「ライフメディアプラットフォーム事業」という名のもと「求人」「住まい」「車」などをテーマにした大規模サイトを複数運営している株式会社じげん。メディア事業で高収益を上げている会社としてその知名度は高い。今回はそんな株式会社じげんにおいて全社的にSEOを統括・推進している企画マーケティングユニット チームリーダー 香田氏に、DemandMetricsの導入により得られた効果やインハウスSEOを推進するポイントについてお話をうかがった。
※取材はオンラインにて実施
[事業内容] ライフメディアプラットフォーム事業
[導入商品] DemandMetrics
課題
・データ取得の即時性が低く順位変動の検知に時間がかかっていた
・ディレクトリごとの順位データを可視化するのに負担がかかっていた
・SEO施策の成果が客観的に見えづらく周囲を巻き込んだSEO施策の推進が加速できなかった
効果
・成果が可視化されることでメンバーのモチベーションが上がり自発的な動きが増えた
・データ取得や可視化にかかっていた負担を大幅に削減できた
・データが蓄積され中長期的なSEO戦略を立てやすくなった
最大の課題はSEOの現状把握に時間と手間がかかること
ー DemandMetricsを導入する以前は安価でシンプルなSEO順位計測ツールを導入していた同社。なぜDemandMetricsへの切り替えを検討することになったのか、当時の課題を振り返る。
香田氏:以前利用していたツールには課題が2つありました。1つ目は、即時性がなかったこと。弊社が注力している3テーマ「アルバイト」「賃貸」「中古車」はいずれも非常に大きな検索ボリュームがあり、数万にわたるキーワードを登録していたので、データを取得してグラフに落とし込んで順位変動を検知するまでに1週間かかってしまうこともありました。
2つ目は、可視化しづらかったこと。私は全体感を把握するためにディレクトリごとの変動をチェックすることが重要だと考えているのですが、それをグラフ化するためにはキーワード単位のデータを書き出してExcelに入れてグルーピングして……とものすごく面倒な作業が発生していました。
実行した施策の効果が出ているのか、それとも順位変動なのかを見極めたいのに、現状を把握するまでに時間も手間もかかってしまう。この状態はSEO施策を推進する上で致命的だと考え、多少費用をかけてでも別のツールを導入しよう、という話になりました。
SEO順位計測ツールの費用対効果をどう説明するか?
ー 代替ツールはDemandMetrics一択で社内稟議を通したという香田氏。導入が決定するまでのエピソードを遡った。
香田氏:DemandMetricsはGinzaMetrics(旧製品名)時代から知っていて、実は前職のSEO支援会社で代理販売した経験もあるんですよ。当時からずっと使ってみたいと思っていたんですよね(笑)。
DemandMetricsを経営陣に対して提案するにあたり、費用対効果を説明するのにはものすごく苦労しました。「AhrefsやMozと連携しているので競合調査やリンク分析にも使えます」などいろんなメリットを並べはしましたが、やはり順位をスピーディーに可視化できることで得られる効果については強く推しましたね。
SEOチームのメンバーが仕事の実感を得ながら施策を推進していくためにも、SEOのことがわからないエンジニアや営業にSEOチームがなにをやっているのかを伝えるためにも、誰にとってもわかりやすい指標である「順位」を可視化することは非常に重要です。
DemandMetricsがあれば、日々の現状把握がものすごく簡単にできる。今まで可視化するために使っていたこれだけの時間と手間をもっと有意義に使えるんですよ……と、なんとか経営陣を説得しました。
順位の可視化は、SEOに取り組む価値の可視化にもなる
ー DemandMetricsは期待する費用対効果を上げられたのか?導入によって得られた効果についてずばりお話しいただいた。
香田氏:DemandMetricsを実際に導入して得られた効果として最もインパクトが大きいのは、やはりSEO施策によって生まれた変化を誰しもが可視化されたグラフで体感できることですね。
SEO施策ってどうしても実施した実感が湧きづらいものが多く、「これってやる意味あるんですか?」と思われてしまいがちです。だからこそ効果をグラフで可視化して、「SEO施策はやる価値のあるものなんだ」と意識付けする必要があるんです。そうすればメンバーのモチベーションも上がり、施策の推進も加速していきます。
弊社の場合、最近はエンジニア側から実装後に「いま順位下がってるけどなんかおかしいかな?」とSEOチームに質問してくることもあります。みんなが共通のモニタリングツールとしてDemandMetricsを使っているんですよね。
あとは、きちんとキーワードをグルーピングして登録しておけば、「このキーワード群は月間検索数が多くポテンシャルが高いのでもっと上位狙おう!」と戦略が立てやすく、且つその戦略を周りに伝えやすいですね。次に狙うキーワードの調査って面倒な作業だったんですが、おおまかな検索数はDemandMetrics上でパッとわかるので助かっています。
ー また、DemandMetricsを継続して利用する理由をこう話す。
香田氏:導入して約1年半経ちますが、「この施策をやったから順位が上がった・下がった」「この時期にこんな順位変動があった」というデータの蓄積が順調に進んでいます。私は年に一度中期経営計画を練らないといけないんですが、1年前のデータを参照できるようになったのでとても資料化しやすくなりました。データ自体が僕にとっては宝の山なので、今後もDemandMetricsを継続して利用していきたいですね。
多機能だけどダッシュボードはシンプルに
ー DemandMetricsは機能が多いため、対象者に応じて見るべき項目を絞り社内浸透を進めているという香田氏。具体的な施策についてうかがった。
香田氏:経営陣やエンジニア、営業は全データをチェックする必要がないので、それぞれ必要な項目を絞ってダッシュボードを作成し、レポートを毎朝メールで配信しています。みんなにDemandMetricsを使ってもらう癖をつける上でこのメール配信機能はありがたいですね。
しかしメールで送って「見て!」と言っても見てくれない人は見てくれないので、データを見なければならない理由を作るようにしています。例えばエンジニアには「実装したこと自体が成果ではないので、自分の仕事の成果を確認するために順位データを見てね」と伝えています。営業は「賃貸系のこのキーワードっていま何位ですか?」と都度聞いてくるので、「自分でダッシュボード見て確認して!」と返答しています(笑)。
あとは、メンバーにDemandMetricsをもっと使ってもらう取り組みの1つとして、先日DemandSphereのみなさんに協力いただき社内勉強会を開きました。私もまだ使ったことない機能があるぐらいなので、今後もサポートいただきながら定期的な勉強会をおこなっていきたいと思っています。
めまぐるしく変化するSERPsへの適応を期待
ー 検索体験が大きく変化する今、DemandMetricsに求めるものを香田氏はこう話す。
香田氏:検索結果画面(SERPs)って今本当に大きく変わってきていますよね。実装されて1年も経たないリッチスニペットなのに既に仕様が変わっていることもある。「順位は3位のままなのにセッションは実質5位程度」という事態も見受けられ、SEO施策の成果は順位だけでは測りづらくなっています。
よってSEO担当者が正しく現状把握するためにも、DemandMetricsには既にSERPsの状態をアイコンで表示してくれる機能がありますが、表示に変更が起きた場合にアラートを出すなどの機能は今後ぜひ検討いただけると嬉しいですね。自分たちでチェックするのにも限界があるので。
インハウスSEO推進の基盤となるのは社内の信頼関係
ー 最後に、インハウスSEOを推進する上で大切にしていることを語っていただいた。
香田氏:SEOって、SEO担当者だけが頑張っても正直なところ施策って全然動かないんですよ。組織として取り組まなければ、絶対に成功しません。
私はもう10年ぐらいこの仕事をやっていますが、「このSEO施策やりましょう!」と提案したときに協力してくれる人とそうでない人の差を考えてみたんです。答えは、相手と私との間に信頼関係があるか否かでした。
「この人の言うことだったらやってみよう」と思わせること、つまり日頃からコミュニケーションをとって信頼関係を築いておくことがとても重要です。そのためじげんではゲームやサバイバルゲームなど社員間の交流イベントも積極的におこなっています。信頼関係ゼロの入社当初が一番大変でしたが、当時のエンジニアの上層メンバーとゲーム仲間になることで交渉ルートを開拓しました(笑)。
一度でいいから施策を動かしてもらうことに成功し成果が出れば「またやろう!」となりますし、成果が出なかったとしても「もっとここをこうしたらよかったかな、もう一回やってみない?」と提案できます。……インハウスSEOの推進ができるできないって、「交渉力のあるなし」なのかもしれませんね。
ー 「香田さんのその推進エネルギーはいったいどこから湧いてくるのでしょうか……?」と聞くと、香田氏は笑いながらこう答えた。
香田氏:「検索結果1位をとる」ことをゴールにしてしまうと1位をとった瞬間モチベーションは下がる一方かと思いますが、SEOに携わる世界中の人々と一緒に、Googleを通じてよりよい情報を発信していこうという気持ちで取り組んでいるので、忙しくとも仕事は日々楽しいですね。
生涯現役マーケターであることが私の野望なので、これからも変化する検索体験に合わせて、自分自身もどんどん変化していきたいと思っています。
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DemandMetricsは、ただモニタリングデータを提供しているのではなく、実感が伴いづらいSEO施策の”成果”をチームに共有し、その動きを加速させるお手伝いをしているのだと改めて気づくことのできたインタビューだった。
これからも、じげん社のインハウスSEOを支援していきたい。