AI検索エンジン最適化とは何か?実例のご紹介

先日の投稿で触れた AI検索戦略について、どのように取り組むことができるのか、例を用いて説明したいと思います。昨今は ChatGPT や Perplexity.ai などの AI検索エンジンに注目が集まっていますが、これらの可視性を高めることは可能なのでしょうか。

ChatGPT で上位を狙いたいなら Bing を研究しよう

以前は Bing はそこまで注目されていない検索エンジンでした。私たちも基本的なモニタリングは実施していましたが、Bing ならではの特殊な対応について、優先度は高くはなかったです。しかし ChatGPT と Bing が統合されてからは、多くのマーケターが強い関心を持つようになり、Bing に関する機能開発の優先度を高めています。日々 Bing 関連の解析精度が改善しているので、ぜひ見てみてください。

それでは、Bing と ChatGPT の関係性について調査してみましょう。さっそく、demandsphere.comドメインのモニタリング環境に Bing を検索エンジンとして追加し、順位を取得してみました。

原文時点(2024年12月31日)で、Bing で「large scale rank tracking(大規模順位計測)」という検索語句で1位にランクインしていることがわかります。順位の自慢はさておき、Bing での高い順位が ChatGPT でのビジビリティにつながるという仮説を検証してみましょう。ChatGPT で「大規模な順位計測について知りたい」と話しかけてみます。

ご覧の通り、ChatGPT の回答に私たちのページが参照されおり、右のサイテーションの欄でも私たちのロゴを2つ見つけることができるでしょう。実際に、私たちは Bing で複数ランクインしており、サイテーション欄は Bing の検索結果ととても似ていると思いました。

ChatGPT Search に表示されたいのであれば、Bing で表示される必要があるということです。

ChatGPTにおける検索結果のキャッシュについて

ChatGPT の検索機能で興味深い点の一つは、結果が毎日更新されるわけではないということです。先日の私の投稿が、この点を示す良い例となります。現在、Bingで「ai search strategy(AI検索戦略)」という検索語句に対して1位にランクインしています(これは長続きしないと思いますが)。

しかし、ChatGPT に「2025年のAI検索戦略について教えて」というプロンプトを入力した場合、次のような結果が得られました。残念ながら我々のサイトは参照されていなかったのです。

右のサイテーション欄を見ると、「Today」や「Yesterday」という語句も見られます。いつ時点から見た「今日」または「昨日」なのかは定かではありませんが、ChatGPT の検索結果にはキャッシュが関与していることがわかります。ジャンルによって異なるとは思いますが、数日程度の頻度でキャッシュされていると予想します。

AI検索エンジンのモニタリング現状について

AI検索エンジンはまだ初期段階にあり、モニタリングも不安定で未熟な状態です。現在、これを実現できるツールはほとんどなく、ChatGPT や Perplexity など特定の製品に主に焦点を当てたものがいくつかある程度です。大手の順位トラッキングツールも AIオーバービューに対応していると言いつつ、その精度には疑問の声もあがっています。

現段階では、Google と Bing で十分なデータを取得することに集中すべきでしょう。この2つのデータソースがあれば、当面の AI 検索エンジンについては裏付けをとることができるからです。以下に、現時点で意識すべきモニタリングのポイントを整理します。

2025年のモニタリングで意識したいこと

  1. 可用性があること
    ChatGPT などは、クエリとスクレイピングが非常に困難です。また、GPT の API 経由でデータを取得する場合、UI 版の結果と完全に一致することはありません(似たような結果を得られる場合はあります)。
    このため、AI検索エンジンのデータ取得には限界があるのです。しかし、Google と Bing の大規模な SERPモニタリングは、私たちのツールや他のツールで安定的にデータを取得することが可能です。
  2. リアルタイム/毎日の更新
    キャッシュについて前述したように、AI検索エンジンは Google や Bing のインデックスをキャッシングしています。またその仕様については不明な点が多く、今後も多くの変化が予想されます。毎日モニタリングしても無駄になってしまうかもしれません。
  3. 大きな変化ではなく、既存の業務を少し進化させる
    SEOチームがすでに必要なデータ、プロセス、に熟知していることから、従来通りの Google/ Bing モニタリングを進化させていくことの方が理にかなっているでしょう。

Perplexity.ai について

さて、最後のトピックは、Perplexity.ai です。Google 以外の検索エンジンの中で、少なくとも主に Bing を使用していないと思われる数少ないエンジンの一つです。しかし、Financial Times など大手メディアで「Bing ではない独自の技術」と報じられている程度で、詳しいことはわかっていません。

Bing のインデックスを使っていないとしたら、Google に依存していると考えるのが自然ではないでしょうか。試しに、前回と同じキーワード「large scale rank tracking(大規模順位計測)」を例に見てみましょう。Google での現在の順位は 3位でした。

Perplexity.ai で「大規模順位計測について教えて」と質問してみると、私たちのサイトが参照されています。

右側に表示される 6つのサイトは、Google でも上位表示されていました。Reddit と Zapier は Bing では上位表示されていませんでした。読者のみなさんには伝わりづらいかもしれないのですが、私からすると、これはきっと Google を引用しているんだなと感じられる結果でした。さらに調べてみる必要がありますが、Perplexity について、もしみなさんが何かお気づきのことがあればぜひ教えてください。

今回紹介したいくつかの例は、AIオーバービューに関する Botify社との共同調査にも関連しています。英語版のホワイトペーパーでよろしければこちらからダウンロードしてみてください。日本語版についてはもう少々お待ちください。