成功するSEO戦略

成功するSEO戦略

マーケティング戦略のどこに位置づけるか

SEOを戦略的に取り組むためには、まずマーケティングが戦略的でなければなりません。SEOはマーケティング活動の一部でしかないのです。SEOは認知獲得のためのチャネルなのか、それともコンバージョン獲得のためのチャネルなのか、マーケティング戦略に則して定義されなければなりません。

あるお客様は、SEOはすべてのデジタルマーケティングの根幹であると定義づけていらっしゃいました。SEOがなければ ― ページが正しくGoogleに理解されていなければ、広告マーケティングがうまくいかない、SEOがなければコンテンツマーケティングもできない。だからまずはSEOをしっかりやりましょう、と社内を説得したかったのでしょう。このお客様は担当者同士の連携がしっかりしており、みなさまSEOの基礎を踏まえてマーケティング施策に取り組んでいらっしゃいます。

 

戦略とはストーリーである

戦略というものを難しく考えすぎているSEO担当者は少なくありません。しかし実際には、先ほどの例のように「SEOが機能すれば広告がうまくいく、そうすればコンテンツマーケティングもうまくいく」といったシンプルなストーリーがあればいいのです。企業経営における戦略は実に複雑ですが、SEOのみに関して言えば、ストーリーを作り関係者を説得できれば十分に前進できるでしょう。本記事ではいくつかのSEO戦略のストーリーをご紹介します。

 

基礎づくりのためのSEO

例えば、GSCを見ると、エラーが数千万件ある。1,000ページくらいあるのに、10ページくらいしかインデックスされていない。あるいはむしろ、小さなサイトなのに大量にインデックスされている。

…そんな場合はまず基礎から手を付けるべきでしょう。このままではSEOはおろか、ほかのマーケティングチャネルにも悪影響があるかもしれないからです。こうしたケースでは、SEOはKPIやKGIをいったん無視して基礎改修が必要であると上司や関係者に理解してもらうことが最優先です。3〜6ヶ月程度の期間を確保できるといいでしょう。検索順位を上げるにはどれだけ時間がかかるか誰にもわかりませんが、基礎づくりだけならタイムリミットを決めて取り組めます。

 

  • ・GAやGSCなどの基本的なセットアップ
  • ・エラーやバグの修正
  • ・サイトマップやrobots.txt の運用
  • ・メタタグの設定
  • ・順位測定や効果検証の設計

 

まずはこうした点からクリアしていきましょう。システムや組織的な問題でコントロールが難しい場合は、妥協しながら現実的な解決策を模索します。分からず屋な上司から成果を求められたら、現状をきちんと報告し、サイトの整備ができなければスタートラインにすら立てないということを主張すべきです。

 

eコマースのSEO

SEOに関して言えば、eコマースサイトには元々大きな利点があります。eコマースサイトの最大の性質はデータベースの設計であり、ページの大半は価値のあるキーワードに基づいています。カテゴリ構造や内部リンクの設計といった基本的なSEOが、eコマースサイトそのものの設計と強く結びついています。

つまり、eコマースサイトにおける企業のSEOコンテンツ戦略は相対的にシンプルです。サイトに訪れる人の検索キーワードを研究し、そのキーワードに合わせた情報設計をするのです。例えば、パンデミックにより「マスク」がひとつのファッションジャンルとして確立されました。「マスク」を購入するためにファッションECを訪れるユーザーが増えています。こうした検索行動をベースにすれば、今までは「アクセサリー」のページに内包していたマスクを「マスク」として独立した一覧ページにするべきでしょう。さらにマスクページの配下には、柄物マスクとかゴム紐マスクとか、洗えるマスクといった様々な導線を設計するとさらに幅広いユーザーを満足させられるでしょう。

このように、検索ユーザーに基づいて最適なデータベースを構築することが、eコマースのSEO戦略の根幹となります。

一方で、ページ数が増えやすく、また在庫切れなどにより削除も頻繁であることがeコマースでのSEOの難しい点でしょう。ページが無限に増殖するとか、Googleにまったく認識されないといった致命的な問題が発生することがあります。そうしたベーシックなSEOに関して、もしも相談できる方がいない場合はぜひ当社にご連絡ください。基本的なポイントは無料でご説明させていただきますし、必要であればSEOコンサルティング会社をご紹介します。

 

ブランドマーケティングのためのSEO

ブランドマーケティングのためのSEOは、うまく使いこなすのが難しい分野です。問題は、多数のブランドサイトでは実際にオンライン販売をしないため、最適化する対象のキーワードを把握することが難しく、さらに言えば、パフォーマンスを測定するのはもっと難しいという点です。

一部のブランドは、「マーケティングポイント」という社内システム、あるいはワークフローを運用しています。ランク付けしたポイントを割り当て、所定のマーケティング活動に関するポイント数の向上に基づいて評価基準を作成するシステムです。例えば、ユーザーがサイト上で動画を視聴すれば10ポイント、PDFをダウンロードすれば3ポイント、といった具合です。これらの指標はGoogle Analyticsで測定できるようになったため、以前に比べて難易度は下がったものの、うまく運用できていない会社が多いように思われます。

ブランドマーケティング向けのSEOを難しくしているもうひとつの側面は、作成したコンテンツが、ブランドマネージャーをはじめとする多数の社内のスタッフによって承認される必要があるということです。そして、このプロセスにおいて、SEOはほぼ無視されます。SEOを考慮したマシンリーダブルなテキストが、ポエムのような美しい(けれど意味不明な)フレーズに変換されてしまうこともしばしばあります。

ブランドにおいて最も困難なのは社内の理解を得ることなのかもしれません。

当社の得意分野はモニタリングですので、ブランドの指名検索と非指名検索の差異を分析したり、ブランドの強さを比較するソリューションを提供しています。フェアで客観的なデータを用いることで、社内を説得し、顧客が求めるサイト設計が可能になります。

 

サブスク/SaaSのSEO

サブスクリプションに関する主な疑問は、コンテンツの品質とROI です。多くのSaaS 企業は、誰も見ないコンテンツを大量生成するか、商品やサービスに関連しないキーワードで無駄なトラフィックを獲得しています。会計システムの会社が「デキる営業マンが実践する、クールな名刺の渡し方」のようなコンテンツを作っていると、残念な気持ちになります。

サブスクリプションサービスはロングテール型のキーワードを整然としたリストにするところに商機があります。大胆に言えば、対象としてよく使われるキーワードは、多分に専門的(ロングテール型)で、うらやましいほどの数の転換が可能です。

ある起業家は極めて特殊なニッチ領域(ビンゴカード)を発見し、それに関連したSaaSアプリケーションを構築しました。また、彼のビジネスに関連するキーワードのカテゴリが、ロングテール型とコンテンツ作成を効率よく上げられるタイプの両方だということも発見しました。彼は賢いやり方を実行し、ロングテールだが高品質なコンテンツを生成し、解決策を求める多くのユーザーにリーチできるようにしました。

もうひとつのSaaSビジネスを見てみましょう。これは、異なるブランディング目標を掲げながらも成功した事例です。

SurveyMonkeyはオンライン調査を行うためのWebアプリケーションを提供し、それによる収入が年間4,500万ドルはあると噂されています。極めて競争力の高いキーワードに関して、SurveyMonkeyはSEOを用いてすでに非常な成功を収めています(Googleの「オンライン調査」部門でランキング1位)。

ただし、そのサイトを改めて見ると、まだ最適化の余地は残っています。ツアーのページには「調査テンプレート」セクションがあり、何十種類もの調査サンプルをリスト化しています。これらの各調査サンプルは、顧客サービス調査などのキーワードを用いて個別のページにうまく最適化すれば、サイトへのアクセスがもっとロングテール型にすることができるでしょう。

SaaSにおいては、価値あるコンテンツを効率よく生み出すことが鍵になります。価値のないコンテンツは、全体のROIを押し下げてしまいます。スマートなビジネスモデルを持つ企業において、そのようなマーケティングは看過されないため、SEO担当者はROIにこだわってコンテンツを設計することが求められます。

 

アドやスポンサー付きサイトのSEO

Quoraは通常、ロングテール型の広告モデルも追求していることは明らかです。コンテンツ用に保有しているキーワードは、検索の評価によって極めて収益率が高いようです。様々なテーマに対応して、多くのユーザーを満足させるコンテンツを作成しつつ、コンテンツタイプごとの収益を最大化できる設計になっているのです。この分野にはFacebookなどのソーシャルメディアも存在しますが、まだ議論が十分ではありません。Facebookの主な戦略は、セキュリティが万全なソーシャルグラフを構築することです。ただし、そのようなグラフを作成することによる利益の一つは、無限の潜在的可能性が換金率の高いSEOにはあるということです。ソーシャルメディアとSEOには大きな確執があります。今後どのように変化するか注視する必要があるでしょう。

現実的には、ニュースサイトにソーシャル性を持たせるのが最も強力な方法です。ニュースに対して物申したいユーザーは非常に多く、彼らの発言はそのままコンテンツ化されます。ユーザーが集まればソーシャルグラフが構築され、広告の効率を最大化することが可能です。プロバイダはほとんど手間をかけることなく、収益率の高いビジネスを作り出すことができます。