コンテンツショック時代のSEO〜SEOツールを使って効率的に競合回避する方法〜

コンテンツショック時代のSEO〜SEOツールを使って効率的に競合回避する方法〜

ここ数年のGoogleのアルゴリズムのアップデートにより、コンテンツを重視する動きが強まりました。結果として、Web上にコンテンツが増えました。USでは、コンテンツショック論争が少し前に賑わっていました。コンテンツショックというのは、コンテンツの需要と供給の関係についての話で、Webコンテンツの供給量が増え、コンテンツの閲覧者が消費しきれない状態に起因する議論です。Web上にコンテンツが増えたためにコンテンツ制作がマーケティング投資として割に合わなくなったのではないかということが議論になっています。

コンテンツショック
出典:Content Shock: Why content marketing is not a sustainable strategy

 

これはSEOやコンテンツマーケティングに限った話ではないと思います。インターネットではどんどんコンテンツが増え、コンテンツを発信するためのプラットフォームも便利なものがどんどん出てきているため、SEOやコンテンツマーケティングが流行っても流行らなくても、今後もコンテンツは更に増えていくでしょう。評価の高いコンテンツを発信し、それを継続的に運用していくための体制や仕組みを作ること、このこと自体は、これまでもこれからも変わらない大事なことです。ただ、コンテンツショックが議論になっているように、今後は、今まで以上に競合コンテンツが多いことを前提に、SEOやコンテンツ運営に取り組む必要があります。

 

今回は、Web上にコンテンツがどんどん増えていく中、SEO担当者が実務上気をつけたい課題を整理しておきたいと思います。

 

SEOの基本の徹底

自社サイト内やウェブ上にコンテンツが大量にあったとしても、SEOの基本は依然として重要です。検索エンジン最適化スターターガイドに書いているようなことを徹底するだけでも、大規模なサイトであれば、SEOの成果は十分改善することが多いです。基本と言っても、幅広いので、下記の3点を自社サイトに応じて追求すると考えやすいんじゃないかと思います。

  1. コンテンツが適正に評価されるようにサイト/コンテンツを構造化する。
  2. 網羅性・専門性の観点からコンテンツを充実させる。
  3. ソーシャルメディアとの親和性を高めて外部リンク獲得につながりやすくする。

 

下記の記事も参考にしてみてください。各施策に取り組む際のポイントをまとめています。

基本を徹底するだけでも十分すごいのですが、冒頭述べたように、今はコンテンツショック時代です。これまでよりも、コンテンツ間の重複回避を意識する必要があります。そのことを以下では解説していきます。

 

業種をまたいだサイトとの競争に勝つには

まず、検索エンジン上で業種をまたいだ競争が激しくなっていきます。例えばECサイトの場合、同業のECサイトだけでなく、専門メディアやキュレーションメディア、メーカーのオウンドメディアなどとも検索エンジン上では競合しています。更に検索すると分かるように、領域を特化したニッチで専門的なサイト、個人ブログなども充実したコンテンツを武器に、大手企業よりも検索上位に名を連ねているケースもあります。

 

自社の強みを活かしたコンテンツ

SEOの観点だけでなくマーケティングの観点からも多種多様な競合サイトの中で、自社のコンテンツを際立たせる必要があります。

自社の独自性を知るためには、まず競合サイトがどんなコンテンツを発信しているかを調べてみましょう。例えば専門メディアは業界の事情やトレンドをとらえた記事を発信し、メーカーは製造者ならではの商品のこだわりのポイントを詳しく紹介しています。更にマニアの方が運営する専門サイトでは、マニアならではの利用者目線のコンテンツが発信され、キュレーションメディアからは多様な検索ニーズに答えられるようニッチな記事が大量に発信されています。

各プレイヤーがそれぞれの持ち味を活かして、日々コンテンツが発信され、その中から、ユーザー評価の高いものが検索上位に生き残っていくという、激しい戦いが繰り広げられています。どんどん新しいコンテンツが生まれる中、コンテンツ内にターゲットキーワードを含んだ記事を書いているだけでは、検索トラフィックを獲得することは困難です。今後は、自社の強みを活かしたコンテンツや自社でしか作れないコンテンツを発信、運用していくということが必要になってきています。

 

下記のようなものが自社の強みを活かしたコンテンツの代表的なものだと思います。

  • 専門性を活かしたコンテンツ
  • 人的ネットワークを活かしたコンテンツ
  • 自社に蓄積する経験や知識を活かしたコンテンツ

自社の強みを活かしたコンテンツというのは、昔から言われていることですが、ますます重要になってきているように思います。どう取り組むかについて、DemandMetricsユーザーの企業様との取り組みから感じたことを、下記の記事でまとめてみました。

参考:オリジナルコンテンツを活用してSEOで成果を獲得している企業の3つの特徴

 

また、ゲームウィズ社は、自社の強みを活かしたコンテンツで成長している良い事例です。ゲームが得意なメンバーが自らゲームを攻略し、攻略情報を作成しています。自ら攻略してコンテンツ化できる体制が強みとなり、価値の高いゲーム攻略情報をユーザーに発信し、成長しています。以前、DemandMetricsユーザーのゲームウィズ社にインタビューした時の記事があります。参考にしていただけたらと思います。

急成長の背景はゲーム好きだからこそ作れるコンテンツ GameWith社SEO事例

 

有利なキーワードを知る

では、どんなキーワードであれば、自社の強みが活かせるのでしょうか?DOクエリ(物を買いたい、予約したい人が使うキーワード)、KNOWクエリ(情報を調べたい人が使うキーワード)という考え方は分かっていても、実際にどれがDOクエリで、どれがKNOWクエリなのかは、分かりづらいことも多いと思います。ちょっと手間はかかりますが、キーワードの種類ごとに検索上位のページをチェックして難易度や傾向を調査してみましょう。キーワードをジャンルやカテゴリでグルーピングして、キーワードグループごとにどういったページやコンテンツが検索上位に多いかを調べれば、自社と相性の良いキーワードか分かってきます。

例えば、有名専門メディアが検索上位を占めるような「質も量も問われるキーワード」、新興サイトや個人サイトが検索上位に食い込むような「まだまだ競争の少ないキーワード」、ECサイトが上位に多い「商品情報が必要なキーワード」といった具合です。DemandMetricsのコンペティターディスカバリーという競合調査機能を使うと、この調査が簡単にできます。何千キーワードであっても、任意に設定したキーワードグループごとに、どういったサイトやコンテンツが検索上位に掲載されているかが、すぐに把握できます。

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DemandMetricsでキーワードグループ別に競合サイト一覧を確認

傾向を調べ、自社の強みが活かせるキーワードグループにフォーカスしてコンテンツを蓄積していくことで、コンテンツ施策で成果が出るまでの初動スピードはかなり早くなります。ユーザーの検索ニーズやGoogleのアルゴリズムの変更により、傾向は変動しますので、定期的に確認しておくと良いでしょう。

 

自社内でのコンテンツ競合を回避するには

敵は内部にもいます。コンテンツを充実させていくと、最初はどんどん検索トラフィックが伸びるのですが、徐々にその伸びが鈍化することがあります。原因を調べてみると、同じサイト内や社内の別サイトとコンテンツが競合している場合があります。

例えば、ECサイトの場合、通常、「スカート」や「ワンピース」などのアイテム名ではその商品一覧ページやカテゴリページでランクインさせたいと思いますが、そのアイテムを詳しく紹介する記事コンテンツを作成した結果、記事のほうがランクインしてしまうことがあります。コンテンツが重複することで、意図しないページがランクインし、検索トラフィックやコンバージョンを損なうのあれば、それは問題です。

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売場と記事コンテンツが独立して運営されているためにカニバってしまうサイト構造の例

上記の例は、ディレクトリをまたいだ重複についてですが、記事コンテンツなどを多く蓄積していくと、同様のことは記事コンテンツ間でも発生します。サイト内でのコンテンツ競合を回避するには、各ページでどのキーワードを受けるのかを整理する、初期設計がなにより重要です。もしサイト間やディレクトリ間で担当者が異なる場合は、各担当者ターゲットキーワードの整理と共有はしっかりやっておきましょう。

とはいえ、初期設計を行った上でも、サイト内でのカニバってしまう問題は、発生します。そこで、定期的にランクインしているページをチェックをして、コンテンツやリンク構造の修正をして対処します。サイト規模が大きくなるほど、こういった重複回避のメンテナンスは重要です。このメンテナンス作業は、DemandMetricsのPLPレポートを使えば、簡単になります。PLPはPreferred Landing Pageの略で、各キーワードに対してランクインさせたいページのことです。

PLPレポートを使うことで、PLPと異なるページがランクインした場合に知らせてくれます。一覧ページやカテゴリトップページなど、主要ページで受けたい大事なキーワードだけでも、PLPのチェックをしておくことで、自社内の重複問題に素早く対処できるようになります。

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DemandMetricsでPLPがマッチしないキーワードだけを絞りこんで確認できる

 

まとめ

今回はWeb上にコンテンツが増えることで発生するSEOの課題とDemandMetricsを使った対処法について紹介しました。結局は、自社/他社コンテンツと重複しないコンテンツをうまく運用していくということに尽きます。他社、自社と重複しないコンテンツを運用するには、自社と他社を定期的に調査して把握しておく必要があります。調査はなかなか手間のかかる作業なので、DemandMetricsを使って効率的に行う方法も紹介しました。

大規模サイトやコンテンツが多いサイトでSEOの運用を構築することは、DemandMetricsの得意分野ですので、ご利用中の方は、ぜひ参考にしていただけたらと思います。ご活用に当たってご不明な点があれば、担当にご連絡をくださいませ。