コンピュータリソースの問題:AI による SEO への波紋

AI時代のコンピューティングのリソース配分が、ウェブサイト所有者やコンテンツ制作者にどのような影響を与えるかという議論が活発になっています。Google の発信などを参照しながら、おおまかなストーリーをご紹介します。

 

再びコンテンツガイドラインを周知

Google の検索リエゾンチームが、役に立つ、信頼できる、ユーザーファーストのコンテンツを作成するためのガイドラインへのリンクを再びツイートしました。AIコンテンツは増え続ける昨今、これが何を意味するのでしょうか。

 

AI原則コミュニティへの参加呼びかけ

Google は、オープンで継続的な開発と独自の AI原則を遵守するために、コミュニティへの参加を呼びかけています。ウェブ標準として 30年ほど利用されている robots.txt などに触れながら、新たな基準を確立するために意見を求めています。こちらのフォームからサインアップして参加することができます。

https://ai.google/responsibility/principles/

サイトマップ ping エンドポイントの廃止

15年以上利用され続けたサイトマップのプロトコルを変更しました。これによって検索順位が変わることはないでしょうが、ウェブ業界全体としては象徴的な変化です。

https://developers.google.com/search/blog/2023/06/sitemaps-lastmod-ping?hl=ja

 

シンジケーションガイドライン

Google ニュースについてもあわただしい議論がありました。Search Engine Roundtable にまとめられた Twitter のやりとりを見る限りでは、Google は熱心に(必死に?)啓蒙活動をしているようです。

https://support.google.com/news/publisher-center/answer/9606800

 

ニュースのインデックス問題

SEOフォーラムや Slackチャンネルを見る限りでは、Googleが新しいサイトのコンテンツを以前ほど素早くインデックスしないという現象が頻繁に起こっているようです。この問題は、ステータスダッシュボードでも確認することができます。多くのパブリッシャーにとって、落ち着かない日々が続いています。

https://status.search.google.com/

 

Google を悩ませる、コンピュータリソース問題

ここまでに紹介した出来事は、要するに、Google のコンピュータリソースの配分に関する問題です。Google は無限のマシンパワーを持っているように見えますが、例えばクロールバジェットの存在そのものが、リソース配分の課題を示しています。また、Google は現在の基準ではパワフルなリソースを持っていますが、基準そのものが急速に変化しています。AI の台頭とあらゆる情報の爆発的増加により、今後数十年にわたるコンピューティングとストレージに対する要件は、現在のほとんどの人が想像もつかないレベルに達すると見られています。そのため、Google は慎重にコンピューティングリソースの割り当てを検討しているのではないでしょうか。

コンピュータリソースの課題のもう一つの側面は、「生成」によって引き起こされています。以前に比べAIが生成したテキストや画像を見る機会が圧倒的に増え、様々なコンテンツ制作はコモディティ化しました。懸念の声をあげる識者も少なくありませんが、それにも関わらず、最終的にはAIコンテンツの多くは非常に高いクオリティに達すると予測されています。Google もまた、検索結果画面を生成したり、Workspace に生成機能を追加していくことになるのです。

つまり、Google は従来のクロール・インデックス処理に加え、コンテンツ生成に莫大なリソースを要することになります。Google はこのすべての渦中にいるのです。その結果、Google はこのことに細心の注意を払い、ウェブサイト所有者にこの新しい現実が進行中であることを伝えるヒントを提供している、というのが私たちの仮説です。

 

これはSEOにとって何を意味するのだろうか?

私たちの世界ではいつもそうですが、物事が変われば変わるほど、変わらないことも多くなるものです。まずは、質の高いコンテンツを作成するために Google のガイドラインを再読しましょう。

https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/creating-helpful-content?hl=ja

 

この20年間、彼らが言い続けてきたことは一貫しています。

  • 人間のために書く
  • 付加価値のあるコンテンツを作る
  • 時事的な権威を示す
  • ユーザーにとって良いUXを守る

私たちの業界は、いまだに検索エンジンと向き合うことに多くの時間を費やしていますが、Google は、人間が必要とするものに焦点を当てれば一石二鳥であることを十分に明らかにしています。

これが難しいのは、優れたコンテンツの構成や、ブラウザの仕組みを本当に理解しているチームが少ないからです。これらの理解を深めることができれば、適切なサイトを提供し、Google の負荷を節約することができます。そして Google は、もしあなたがコンピューティングのリソース節約に貢献すれば、より良いインデックスと潜在的なランキングで報いてくれることを暗示しています。

コンピュータリソースをめぐる課題のポジティブな側面として、今こそ首尾一貫した AI ・コンテンツ戦略を構築する絶好の機会であると言えます。AIや今後のコンテンツについては懸念が尽きませんが、人間が関与することは可能であり、関与すべきであることは確かです。

今までも、そしてこれからも、人間が人間のために営むことに普遍です。