Google AI オーバービューは計測できるか?
先週の Google I/O で、Google はこれまで「SGE」と呼ばれていた AI による検索アシスタント機能を「AI Overviews」と呼ぶことを発表しました。Google検索の VP、Liz Reid氏は同社のブログにて「本日から米国のみなさまにお使いいただけます(So today, AI Overviews will begin rolling out to everyone in the U.S.)」と述べています。
この機能がどのようなインパクトをもたらすのか、SEO専門家のみなさまから多くのご相談をいただいております。この記事では、AI Overviews の計測に関する現時点での課題を紹介します。
AI Overviews とは、検索結果に要約情報を生成する機能です。詳細については、Google検索の VP である Liz Reid 氏の投稿をご確認ください。Generative AI in Search: Let Google do the searching for you
これまで、SGE/AI Overviews は Search Labs を有効にしているユーザーにのみ表示されていました。先日の発表以降、米国では Search Labs を有効にしなくても AI Overviews の結果を見られるようになりました。ただし、Google アカウントにログインしている必要があります。すなわち、依然として未ログインではこの機能を使うことができないのです。
今週、私たちは Google アカウントにログインせずに約 230,000 のキーワードでテストを行い、AI Overviews の結果が表示されるかどうかを確認しました。
その結果、230,000 のキーワードのうち、AI Overviews が表示されたのは 47 件のみでした。SEMRush Sensor や他のツールが非常に小さな値を示しているのは、このためです。
SEOチームが影響を理解しようとしている今、このテーマについて透明性を保つことは非常に重要だと考えます。もちろん、他のベンダーが自社の能力を宣伝することを否定はしません。
計測の問題点とデータとの向き合い方
こうした状況ですので、AI Overviews の結果を取得するためには Googleアカウントにログインしなければなりません。これを SEOツールで実現するためには、多くの架空のログインユーザーを創造する必要があり、非常にコストが高くなります。
同時にパーソナライズについても配慮しなければなりません。モニタリングベンダーとしては、データの客観性も重要な論点だからです。
私たちはこうした問題をふまえ、お客様に有益なインサイトを提供するための戦略を検討しているところです。
今後も AI Overviews に関する様々なトピックが増えると思いますが、ツールベンダーの宣伝やユーザーによる拡大解釈が起こり得ます。繰り返しになりますが、「AI Overview のデータが取得できます」という主張は、先ほどご説明した2つの方法が用いられているでしょう。
1. 非常に少ないデータセットに基づいている
2. 大量のSIMカードを購入して Googleアカウントを作成して、莫大なコストを支払っている
現時点で私たちの同業でこれを大規模に行っているベンダーは知りません。一部のベンダーが誇張した発表をしているのを見かけますが、詳細を調べると、実際にはまだ実現できていないように思われます。
※ ここでは SEMRush のことを話しているわけではありません。彼らは未ログインでごく少数を検出するアプローチであり、私たちの実験結果と相違ありません。
これが AI Overviews に関する計測の現状です。0.1% 未満の小さなサンプルが取得できるが、レアケースと呼んだほうがいいかもしれません。また仕様には不明な点も多く、統計的に何かを分析するのは難しいと思われます。
最後に、こうした変化が多くの SEO担当者様にとってチャンスになることを願っています。AI Overviews は SEO およびマーケティングチームにとって新たな課題と機会をもたらします。長年の経験からつくづく実感しますが、こうした変化に迅速に適応できるチームは凄まじい成果をあげるものです。
私たちは、データのソースについて 100% の透明性を保ちながら、お客様にこのインサイトをできるだけ早く提供できるよう、全力を尽くしてまいります。