既に 1か月以上が経ちましたが、Google I/O は SEO の世界を揺るがしました。Google Search Generative Experience(SGE)は今も最もホットなトピックです。本記事では SGE に関する米国SEO専門家の反応や、米国に住む私(DemandSphere CEO)の意見を紹介します。
Google SGEとは?
Google SGE は新しい検索体験のビジョンで、Google が最良の結果と考えるものを整理し、簡潔な回答にまとめることに重点を置いています。SGE の特長は以下のようなものです。
- 長いな質問に対応でき、キーワードに頼らない検索を実現する
- 要約したり参照リンクを提供して検索者の役に立つ
- チャット形式で追加の質問をすることができる
- 検索を創造的な活動に変えることができます ― 文書のドラフト作成など
SGE はまだベータ版であり、すべてのユーザーに完全に提供されているわけではありません。そのため、完全なロールアウトまで少なくとも 6ヶ月以上かかると見ています(我々の推測です)。この期間に、開発を進めるだけでなく SGE が与える影響を調査しているでしょう。ユーザーの反応をみているわけです。
現時点での所感は、まだ試作段階という印象です。しかしながら、様々な可能性があることは疑いの余地がありません。
Google が発表したホワイトペーパー
SGE について理解するために、まずは公式のドキュメントをご参照ください。Google の SGEに関するホワイトペーパーでは、以下の項目について詳しく解説されています。
- SGEとは何か
- SGEの仕組み
- ジェネレーティブAIの責任ある利用
- 既知の制限
- 検索の未来とユーザー参加
このホワイトペーパーは18ページと短いので、さっと目を通しておくことをオススメします。
米国のSEO専門家の意見
業界のオピニオンリーダーとして知られる Marie Haynes氏は先週のニュースレターで、SGE のポイントをまとめた素晴らしい記事を投稿しました。
- SGEは、必ずしも上位の結果を参照しているわけではない
- 回答には参照リンクが含まれており、これらもまた、必ずしも上位のランキングとは異なる
- 回答に含まれるウェブサイトは、ユーザー生成コンテンツ(UGC)を多用したものや情報提供型のものが多い傾向
- これは、商業的または取引的な意図を持つ検索キーワードに影響を与え、 CTR の低下が予想される(おそらく)
- 自動生成された回答を求めるユーザーと、それをスキップしてリンクをクリックするユーザーに分かれる
- ローカル検索結果は大きく変化する可能性がある
- アトリビューション(情報の出典や引用元の明示)の不足が問題視されている
さらに、5月末にはGoogleがニュースサイトに対するトピックオーソリティの使用方法について明確な説明を行いました。新しいランキングシステムではなく、実際には数年前から既に使用されていることが指摘されました。ぜひ Marie氏の発信をチェックしてみてください。
検索への影響
さて、未完成の SGE は今後どのように進化し、検索に影響していくでしょうか。誰もがチャット形式のインタラクションに注目していますが、その真の力は、LangChain、AutoGPT、BabyAGI などのプロジェクトに見られるオープンソースのエージェントによって引き出されるのではないかと感じます。エージェントとは、チャットの裏側で次のアクションを予測したり提案したり、APIを実行してくれる機能です。
Google がエージェント駆動型ワークフローを提供するようになれば、例えば、チャットを通して旅行先を決めたり、チケットを予約できるでしょう。未来の SEO担当者の業務は API やエージェントに最適化してコンテンツをフィードしたり、データを整備することになるかもしれません。もちろん、まだ先の未来だと思いますが。
Google としては、検索ワークフローのすべてを完結させることを目指しています。つまり、検索のはじまりから終わりまで、すべてを Google に留まって実現するのです。現在のインタラクションは検索によって始まり、Google ではないどこかのウェブサイト上で完了します。しかし新しい検索モデルが、すべてを変える可能性を帯びてきました。
「10本のブルーリンク」やSERPでの存在感は、今後数年間は重要な役割を果たし続けるでしょうが、状況は変化の方向に向かっています。ウェブ上でビジネスを展開する企業は、より迅速かつ洗練されたアプローチが求められるようになるでしょう。
SERPモニタリングの未来
SEOベンダーの世界では、SERPモニタリングに関わる SaaS企業(私たちを含む)が、AI が SERP をどのように変貌させていくのか、それをモニタリングできるかについて考えています。
現時点では、効果的にスケールアップする方法は限られています。その主な理由は、Google がサインインしたアカウントを必要とし、Search Labs から SGE 機能を有効にしているからです。これにより、SERPを分析している人々を簡単にシャットダウンできるようになります(少なくともこの目的に関しては)。
SGE SERPデータを取得するためには、コストをかけて大量の偽装アカウントを維持しなければなりません。ですので、ブラウザの拡張機能以外のツールに対しては、現時点ではあまり期待できません。
しかし、これが本当に重要な問題であるかどうかは疑問です。通常、Googleが本当に重要なものと認識すれば、データを取得する方法が用意される傾向があります。将来的には、Google がこのデータを一般的に利用できるようにし、SGE の結果を Search Labs に参加しなくても得ることができるかもしれません。
それにもかかわらず、SERP分析が困難になる可能性は高い。Google Search Console をはじめ様々なデータソースが未だに多くの謎に包まれていることを思えば、想像に難くないでしょう。SEOの世界では完璧な情報源は存在しません。
英語オンリー(今のところ)
SGEはまだ英語のみの対応となっています。SGE対応アカウントでパーソナル設定を調整したり、いくつかの日本語キーワードでテストしても、SGEの結果は表示されませんでした。英語であれば検索窓と1位の間にフィールドが出現します。
今、あなたが取るべき行動
SGEに関心がある方は、Search Labsにアクセスしてベータ版にサインアップしましょう。SGE を使うにはあなたのアカウントで有効にする必要があります。ChromeまたはGoogleアプリも必要です。アクセス権を入手したら、とにかく遊んでみることです。
また、SGE に触ることができない日本のお客様は、Googleのホワイトペーパーを読んでみてください。
私たちは、検索やAIを探求し続けます。このイノベーティブな時代をともに楽しみましょう。