コンテンツマーケティングの効果把握のための指標と活用方法

コンテンツマーケティングの効果把握のための指標と活用方法

コンテンツマーケティングはむやみに記事を量産するのではなく、戦略的に取り組まなければ無駄になってしまいます。記事がヒットして PV が伸びたとしても、1円も売上に貢献しなければ人件費やサーバー代の無駄遣いになってしまうかもしれません。このブログ記事では、コンテンツマーケティングの効果(費用対効果)把握のための指標、ROIや分析指標に関して説明します。

 

カスタマージャーニーに合わせて戦略を検討する

コンテンツマーケティングを推進していくためには、あらかじめカスタマージャーニーを用いてチーム内の共通認識を作ることが大切です。どんなお客様にどんなコンテンツを提供すべきなのかを整理することができるからです。

下記は時計ブランドのカスタマージャーニー例です。「認知」から「エンゲージ」に向かって進んでいくだけでなく、縦軸を使って顧客のロイヤリティを表現しました。

横軸は「ブランドへの愛着」と書きましたが購買までの消費行動と言い換えてもいいでしょう。縦の軸はブランドに対するロイヤリティを示しており、ロイヤリティの高い顧客はすでに購入していたり知識のある方だろうと仮定しています。

このように整理しておくと、コンテンツチームでの議論がスムーズになります。「興味を持ち始めた新規顧客はどんな検索をするだろう」「既存顧客はどんなコンテンツを好んでくれるだろう」そうした検討の土台として、簡単なものでもかまわないと思いますので、カスタマージャーニーを作成することをおすすめします。

 

目的設定の重要性

カスタマージャーニーにのっとって、各フェーズの目的を整理しましょう。お金にはならないが大切なこと関節的に売上に繋がるであろう要素を抜け漏れなくカバーするためです。

例えば、アフターセールスはよく見逃されるコンテンツのひとつです。顧客のお困りごとに対する解決策となるアフターセールスコンテンツは、売上には直結しないかもしれません。しかし、サポートがしっかりしていることで顧客の信頼を得られれば、間接的に売上に貢献するでしょう。先に挙げた腕時計のブランドであれば、メンテナンスや修理についてのコンテンツがあるといいかもしれません。

売上に直結させたいのであれば、顧客の欲求が最大限に発露したキーワードを積極的に狙うべきです。腕時計の例であれば、型番で検索しているとか、「ロレックス 新潟県 正規店 修理保証」のようなロングテールキーワードが購入に近いといえるでしょう。売上やコンバージョンを意識すると、対策すべきキーワードの検索ボリュームはかなり低いものになる傾向があります。

逆説的に、「検索ボリュームが大きいから対策しよう」という発想は失敗を招きやすいでしょう。この発想は顧客を見失っており、PVを稼ぐことしか考えなくなっているからです。こうならないために、カスタマージャーニーや顧客のフェーズの沿った目的のあるコンテンツ設計が重要なのです。

 

コンテンツマーケの効果(費用対効果)把握のための指標

こちらは、アメリカの Content Marketing Institute の調査と当社調査を元にまとめた、日米コンテンツマーケティングの違いです。アメリカではアウェアネスやロイヤリティなど顧客を向いたマーケティング姿勢である一方、日本は “SEO” が目的となっています。

日本では検索エンジンのためのコンテンツマーケティングを展開してしまい、結局なにも得られないというケースが非常に多いです。検索流入にしろコンバージョンにしろ数値化しやすく、追いかけやすい目標ではありますが顧客を置いてけぼりにしたマーケティングになってしまうのです。アメリカのように顧客視点のマーケティングが望ましいでしょう。

とはいえ、上司からは数字で説明することが求められますし、データなしにはコンテンツマーケティングに取り組むのは難しい。そこで Google Analytics から調べられる便利な機能やSEO担当者ならではのSERPを活用したアプローチをご紹介します。

 

アシストコンバージョンで貢献度を測る

「上司からはコンバージョンを求められるけれど、記事を読んですぐコンバージョンする人なんていない!」という方におすすめの機能がこちら。アシストコンバージョンとは、コンバージョンに繋がるすべての接点です。間接的にコンバージョンに貢献したページを確認できます。

Google Analytics 左メニューバー [コンバージョン] > [マルチチャネル] > [アシストコンバージョン] からご覧いただけます。

この画面下部の表では、チャネルごとのアシストコンバージョン数と貢献率が確認できます。本記事をご覧の方にとっては、オーガニック検索 が気になるのではないでしょうか。オーガニック検索 をクリックして、プライマリディメンションを [ランディングページ] にすれば、URL単位でアシストコンバージョンが確認できます。

 

アトリビューションモデルでタッチポイントを測る

アシストコンバージョンと併せてチェックしておきたいのが、モデル比較ツールです。複数のアトリビューションモデルを比較しながらページの良し悪しを測ることができる機能です。アトリビューションモデルの詳細については Google Analytics のヘルプページをご確認ください。

この機能は、Google Analytics 左メニューバー [コンバージョン] > [マルチチャネル] > [モデル比較ツール] でご覧いただけます。

この機能から様々な示唆が得られるのですが、本記事では起点モデルに注目していただきたいと思います。起点モデルは、最初のタッチポイントを重点的にみるアトリビューションモデルです。このモデルでは、ターゲティング広告など、いわゆる刈り取り型のチャネルは低い値になります。対照的に、自然検索やSNSなどユーザーとの最初の接点となるチャネルを評価するのに適しています。コンテンツマーケティングが新規ユーザーにリーチできているか、ファネルの入り口を広げられているかを確認してみましょう。

 

SERPから読み取れること

コンバージョンと関係ないコンテンツは、顧客が満足できたかどうかが最も重要な指標になりますが、それを測るにはアンケートなどを使うしかありません。滞在時間や直帰率を用いることもありますが、そうした指標は玉虫色です。例えば、滞在時間が長かった場合、それは良いのか悪いのか。コンテンツをじっくり読んでいただけたとも解釈できますし、意味不明で困惑して何度も読み直したのかもしれません。Google Analytics だけではなんとも言えないことが往々にしてあります。

そこでおすすめしたいのが、SERPの分析です。SEOの担当者であれば、SERPから様々なことが読み取れるでしょう。例えば、「iPhone バッテリー交換」のSERPは下記のようになっています。

1位はAppleの公式サイトです。リッチスニペットも出ていますし、段落つきで2位もAppleの公式サイトです。「良いコンテンツだから上位にランクインしているのではないか」「あるページで満足できなくても、このSERPであれば答えにたどり着けるのではないか」といった解釈ができるのではないでしょうか。少なくとも、Google Analyticsとにらめっこするよりは、Chruxデータに基づいているであろうSERPの方が信頼できるでしょう。そうした判断を保留するとしても、「他の人はこちらも質問」に着目して、コンテンツを見直すことができます。キーワードによってほかの強調スニペットも見つけられるでしょう。SERPは様々なヒントを与えてくれるのです。

DemandMetricsではSERPをまるごと取得し、解析することが可能です。順位だけでなく、どの要素が、どこに、どれくらい出現していたのかをシステマチックに調査しデータ化することができます。多くの企業様と一緒に、あらゆるキーワードのSERPをモニタリングしております。


 

まとめ

コンテンツマーケティングに取り組むには、まずお客様目線に立つことが最初の一歩となります。カスタマージャーニーなどを用いて顧客の課題を整理したり、社内の共通認識を作りましょう。これなしには、コンテンツマーケティングが成功しているのか、どこまで進捗しているのかを評価することはできません。

コンバージョンや金銭的な評価には、Google Analyticsを活用しましょう。アシストコンバージョンやアトリビューションモデルを用いることで、コンテンツの良し悪しを数値化できます。

数値化が難しいコンテンツは、SERPを使って推し量りましょう。Googleに評価されない場合は何らかの理由があると考えられますし、強調スニペットを見ればコンテンツ改善のヒントが得られるでしょう。

このようにコンテンツを評価しつつ、数字に振り回されないマーケティングに取り組むことがコンテンツマーケティングの必勝法です。何かお困りのことがございましたら、ぜひDemandSphereまでお問い合わせください。

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参考:米国NewsCred社のブログ記事”The Top 5 Content Marketing Metrics Your CMO Cares About”より

本記事の最後に、アメリカのコンテンツマーケティング支援企業のNewsCred社のブログ記事(CMOがチェックすべき5つのコンテンツマーケティング指標)サマリーを紹介します。詳細は原文をご確認ください。
The Top 5 Content Marketing Metrics Your CMO Cares About

■CMOが気にする5つの観点

1.エンゲージメント

“stickiness”とも関係する。どの程度エンゲージされて、サイトに戻ってくるか。
留意する方が良い指標は以下。
・UU
・PV
・平均滞在時間
・リピーター数
・直帰率

エンゲージメントが低い領域を把握することが大事。それにより改善することが可能になる。
また数値を見るだけでなく、なぜエンゲージメントが低い状態にあるか捉える/考える必要がある。

 

2.バイラリティ

誰がバイラルの起点となったか、オーディエンスの質はよいかの理解は大事。
自然検索。シェア、ツイート。

 

3.リードとコンバージョン

BtoBではこれが特に大事。
コンテンツマーケ起点のリード数の計測。ソーシャル、広告、メルマガなどと同じ指標で比較できるように。
Cost per Lead (CPL), Cost per New Name (CPN), Cost per Opportunity (CPO)などの指標。

セールスファネル(パーチェスファネス)内のリードに、コンテンツがどの程度良い影響を与えているか。

 

4.レベニュー

コンテンツマーケの努力とレベニューを紐付けることは難しいものの、コンテンツマーケターとしてその観点で効果を説明することが求められる。

 

5. LTV & 顧客獲得コスト

LTVは予想されるユーザーあたり生涯売上。
どれだけコンテンツマーケティングに使って良い/使うべきか、それはカスタマーの生涯売上と維持費による。
顧客獲得コストとLTVを比較する。できれば3倍以上が好ましい。