンテンツの認知獲得がうまいのかもしれません。その場合、競合のソーシャルメディアアカウントの運用方法を調べても良いでしょう。ソーシャルメディアのアカウント運用では、ただ良いコンテンツを発信するだけでなく、影響力のあるインフルエンサーの人たちと関係を構築することが大事です。競合アカウントのフォロワーを調べたり、ソーシャル上で誰とコミュニケーションしているかを調べることで、どういった人と関係を築けているのかが分かります。フォロワーの分析には、Followerwonkなどを使うと便利でしょう。

コンテンツ別のソーシャルシグナル一覧
ソーシャルメディア上での認知がうまくてリンクを獲得できているかもしれない

 

まとめ

SEOツールを使って競合調査を行い、どのように施策を活用するかについて紹介しました。SEOツールは競合調査を目的に使われることも多いですが、競合調査といっても、順位を比較する以外にも有効な使い方がいくつかあります。今回は、SEOツールで行われる、主要な競合調査の方法を紹介しました。

  • 売りに直結するキーワードは事業上の競合サイトとカテゴリ単位で検索順位を比較して対策の優先度をつける。
  • 新しく狙うキーワードは、検索エンジン上の未知の競合コンテンツを調べて、どう攻めるかを決める。
  • コンテンツの競合調査は真似をするためではなく、最低限の基準を知るために行い、自社コンテンツにはオリジナル要素が必要。
  • リンク獲得余地を探すために、競合に取られたリンク元ドメインを中心に、リンクやソーシャルシグナルを調査する。

参考にしていただけると幸いです。