「AIに引用されないと終わる」 「ChatGPTに選ばれるブランドになろう」 「LLMOをやらない会社は置いていかれる」
AI 検索をめぐって、マーケターの不安は増すばかりです。確かに、AI 検索は無視できません。従来の検索は「10本の青いリンク」と呼ばれていたように、10の候補が提示されます。しかし AI 検索はさらにその中から選抜されたものだけが表示されます。だいたい 3〜5 枠程度です。これだけで十分大きな変化です。
とはいえ、クローラーがサイトを回遊し、事前に情報を整理してインデックスする、という基本的な仕組みは変わっていません。その意味では、AI 時代になっても今までの SEO とあまり変わらないかもしれません。
いやいや。そうは言っても AI は無視できない、という考えも、ごもっとも。
おそらく一番の問題は、正しく理解し、正しく対応できるマーケター・支援会社・ツールが非常に少ないことです。本記事では、AI の仕組みと施策イメージを段階ごとに提示します。AI 検索対策に本気で取り組もうとしている方の助けになれば幸いです。
1:発見可能であること
大前提として、AI 検索はウェブ上の情報を参照します。AI/ LLM はすべての知識を持っているわけではないからです。AI 検索は、AI に「ググらせている」のと同義です。
AI 企業が Google を参照していることは多くのリサーチで明らかになっています。それを裏付けるように、2025年12月には、Google が SerpApi を提訴。かつて SerpApi の顧客リストとして OpenAI のロゴがウェブサイトに掲載されていました。
また、AI は高速で処理しますので、検索順位の上位しかチェックしません。つまり、Google で上位表示を目指すことが、そのまま AI 対策となります。今までの SEO と似ています。
2:利用可能であること
次に、その情報が回答生成の材料として使えるかどうかのステップとなります。このあたりから、今までの SEO とは若干変化してきます。
AI は複数のサイトの情報を確認し、回答の確度を高めています。裏取りする処理はコロボレイションと呼ばれます。ソースごとに情報が異なる場合でも「諸説ある」などの表現によってハルシネーションを回避します。
情報が一致すればいいわけではなく、重複は邪魔になるので削除されます。なので複数の媒体で同じ情報を拡散したり、自社サイトで大量のページを作って「うちの製品は最高です!」と喧伝しても意味はありません。
また多くの AI は JavaScript を実行しません。時間的、コスト的問題によるものです。ならばプレーンテキストにすればばいいのかというと、そうではない。文体や構成も重要です。AI は文章をチャンクといって、細切れに分解して理解し、再度組み立てて回答を作るからです。このことを意識して実装する必要があります。でも AI がどのようにテキストを処理しているのかは人間には理解が難しいですね。Dify などの文章処理機能を見ているとイメージがつきやすいかもしれません。また、ChunkViz などのフリーツールもいくつか登場しています。
3:言及・引用されるか
実際に AI 検索で表示されているのか、データを見て施策を打つステップに移りましょう。ここでは、言及と引用が重要な指標となっています。言及とは、回答本文にブランド名や商品名が登場することです。引用は、出典リンクとして URL が表示されること。この2つは、必ずしも一致しません。引用はされるけど言及がない、といった問題は AI 検索対策の専門家の間でもっともホットなトピックのひとつです。
ですので、以下のようなステップでデータ分析を深め、そこから施策を生み出していきます。
- どんなプロンプトで表示されたのか
- 出典として引用されたのか
- 文中に言及されたのか
- その言及は期待どおりか
- 競合と比べてどうなのか
ここまでやって、ようやく本格的な AI 対策施策を検討することができます。このあたりは海外のマーケターのほうが進んでいますが、日本は日本で考えるべきことが山積みでもあります。例えば、海外では掲示板サイト Reddit への対策がありますが、日本にはそういうサービスがありません。にも関わらず、多くの AI はアメリカナイズドされているので日本語検索でも Reddit を参照している。じゃあ、日本企業も Reddit 対策すべきなのか?ややこしい問題です。
そして、このステップに到達して、はじめてデータ品質の問題に突き当たります。あるクライアントは 1年近く API を使って内製のモニタリングツールを運用していました。しかし API から得られるレスポンスが実感と合っていないことに気づきます。API はリトリーバルという、AI がさらに検索をするステップが省略・短略化されており、言及や引用が実際の結果と異なるのです。
4:プロトコル・仕様は合っているか
最後に、ページ内のテキストを変えるだけではどうにもならないことに触れます。
例えばデータフィード。AI の検索結果には商品画像や価格がカード状に並ぶことがあります。Google Merchant Center の商品フィードや Shopping Graph のようなデータが使われています。ニュースや求人、レシピ、旅行など、検索エンジンが特別なサポートをしているフィードデータは AI 検索においても活用されるでしょう。
極端な例として、AI オーバービューや AI モードで引用元が「Google」となっているケースがあります。以下のスクリーンショットではメーカーのサイトではなく Google が持つフィードデータが参照元となっています。右の枠をご覧いただくと、Google のアイコンが 3つ並んでいます。

ローカルな検索もなかなか複雑です。AI がマップサービスを参照するのですが、Appleマップを使うケースが多いです。そして Appleマップは Yelp や TripAdvisor のデータを参照しています。であれば Yelp の対策をすることが最も効果的である場合があります。
さらに今後はエージェントの時代になると予想されており、より技術的な連携が鍵となるでしょう。今までの SEO のノウハウが通用するか、心もとない気もします。
AI 検索最適化はまだまだこれから
上記はひとつの見方に過ぎず、おおざっぱに説明したものです。AI の処理はさらに細かく分けられ、深い分析や施策立案する方法が世界で議論されています。
しかし残念ながら、急増する AI 検索コンサルタントや AI 検索ツールは、こうしたノウハウを持っていないことが多いです。言及に課題があるのに引用の対策をしてしまうとか、そもそもデータソースが間違っているという問題が多発しています。
そもそも AI にも問題があります。ガジェットを調べれば Reddit が参照され、仕事さがしをすれば Glassdoor を参照。AI から推薦されやすいお店は、外国人からのレビューがあります。AI は回答の精度を上げるために英語圏の情報を参照し、それによってバイアスがかかります。日本で購入できない北米仕様が提示されることもあります。こうした問題に対しては最適化するというより、AI 企業に改善要求をするべきでしょう。
AI 検索について不安が増す中、マーケターに必要なのは、根拠のない安心ではありません。正しいデータと、自分たちで動かせる変数の把握。短期・長期での観点と優先順位づけ。冷静に対応しなければ、間違った施策に手を出すこともあります。ぜひ業界の最先端のイベントなどに参加して、情報収集されることをおすすめします。
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